明日の宇宙航空のために――JAXA2025――
宇宙航空研究開発機構理事長
									立川敬二
									シンポジウムではJAXA長期ビジョンに対してさまざまな意見をいただくことができました。ここでは、みなさまの問いかけに対して、JAXA理事長がお答えします。
理事長 写真 長期ビジョンの主旨について
									総花的ではない。宇宙に関する“柱”は3つだけ
――JAXA長期ビジョンに対する感想として、パネラーの方々から一様に挙がったのは、“総花的ではないか?”という声でした。あれもこれも盛り込んで、果たして実現できるのでしょうか?
災害・危機管理情報収集通報システム 観測・予測統合地球環境観測システム

災害・危機管理情報収集通報システム

観測・予測統合地球環境観測システム
 今回の長期ビジョンは、かなり的を絞って策定されています。JAXAが宇宙に関して、やりたいことの柱は、「宇宙利用の拡大」「宇宙科学のさらなる発展」「宇宙へのアクセス技術」、この3つしかありません。決して、総花的ではないと思います。
1つめの「宇宙利用の拡大」は、現在すでに定着している通信・放送・気象以外でも拡大を図ろうと、まず喫緊の課題である「災害対策」「環境問題」に焦点を絞りました。



将来の宇宙宇宙観測・太陽系探査

将来の宇宙宇宙観測・太陽系探査
将来の月探査・利用活動

将来の月探査・利用活動
将来の宇宙輸送

将来の宇宙輸送
2つめの「宇宙科学」もかなり焦点を絞っています。X線天文学、赤外線天文学など、世界的にも評価の高い日本の得意分野を中心に展開していこうと思っています。天文以外には、当面、地球誕生の謎を解明するために不可欠な内惑星を中心とした太陽系探査です。将来構想としては深宇宙探査も視野に入れています。


アメリカ、ヨーロッパとも、月か火星か焦点が定まっていない中、日本は“月に的を絞って”探査だけではない利用を考えました。その月利用にも3つの柱があって、第1に「月に安定した基地を作る」ことで、恒久的な月探査と月面天文台を可能にする。第2に「月の資源活用」。現在わかっているヘリウム3以外にもさまざまな資源が得られれば、有効に活用できます。そして第3が「他の惑星に行くための拠点」にできないかということです。


その際、宇宙での活動は当然ロボットだけでは無理で、人間との協力が必要になるでしょう。そう考えると、ロケットの信頼性を上げていくことで、有人の宇宙アクセスも可能にしていかなければならない。これが3つめの「宇宙へのアクセス技術」です。決して、実現不可能なことを申し上げているわけではありません。
 
1  2  3  4  5  6
次へ