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平成28年6月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

奥村理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:平成28年6月15日(水) 11:00-11:45

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 庄司 義和

X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)

 X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)につきましては、宇宙開発利用部会・X線天文衛星「ひとみ」の異常事象に関する小委員会にて、今回の事象の背後要因も含めた原因について説明してまいりました。原因究明作業の中を進めて行く中で、今回の事故を引き起こしたおおもとの問題は、宇宙科学研究所(ISAS)におけるプロジェクトマネジメントであったことが分かりました。これまで極めて少人数・低予算で、開発メーカーともに一体となって探査機や衛星を開発してきたこれまでのやり方は、小規模なプロジェクトではうまくいっていたかもしれない。小委員会でも委員の先生からそのようなお言葉も頂戴しました。しかし、私どもの現在開発している衛星あるいは宇宙機は、従前に比べてはるかに大型化しており、機能も高度化していることに伴い非常にシステム的にも複雑化している。これは世界の動向でもあります。こういった背景を踏まえると、今回のやり方は、その流れに必ずしも応え得るものではなかった。これだけ大型化すると、宇宙機そのものの金額が非常に高額であり、私共JAXAとしてはシステムの成立性に責任を持っていることを改めて肝に銘じる必要があり、猛省しております。
 ASTRO-Hの運用断念に至る事態となったことを、JAXAとしても私としても極めて重く受け止めております。改めてこの場で国民の皆様、世界の天文学、宇宙物理の研究者の皆様に心からお詫び申し上げます。

 今回の失敗により国民の期待を著しく損なう結果となったこと、日本の宇宙開発への信頼性を棄損したことを踏まえ、理事長として以下の処分を決定いたしました。
 機構業務を総理する私(奥村)、理事長を補佐する立場にある遠藤副理事長、今回のプロジェクトの主管元である宇宙科学研究所長である理事の常田所長の3名について、かかる事態が今後再び生ずることのようないよう反省と自戒の意を込めて「厳重注意」といたしました。
 併せて上記3名について、本人の申し出により給与の10%を向こう4ヶ月間自主返納することとします。

 今回の事態を、ISASを含むJAXAが、宇宙機システム全体の成立性に対する検証に最終的な責任を負っているということを改めて認識する契機とし、今後JAXAの仕事の仕方を改革します。具体的な対策として、企業との役割・責任分担の見直しとその明確化、ISASプロジェクト業務の文書化による関係者の知見共有の徹底、品質記録の徹底、審査/独立評価の運用の見直しを速やかに実行します。改革につきましても、直ちにやらなくてはならない課題と、基本的な仕事の仕方、これについては時間がかかるかもしれないが、二本立てで進めて参りたいと考えています。

 直近のプロジェクトですと、今年度打ち上げ予定のジオスペース探査衛星(ERG)ですが、プロジェクトマネージャには、宇宙機システムのプロジェクトマネジメントに特化するよう指示し、サイエンス成果の創出に責任を持つ別の責任者をアサインし、職務を明確に区別するよう、体制の再構築を指示しました。それに加えて、地球観測衛星などを開発している第一宇宙技術部門のメンバを含む全社横断チームにより、ERGの開発や運用準備について、総点検を実施し、ERGを射場(内之浦)へ輸送する前に結論を出すということで、8月末を目途に答えを出す予定です。
 また、今後、改革の主旨、目的を理解し、主体的な役割・責任を担った企業に、JAXAのプロジェクトに参加いただき、今回の改革を確実していきたいと考えています。

 今回、共同開発をしてくださったアメリカ航空宇宙局(NASA)/欧州宇宙機関(ESA)からは、もしJAXAがASTRO-Hの後継について検討するならば、今回と同様、共同開発の可能性についてJAXAと協議する用意があるとの連絡をすでに頂戴しております。ASTRO-Hが担うはずであった国際的な役割り、位置付けを踏まえ、JAXAとしても今後の対応を検討してまいります。

大西宇宙飛行士

 大西宇宙飛行士は、5月26日、27日の2日間にわたり行われた、ロシアでの国際宇宙ステーション(ISS)搭乗に向けた最終試験に合格し、その後、5月31日のクルー認定式で 正式に訓練の終了が承認されました。 私も認定式に参加し、大西飛行士の技量が高く認められていることを実感しました。
 すでにご案内のとおりですが、大西宇宙飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船の打上げ目標日が7月7日に延期されたことに伴い、「きぼう」日本実験棟の運用・利用に関して、筑波で運用計画や手順等の最終確認等を行うこととし、大西宇宙飛行士を日本に一時帰国させております。 短期間ではありますが、この機会にフライトディレクタらと詳細を詰め、 ISS/「きぼう」での利用成果最大化に努めてもらいたいと思います。

衛星全球降水マップ(GSMaP)

 JAXAの衛星全球降水マップ、GSMaPの利用事例についてご紹介したいと思います。GSMaPは、世界各国で使われ始めており、皆様方から大変有効だとのご評価をいただいております。特に、地上レーダーのない地域において、GSMaP情報がリアルタイムで情報提供することができますので、活用が広がっています。
 利用の一例をあげますと、小笠原諸島は、気象庁の地上レーダーの範囲外で、父島・母島に雨量計が各1個ずつあるだけとのことです。このため、GSMaPの降雨情報が非常に有効であるとのことで、町役場のホームページにてGSMaPを使ってくださっています。私も嬉しく思っておりますし、おおいに活用していただきたいと思います。
 また、5月17日にスリランカで、大雨による大規模な土砂崩れが発生いたしましたが、スリランカの災害管理センターによるレポートの中でGSMaPのデータが降雨状況を示す図として利用されました。
 現在、世界76か国の方々がユーザー登録をしてくださっており、うち46の国では気象機関などの公的機関が利用しています。
JAXAとしましては、今後も、宇宙の成果を地上に還元していけるような活動を行っていきたいと考えております。

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