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平成30年4月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:平成30年4月13日(金) 13:30-14:15

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 庄司 義和

冒頭挨拶

 皆さまこんにちは。今年度第1回目の、そして私としては初めての定例記者会見となります。どうぞ宜しくお願いいたします。

第4期中長期計画期間の開始にあたり

 JAXAは、第4期中長期計画期間の開始とともに、役員も新しいメンバーを迎えて新たなスタートを切りました。就任記者会見で申し上げたとおり、JAXAは挑戦し続ける組織でありたいと考えております。
 まず、大きな方針として、新しい取り組みにより、社会に対して新たな価値を創出する組織を目指してまいります。具体的な活動としては、新しい活動領域として、月探査などに挑戦していきたいと思います。
 また、新しいプレーヤーとの連携・協業も進めます。これまで宇宙分野に参画していない地方自治体、異分野の民間企業、安全保障機関といった新しいプレーヤーとの連携のもと進めてまいりたいと考えております。その際、AI(人工知能)、あるいはビッグデータといった新しい技術も積極的に取り込んでいきます。
 これらの取組みを進めることで、新しいアイデア・企画を宇宙基本計画等に取り込んでもらえるようにJAXAとして提案してまいりたいと考えております。皆様の期待に沿えるよう、尽力してまいります。            

 第4期中長期計画の始動にあたり、組織の効率化、機能整理や連携機能の強化を目指し、組織改正を行っております。その中で、今回最も力をいれたのが、JAXA新事業促進部の再編です。
 新事業促進部は、日本の宇宙産業の基盤強化・国際競争力の強化に加えまして、宇宙利用産業のコミュニティの拡大と新しいビジネス創出を目標として、日本の宇宙関連産業の育成と発展に取り組む組織です。JAXAで育まれた技術の事業活用をはじめ、JAXA認定ブランド「JAXA COSMODE」の創設、公募型の共同研究開発「JAXAオープンラボ」 、小型衛星のロケット相乗り打上げ等、異業種を含む民間企業他分野とのコラボレーションを促進してきました。
 一方、宇宙産業は、大きな変革期を迎えつつあると考えております。米国を中心に民間主体による新しい宇宙ビジネスが発展している中で、日本においても宇宙ベンチャーの起業、それらベンチャーに対する投資機関あるいは事業会社からのリスクマネーの供給も増えつつあります。
 昨年12月には、月面資源開発の事業化に取り組む株式会社ispaceに対して、官民合わせて約100億円の投資がなされたところです。これに関与した政府系金融機関である日本政策投資銀行(DBJ)殿の投資判断に当たっては、JAXAとDBJの間で2017年5月に締結した連携協定に基づきJAXAから提供された技術的情報が用いられております。
 今年3月、先月に政府が発表した「宇宙ベンチャー育成のための新たな支援パッケージ」においては、官民合わせて、今後5年間に約1000億円のリスクマネーを供給する方針であることが表明されるとともに、JAXAに対しては宇宙ベンチャーとの人材交流やパートナーシップ型技術開発で支援することが期待されていると承知しております。
 こうした期待に応えるために、この4月から企画関連機能を統合しまして、宇宙関連の新しい事業を創出する新事業促進部の機能を強化させることとしました。今後は、先ほど述べました従来の取組みを発展させつつ、オープンイノベーション方式による異分野融合、人・知の糾合を図るとともに、JAXAと民間企業とのパートナーシップ型の技術開発・実証に取り組んでいきたいと考えております。
 また、宇宙ベンチャー育成支援や衛星データの利用拡大など、政府が進める施策とともに技術支援を提供してまいります。    

平成30年度の計画

 今年度の計画、特に有人、宇宙科学、基幹ロケットについて現状を報告します。第4期中長期目標として示された4つの取り組み方針のうち、すなわち(1)安全保障の確保および安全・安心な社会の実現、(2)宇宙利用拡大と産業振興、(3)宇宙科学・探査分野における世界最高水準の成果創出および国際的プレゼンスの維持・向上、(4)航空産業の振興・国際競争力強化のうち、今年度は3つ目の「宇宙科学・探査分野における世界最高水準の成果創出および国際的プレゼンスの維持・向上」における国際的なイベントが集中する年となっております。
 具体的にはまず「はやぶさ2」が挙げられます。「はやぶさ2」では、「はやぶさ」の経験を活かして小惑星探査技術をより確実なものにすることを目指します。それと同時に、人工クレーターの生成、深宇宙での高速通信など、新しい技術にも挑戦します。「はやぶさ2」は、6月21日から7月5日頃に、地球と火星の間にある、地球からの距離約3億kmということになりますけれども、推定直径約900メートルの小惑星「リュウグウ」に到着します。リモートセンシング機器による観測で小惑星の地図を作成した後、「MINERVA-II(ミネルバ2)」や、ドイツ航空宇宙センター(DLR)とフランス国立宇宙研究センター(CNES)が開発・提供した「MASCOT(マスコット)」と呼ばれる小型の着陸機を投下し、小惑星表面の科学観測を行います。また最大3回の着陸により小惑星表面のサンプルの採集を実施します。2019年末に小惑星を出発しまして、東京オリンピック開催年であります2020年の末に、回収したサンプルとともに地球に帰還予定です。
 また日本・JAXAとヨーロッパ・ESAが共同で進める大規模な水星探査ミッション「BepiColombo(ベピコロンボ)」 がいよいよ始まります。この計画は私が初代のプロジェクトマネージャを務めたものですけれども、JAXAが担当する水星磁気圏探査機(MMO: Mercury Magnetospheric Orbiter)とESAが担当する水星表面探査機(MPO: Mercury Planetary Orbiter)とを組みあわせて、今年10月に打ち上げて、2025年12月に水星へ到着予定です 。4月の後半から5月の頭にかけまして、ESTECというオランダにある宇宙センターから南米にあるクールー射場への輸送準備も順調に進み、大詰めを迎えていると聞いております。
 いま申し上げましたこれらの宇宙科学・探査分野では、太陽系と生命の起源の解明を行うだけではなくて、将来の「国際宇宙探査」に必要な、深宇宙航行を革新するためのシステム技術・推進技術・大気圏再突入技術、重力天体着陸技術や表面探査技術等の獲得も行います。

 昨年12月から国際宇宙ステーションに長期滞在している金井宇宙飛行士が、先週4日に米国の「ドラゴン宇宙船」をキャプチャー・把持して、ISSへの物資輸送の一翼を担いました。船外活動、そして宇宙船のキャプチャーの2つの大きな仕事をこなした初の日本人宇宙飛行士となります。日本人宇宙飛行士の存在感は更に増していくと考えております。
 今回の「ドラゴン宇宙船」には、宇宙実験に係る様々な機材や試料が搭載されております。日本の実験では、トルコやケニア、コスタリカなどの国際性豊かな超小型衛星、材料実験試料(ExHAM等)、そして小動物飼育ミッションでの飼育用マウスなどがあります。「健康長寿のヒントは宇宙にある」というミッションテーマのもと、宇宙環境がもたらすストレスや適応について調べる小動物飼育ミッション、さらにはアルツハイマー病の原因メカニズムの解明実験、新薬設計支援のためのタンパク質結晶生成実験、プロバイオティクス(乳酸菌)を通じた免疫対策の研究などの医学研究実験などが行われ、国家的課題であります健康長寿に宇宙からどのように貢献できるかということを模索して、民間・アカデミア・海外など幅広い分野からの「きぼう」の利用を進めているところです。
 今年6月には、昨年12月から国際宇宙ステーション長期滞在しております金井飛行士が帰還する予定です。長期滞在の成果が、新しい成果を生み出してくれることを大いに期待しています。
 冒頭でお話しした宇宙科学・探査の着実な実施と、そして継続的な有人活動の成果というのは、今後国際共同で人類の活動領域を拡大する「国際宇宙探査」への国際貢献に直結すると考えています。日本の強みを生かした計画の提案・実施を行うとともに、持続的な活動領域拡大能力の構築、および我が国のプレゼンスを示してまいりたいと思います。

 最後に、今年度種子島、そして内之浦から打ち上げる予定のJAXAの衛星を紹介します。まず、H-IIAロケット40号機にて打ち上げる温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号」(GOSAT-2)、2つ目にH-IIBロケット7号機にて「こうのとり」7号機が打ち上げられる予定です。また、JAXA、民間企業や大学がそれぞれ開発した7つの小型衛星を搭載する「革新的衛星技術実証1号機」を打ち上げるイプシロンロケット4号機があります。
 これらの具体的な打上げスケジュールが確定しましたら、皆様にお知らせしたいと考えております。

人物紹介(國中理事・宇宙科学研究所長)

 4月1日付で、新しく4名の新任理事を任命しました。各理事の任務の詳細はJAXAのホームページに掲載しておりますので、ご参照いただくとしまして、今回は、今年度の計画でもお話ししたように科学探査イヤーと考えております。今日は科学探査を実行する宇宙科学研究所長である、國中均理事をご紹介いたします。
 國中理事は、「はやぶさ」の中枢技術の一つともいえる「マイクロ波放電式イオンエンジン」を開発して、宇宙用高性能推進機関である電気推進を基軸に研究を推進してきました。2010年度文部科学大臣特別賞受賞を受賞しています。2015年からは、様々な異分野の人材・知識を集めた組織を構築し、これまでにない新しい体制や取組みでJAXA全体に研究の展開や定着を目指して新設された宇宙探査イノベーションハブ長として、非常に多くの非宇宙企業やこれまで宇宙産業に参画していなかった組織を巻き込んだ、オールジャパンの体制で宇宙探査のハブを形成し、高く評価されています。
 日本全体から知識・技術・人材を集め、世界に先駆けた国際宇宙探査の実施や宇宙科学研究所の成果を社会活動に還元することに対して非常に期待しております。
 他の理事については、次回以降の定例会見にて順次紹介させて頂きます。

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