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平成30年5月理事長定例記者会見

理事長定例記者会見

山川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします

日時:平成30年5月11日(金) 13:30-14:15

場所:JAXA東京事務所 B1F プレゼンテーションルーム

司会:広報部長 庄司 義和

新たな事業を共創する研究開発プログラム『宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)』の開始について

 新たな事業を共創するJ-SPARCというプログラムについて、紹介します。先月、第4期中長期計画の始動にあたり、JAXAの組織改正として最も力を入れた新事業促進部の再編について紹介しました。
 新事業促進部というのは、日本の宇宙産業の基盤強化・国際競争力の強化に加え、宇宙利用産業のコミュニティの拡大と新しいビジネス創出を目標として、日本の宇宙関連産業の育成と発展に取り組んでおります。今年3月に政府が発表した「宇宙ベンチャー育成のための新たな支援パッケージ」においても、JAXAに対しては宇宙ベンチャーとの人材交流や民間等とのパートナーシップ型の技術開発で支援することが期待されております。
 こうした期待に応える方策として、JAXAは、新たな事業を共創する、共創するというのは「共に創る」、研究開発プログラム『宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC、ジェイ・スパーク)』を開始したことをお知らせいたします。
 本事業は、民間事業者等を主体とする事業を出口とした、技術開発・技術実証を伴うパートナーシップ型の共同研究開発プログラムです。特徴としては、民間等とJAXAがそれぞれの強みとリソースを持ち寄り、これまで宇宙産業に参画したことがない非宇宙産業を含め、異分野融合型のオープンイノベーションによる新たな宇宙関連事業の創出を目指しております。主なターゲット領域としては、1つ目は人類の活動領域を広げるテーマ群、2つ目として地上の社会課題を解決するテーマ群、3つ目として宇宙を楽しむテーマ群、この3テーマを設定しています。事業例としては、例えばアバター、遠隔存在技術を活用したANAとの連携事業、あるいは燃料補給等の軌道上サービスや宇宙旅行市場を見据えた低軌道の利用事業、更に宇宙ベンチャーを中心に事業化が進む小型衛星コンステレーション事業など、幅広い分野へ挑戦してまいります。
 詳細については、本日発出したプレスリリースをご参照ください。

各国宇宙機関長等との対話について

 先月着任後、まず4月16日(月)から19日(木)にかけてアメリカにおいて開催された、第34回スペースシンポジウムへJAXA理事長として初めて参加し、アジア太平洋の宇宙活動に関するパネル、気象と海洋分野のインフラ及びアプリケーションをテーマとした2つのパネルに登壇しました。そこでAPRSAF、アジア太平洋地域宇宙機関会議をはじめとしたアジアに対する取り組み、及び地球観測分野における社会課題解決に向けたJAXAの取り組みをアピールしてまいりました。また、同シンポジウムにおきまして、探査に関する宇宙機関長会議というのがありまして、ここで、3月に日本政府が開催したISEF2に引き続き、JAXAの月探査コンセプトを紹介しつつ、日本の探査協力における貢献姿勢を強く印象づける、アピールできたと考えております。期間中は、NASAや欧州宇宙機関(ESA)を含む10の宇宙機関、及び政府機関とバイ会談を実施し、将来探査に向けた可能性や今後の協力について意見交換しました。            

 先週NASA長官にお会いする機会がありました。先月19日に、共和党のジム・ブライデンスタイン下院議員がNASA長官に就任されました。その後、林文部科学大臣に随行いたしましてワシントンD.C.に赴き、5月1日に対談の場を持つことができました。
 NASAとJAXAの協力は40年以上にわたりますけれども、多くの分野での協力を実施しております。私からは、今後の協力に関して、探査を進めるための予算確保の重要性、ISS計画への適切な予算配分、さらには民間事業者との協力や国際協力について言及しました。 ブライデンスタイン長官の就任早々、就任後1週間強くらいのタイミングになりますけれども、日米宇宙協力の重要性について、共通認識を確認することができたことは、たいへんよかったというふうに考えております。            

金井宣茂宇宙飛行士の活動状況について

 金井宣茂宇宙飛行士の帰還があと1か月程度と迫ってきてはおりますけれども、「きぼう」での実験のほか、先週のドラゴン補給船運用14号機(SpX-14)の離脱や月末のシグナス補給船運用9号機(OA-9)のISSとの結合、さらには16日に予定されている船外活動の船内における支援と非常に多忙なようです。その合間を縫って、地上との交信イベントで元気な姿を見せてくれているところです。

 日本時間で5月6日に、ドラゴン補給船運用14号機(SpX-14)の回収カプセルが帰還しました。この回収カプセルには日本の実験試料なども積み込まれており、金井宇宙飛行士が軌道上で飼育を担当した、第3回小動物飼育ミッションの12匹のマウスが全数生存帰還したとの報告を受けております。このうち6匹は、ストレス応答遺伝子、いわゆる防御遺伝子を欠失させたノックアウトマウスでした。このノックアウトマウスというのは世界中の様々な医学研究に使用されておりまして、今回のミッション達成により、ノックアウトマウスの系統も宇宙での影響解析ができる環境が整いました。
 金井飛行士ミッションのキャッチフレーズである「健康長寿のヒントは宇宙にある」、まさに健康寿命の増進にかかる研究がさらに加速されるものと期待しております。

 また、本日19時より、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟から、ケニア、コスタリカ、そしてトルコの超小型衛星(CubeSatタイプ)3機を放出する様子を、筑波宇宙センターで皆様に公開いたします。私も、ケニア共和国教育省長官、駐日コスタリカ共和国大使館特命全権大使、駐日トルコ共和国大使館公使参事官とともに、筑波宇宙センターの「きぼう」管制室VIPルームにおきまして超小型衛星の放出を見守りたいと思います。
 今回放出予定の超小型衛星3機は、平成30年初めに各国の衛星開発関係者からJAXAに引き渡され、4月3日(日本時間)にドラゴン補給船運用14号機でISSに運搬されたものです。先週、金井飛行士が放出に向けた準備作業を担当しまして、作業は全て完了しており、現在は、衛星放出時の映像撮影に向けた準備作業を進めています。「きぼう」からの超小型衛星放出は、外務省の科学技術外交推進会議がとりまとめた「SDGs実施に向けた科学技術外交の4つのアクション」において、新興国や途上国の課題解決の施策として提言されております。今後とも「きぼう」利用を通じた国際協力を進めてまいりたいと考えております。
 すでに記者の皆様にはお知らせ済みですが、今年がロシア・日本の友好年ということでありまして、日本人の子供たちと日本に住むロシア人の子供たちを招きまして、ISSのアントン・シュカプレロフ飛行士、金井飛行士との交信イベントを5月18日に実施することにしておりますので、ぜひご参加いただければと思います。

宇宙探査イノベーションハブ第4回研究提案募集(RFP)の開始について

 JAXAでは、科学技術振興機構(JST)の支援のもと、宇宙探査イノベーションハブという事業を進めています。民間企業と共同研究により、将来の月・火星等における探査技術の開発と、民間企業による地上ビジネスでのイノベーション創出の両方を目指すものです。
 この探査ハブは平成27年度から開始しておりまして、今年で4年度目に入りました。昨年度まで、3度の研究提案募集(RFP)及びその選定を行い、終了しましたものも含め、これまでのところ、企業等91機関と計54件の共同研究を進めてまいりました。
 4月20日に、宇宙探査イノベーションハブへの参加をご希望する皆様に対しまして、第4回目となる研究提案募集(RFP: Request for Proposal)を発出しました。
 宇宙探査技術のうち、地上技術とのマッチングが期待できる技術分野のポートフォリオ、つまりさまざまな提案のリストというべきものですけれども、探る、立てる、作る、住むの4カテゴリーから要素技術をブレークダウンしたものをもとに、すべての分野をカバーするように募集をしています。今回の4回目では、過去のRFPで実施していない分野や一部システム技術も含めたテーマを募集しています。
 宇宙探査イノベーションハブは、宇宙探査という新しい分野に、最先端の技術をお持ちになる我が国の企業や大学からの参画を広く求めております。本RFPへの研究提案の締め切りは6月5日(水)としておりまして、8月頃に選定課題を決定し、順次から共同研究契約に向けた調整を開始することを予定しております。詳細はJAXA HPに掲載しております。

「次世代赤外線天文衛星 SPICA(スピカ)」について

 JAXAは次世代赤外線天文衛星 SPICAについて、日欧共同ミッションとして、計画を検討してまいりました。日本では、JAXAの「戦略的中型計画」の「候補」ミッションとして技術検討などを行うと同時に、欧州におきましては「ESAコスミックビジョン の中型ミッション5号機(M5)」の公募に応募して選定を待っているところでありました。
 このESAにおける中型ミッション5号機の選定は2段階で行われますが、今回一次選抜の結果が発表されました。SPICAは、他の2件とともに全25件の中から採択されました。これは、日欧共同プロジェクトの立ち上げに向けての一歩前進となるというふうに考えております。今後は、2021年に3件のうちの1つが最終選抜される予定と聞いております。
 SPICAというのはSpace Infrared Telescope for Cosmology and Astrophysicsの頭文字を並べたものですけれども、これまでにない超高感度での赤外線による宇宙観測を行うことで、従来は観測できなかったダストやガスを大量に含む銀河を調べて、その進化を明らかにして、さらに惑星系が誕生・進化する過程等を明らかにする、これを目的とした次世代の赤外線天文衛星計画です。
 日本では、JAXAを中心に、名古屋大学をはじめとする国内の大学等の研究者が参画しています。海外では、オランダの宇宙科学研究所SRON(Netherlands Institute for Space Research)を中心とした欧州の16カ国に加えまして、米国、カナダ、台湾等の研究者が参加しております。
 このSPICAを実現するために不可欠な技術である極低温冷却技術は、JAXAがこれまでに蓄積してきた強みを持つ技術を発展させて適用するものです。また、日本のSPICAチームにて、搭載する機器や観測装置の提案を行うなど計画の検討を積極的に進めてまいりました。
 今後の我が国の戦略的中型計画における候補ミッションの1つとして、JAXAとしても引き続き、ESA、欧州等とともにSPICAの検討を精力的に進めていきたいと考えております。

航空技術部門における取組みについて

 航空技術部門における取組みについて、2つ紹介します。

(1)晴天乱気流検知システムのエコ・デモンストレータープログラム2018(エコデモ)による飛行試験の進捗について

 1つ目は、晴天乱気流検知システム、エコ・デモンストレータープログラムといっておりますけれども、その飛行試験が実施されました。今年1月の会見でもご案内しているようですが、SafeAvio実用化促進事業の一環として、ボーイング社の飛行実証機に、SafeAvioプロジェクトにて技術実証を用いた晴天乱気流検知システム、具体的には航空機搭載用のドップラーライダーを搭載した飛行試験をワシントン州シアトルにて進めておりました。JAXAの晴天乱気流検知システムを含む約40の技術の飛行試験が8週間にわたり行われ、4月30日をもって無事に終了しました。このJAXA晴天乱気流検知システムの計画したデータ取得は予定どおり実施できたことを報告いたします。今後、ボーイング社からのデータの評価を頂くとともに、取得したデータの解析を進めてまいります。
 また、フライトの実績をもとに大型旅客機への実装についての実現性や実用化に向けた技術課題など確認をしていくことになります。このエコ・デモンストレータープログラムの成果を、乱気流検知システムの製作メーカでありますMELCO(三菱電機)さんとともに、実用化に向けて活かしていきたいと考えております。

(2)aFJR (Advanced Fan Jet Research、高効率軽量ファン・タービン技術実証)プロジェクトの成果

 aFJR、Advanced Fan Jet Research、日本語でいいますと高効率軽量ファン・タービン技術実証プロジェクトというのがございます。
 2015年1月から開始した、次世代航空エンジンに求められます高効率・軽量なファン・低圧タービンを研究開発・実証する「aFJRプロジェクト」は、2017年度末を持ってプロジェクト期間が終了しました。このaFJRプロジェクトでは、ファンと低圧タービンについて高効率化と軽量化の技術をメーカと共同で開発しました。例えば、CFRP製のファンブレードを中空化により軽量化されるのですけれども、そういった技術を開発しました。国内メーカが将来エンジンの国際共同開発に参画する際には、aFJRの技術を活用していただきたいと期待しています。国内メーカの製造技術も活かしつつ、得た実証データは、実際の機体、実機開発でも活かされると考えています。
 本プロジェクトに参加している企業とともにその成果についての説明会を今月中に開催予定です。詳細が決まり次第、皆様にお知らせいたします。

人物紹介(新任理事 佐野理事、中村理事)

 4月1日付で、新しく4名の新任理事を任命し、先月は國中理事を紹介させていただきました。今回は、2名の理事を紹介いたします。
 先ほど業務内容をご紹介いたしました航空技術部門長である佐野久理事、それから広報部をはじめ総務部、評価・監査部、調査国際部、新事業促進部を統括する中村雅人理事です。
 後ほど、自己紹介をさせて頂きます。

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