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宇宙での太陽光発電、実用化に向けて 宇宙太陽光利用システム(SSPS)研究計画担当 福室康行

宇宙太陽光利用システム(SSPS:Space Solar Power Systems)とは、静止軌道上で太陽光を集めて、マイクロ波やレーザー光といった電磁波の形でエネルギーを取り出し、そのエネルギーを地上あるいは海上の受電施設に伝送して、電気や水素を作り出して利用するシステムです。宇宙での太陽光発電は、昼夜や天候にかかわらず発電が可能ですし、太陽がある限り続けることができますので、資源の枯渇を心配する必要もありません。また、地球環境に優しいクリーンエネルギーでもあります。

太陽光を利用したクリーン・エネルギーの供給

Q. 宇宙太陽光利用システム(SSPS)とはどのようなシステムでしょうか?

レーザー光タイプのSSPS
レーザー光タイプのSSPS

宇宙太陽光利用システム(SSPS)は、静止軌道上で太陽光を効率的に集めてエネルギーを生み出す「宇宙太陽光発電所」です。そのエネルギーを地上に送って、電力や水素の形で利用します。SSPSは、宇宙空間に設置する太陽光を集めてマイクロ波やレーザー光に変換して地上に送る発電・送電施設と、それを地上で受ける受電施設で構成されます。
電子レンジや携帯電話などに使われるマイクロ波と、パソコンのプリンターやプレゼンテーションに使うポインターなどに使われるレーザー光では、性質も機能も異なりますが、どちらの方法で伝送をするか、または両方の技術を組み合わせて伝送するかは、まだ決まっていません。 現在、地上での実験をかさね、より効率的な方法を研究しています。
いずれにしろ、静止軌道上であれば、天候や季節、昼夜にほとんど左右されることなく太陽光が照りつけますので、とても効率よく太陽光エネルギーを集めることができます。エネルギー源が太陽なので、天然ガスや石油などと違って枯渇する可能性がほとんどなく、太陽がある限り続けることができるのです。また、宇宙空間で発電しますから二酸化炭素の排出は受電施設のみであり、非常に少なく、地球環境にも優しいと言えるでしょう。

Q. SSPSのアイデアはいつ生まれたのでしょうか?

宇宙空間における太陽光発電のアイデアが生まれたのは、1968年のことで、アメリカのピーター・グレイザー博士が発案しました。これは、宇宙空間に大型の太陽電池パネルをひろげて発電し、そのエネルギーをマイクロ波に変換して地上に伝送するというものでした。これを受けて、アメリカのNASAとエネルギー省が、具体化に向けた検討を始めたのです。ところが、宇宙太陽光発電所は予算的にかなり大規模なプロジェクトだったため、アメリカでは、レーガン政権時代に、財政難を理由に計画が縮小されてしまったのです。一方、日本では、エネルギー資源が乏しいという自国のエネルギー事情もあったと思いますが、早い段階からSSPSの研究がすすめられて、現在も多くの大学やJAXAで研究が行われています。

世界をリードする日本のSSPS開発

Q. 日本のSSPSの研究どのくらい進んでいるのでしょうか?

マイクロ波タイプのSSPS
マイクロ波タイプのSSPS

静止軌道上で太陽光を効率よく集光するシステムやエネルギーの無線伝送技術など、SSPSを実現するための技術的な課題はたくさんありますが、原理的には実現可能なところまできていると考えられ、検討段階から技術的な実証段階へと移ったところです。研究者の間では、2030年代の実用化を目標に、世界で初めての1kW級無線送電技術の実証実験準備に着手しました。この点で日本のSSPSの研究は世界をリードしていると言ってもよいでしょう。これは、SSPSの研究を長年継続してきた結果だと思います。

Q. 日本のSSPSの技術で、ここはスゴイ!というところを教えてください。マイクロ波を使った送電については、マイクロ波の送信方向を制御して、静止軌道上から地上にある受電施設に正確に伝送するのはとても難しい技術です。高度36,000kmの軌道上から地上にあるおよそ直径3kmのグラウンドのような平面にマイクロ波を送るのは、小さい針の穴に糸を通すようなイメージです。この技術は日本が最も進んでいると思います。
また、レーザー光を使う場合にも大型の反射鏡によって太陽光を集めますが、この集光部で、太陽光のエネルギーを直接レーザー光の励起エネルギーとして利用するのが特徴です。このため、構造がシンプルにでき、小型軽量化が可能になると期待しています。

  
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