ご覧いただいているページに掲載されている情報は、過去のものであり、最新のものとは異なる場合があります。
掲載年についてはインタビュー 一覧特集 一覧にてご確認いただけます。


災害時にも役立つSSPSの技術

Q. SSPSが実現することによって、一般の生活にどう貢献しますか?

レーザー光タイプのSSPS
レーザー光タイプのSSPS

太陽がある限り発電できるという点では、エネルギーの供給に大きく貢献すると思います。私たちの生活に直接役立つという意味では、やはり電力エネルギーとしての需要に十分応えられるシステムであることです。
また、マイクロ波の受電施設には、レクテナという平板のアンテナを使用し、これによってマイクロ波は電力エネルギーに変換されますが、この技術が災害時などに役立つと思います。例えば、薄くて折りたたみのできるレクテナを、自然災害などで停電してしまった場合に広げて、上空からマイクロ波を受けて、それを電力エネルギーに変換するといった具合です。
さらに、SSPSのような大型の構造物を宇宙で建設するためには、新しい宇宙輸送システムや高性能ロボットが必要になってくると思います。そのための研究開発を進めることで、日本のロケットやロボット技術が進展し、産業界にも貢献するのではと思います。

Q. マイクロ波やレーザー光で送電することに対する安全性の心配ないのでしょうか?

マイクロ波のエネルギー強度は太陽光と同じくらいのエネルギーにする予定です。しかし、もしも地上にある受電施設からマイクロ波ビームがずれて地上の生物が浴びたとしても、安全性に問題がないように十分な対策をとる必要があります。例えば、いくらマイクロ波が弱いと言っても、長時間人間が浴びたらどのような影響を与えるかといったことが、まだ完全に解明されていないところがありますから、受電施設の周囲の安全を十分に確保するといった運用面での対策は必要だと思います。
またレーザー光に関しても、地上からのガイド信号光を目標にしてレーザー光を伝送し、万が一、送電施設の姿勢がずれたりしてガイド信号光が途切れたら、すぐに伝送をストップするなど、安全策が必要です。

2030年代の実用化をめざして

Q. 国際的な研究協力関係についてはいかがでしょうか?

マイクロ波タイプのSSPS
マイクロ波タイプのSSPS

SSPSについてはまだ基礎研究段階ですし、実証実験など積極的に研究を進めているのが日本だけということもあり、具体的な国際協力の話はまだ進んでいません。しかし、いざ実現するとなると、資金的にも一国だけでは非常に難しいと思いますので、やはり、国際的なプロジェクトで進めていく必要があると思います。 Q. 今後の目標は何でしょうか?SSPSの研究で日本が世界をリードしているのは、やはり、長年研究を続けてきたからだと思います。将来の実用化を目指して、これからも地道に技術実証を積み重ねていきたいと思います。
もし日本がSSPSの技術を確立できれば、現在輸入に頼っているエネルギー資源を、逆に輸出できる可能性もでてきます。日本が主導となって世界のエネルギー需給に貢献できるよう、SSPSの技術開発を先行して進めていきたいと思います。

福室康行(ふくむろやすゆき)
JAXA 研究開発本部 未踏技術研究センター 高度ミッション研究グループ
1981年、宇宙開発事業団(現JAXA)に入社。プロジェクトの計画管理、広報、財務会計システム整備等に従事。2007年10月より宇宙太陽光利用システム(SSPS)研究計画担当。

Back
1   2
インタビューバックナンバーへ