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人工衛星についてのFAQ(よくある質問と回答)

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  • Q1
  • 地球の周りを回っている人工衛星の数はいくつくらいありますか?

  • A1
  • これまでに世界各国で打ち上げられた人工衛星は2009年3月時点で6000個を超えていますが、地上に回収されたものや、高度が下がって落下したものを除いても、周回中の衛星は約3000個以上あると言われています。またロケットの機体や、アポジモータなど人工衛星以外にも地球の周りを回り続けているものとしてスペースデブリ(宇宙ゴミ)がありますが、直径10cm以上のものについては、地上のレーダで監視されています。

  • Q2
  • 地上から人工衛星は見えますか?

  • A2
  • 「国際宇宙ステーション(ISS)」や「だいち」等の高度1000キロメートル以下の軌道上を回っている人工衛星は、十分に肉眼で見ることが可能です。ただし、衛星軌道の高度が低いため太陽光を反射し、かつ、空が暗いという両方の条件が成立する日没、夜明け付近の時間帯に観測時間は限られます。次に、市販されている天体望遠鏡の一般的なケースとして口径6センチメートルの場合を例にとって考えますと、観測可能な静止衛星は直径約6メートル、観測光の蓄積をしない場合で直径数十メートルの静止衛星といわれており、太陽電池パドルを持つ大型の静止衛星ならば、理論的には何とか観測できる可能性があります。なお、静止衛星軌道の高度は大変高いことから、夜通し太陽光を反射しているため観測は一晩中可能です。

  • Q3
  • どんな人工衛星を開発してきたのですか?

  • A3
  • いろいろな人工衛星がありますが、JAXAではこれまで主に以下のような人工衛星を開発してきました。
    1. 通信・放送衛星
      「きずな」や「きく8号」など地上との通信インフラを担う人工衛星です。
    2. 地球観測・気象衛星
      「いぶき」や「だいち」など地球環境を観測し、地球環境変動に貢献する人工衛星です。
    3. 天文観測衛星
      「あかり」や「すざく」など、宇宙から発するX線や赤外線などの電磁波を観測し、宇宙について解明する人工衛星です。
    4. 月・惑星探査機
      「かぐや」など、太陽系の惑星、月、小惑星を直接探査する探査機です。
    5. 技術開発・試験・工学実験衛星
      「きく(ETS)」シリーズや「MUSES」シリーズなど、新しい技術や工学的な試験をする人工衛星です。

  • Q4
  • 人工衛星を載せたロケットは、なぜ東向きに打ち上げるのですか?

  • A4
  • 人工衛星などを地球の軌道に投入するためには、非常に大きなスピードが必要になります。そのスピードを少しでも稼ぐために、地球の自転方向である東側に向けて打ち上げを行います。
    地球は1日に1回転(自転)していますが、この回転の方向は、西から東に向けて回転しています(太陽が東から西に動いてみえるのはこのためです)。また、その時の地表の速度は、北極や南極に近いほど遅く、赤道に近いほど速くなっています。
    宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げを行っている種子島宇宙センターは、北緯約30度ですが、そこでの自転の速度は秒速約400メートルにもなります。
    つまり、ロケットを打ち上げる場合、東側に打ち上げることによって、地球の自転速度を有効に利用することができ、エネルギー的に効率がよくなります。結果として、同じロケットでも、より重い人工衛星を打ち上げることができます。ちなみに、真西に打ち上げる場合の人工衛星の質量は、真東に打ち上げる時のほぼ2分の1の物しか打ち上げられなくなってしまいます。それほど地球の自転速度は、打ち上げる人工衛星の質量に影響しているわけです。このようにして打ち上げられた人工衛星は、地球を西から東に回る軌道に投入されることになります。
    しかしながら、人工衛星はそれぞれの目的を持って打ち上げられ、かつその目的を達成するために適した軌道に投入されます。したがってすべての人工衛星が必ずしも東側に向けて打ち上げられているわけではありません。地球観測衛星は全地球を効率的に観測するため、投入される軌道は、地球の北極と南極上空を通る、ほぼ縦に回る軌道(極軌道)に投入されますが、この場合は、南に向けてロケットを打ち上げます。またイスラエルではこれまで数回人工衛星の打ち上げを行っていますが、自国の東側には他の国があるため、西側に向けて打ち上げを行っている、という例もあります。

  • Q5
  • 人工衛星にはなぜいろいろな形があるのですか?

  • A5
  • 人工衛星には通信衛星、放送衛星、気象観測衛星、測地衛星、地球観測衛星、科学衛星など、その目的に応じていろいろな種類があります。このように衛星はそれぞれ目的をもって打ち上げられていますが、当然のことながらその目的によって人工衛星に搭載する機器などが異なってきます。また、同じ種類の人工衛星であっても、搭載する機器の性能・能力が異なる場合が多いのですが、そのことにより、搭載する機器の大きさなども違ってきます。
    人工衛星の設計を行い、その形状を決定するためには、その衛星に搭載する各種の機器を効率的に配置できるように行います。
    また、衛星内部の熱制御、姿勢・軌道制御のための装置、電源系、衛星内部の状況を地上に送るための通信装置などを搭載し、さらに衛星全体の重心の決定など、慎重な設計がなされます。従って人工衛星は、それぞれ独自に設計がなされることとなり、形状もそれぞれの衛星で異なってきます。

  • Q6
  • 静止衛星はどうして止まっていられるのですか?

  • A6
  • 静止衛星とは、赤道上空の高度約36000キロメートルの円軌道を周回(速度約3キロメートル/秒)する軌道です。人工衛星の地球を回る(公転する)周期は、地球の自転周期と同じ約24時間です。地上から見ると常に「静止」しているように見えるため、「静止衛星」と呼ばれ、気象衛星や通信・放送衛星などに広く使われています。

  • Q7
  • 宇宙で衛星同士がぶつかることはないのですか?

  • A7
  • 1957年の旧ソ連による世界初の人工衛星打ち上げ以来、これまでに6000個以上の人工衛星などが打ち上げられていると言われています。また、人工衛星を地球の軌道に投入するためには、最終的にロケットで人工衛星を加速する必要がありますが、その燃え殻も人工衛星と同じ軌道に入ってしまいます。さらにスペースデブリ(宇宙ゴミ)と呼ばれる壊れた衛星の破片なども衛星軌道を回っていますが、10cm以上の大きさのものについては、地上のレーダで監視されています。
    比較的地球に近いところを回る人工衛星などは、地球大気圏に突入して燃え尽きてしまいますが、それでも、現時点で相当な数の人工衛星などが地球の周りを回っているのは事実です。
    しかし、宇宙空間はとても広いということと、打ち上げられる人工衛星は、それぞれ異なった軌道(通り道)に投入されているため、衛星同士がぶつかる確率は極めて低いですが、1986年にフランスの小型衛星シリーズと、アリアンロケットが起こした爆発の際に発生したと思われる破片が衝突した例や、2009年にロシアの軍事衛星と民間の通信衛星が衝突した例があります。
    また、1996年の若田飛行士の搭乗したスペースシャトルでは、他の衛星がシャトルの軌道に接近するということで、シャトルの軌道を変更したということもあります。
    今、世界の宇宙機関の間では、スペースデブリに今後どのように対処するかを検討しているところです。

  • Q8
  • 使い終わった人工衛星はどうなるのですか?

  • A8
  • 運用が終了した衛星は、できるだけ早く大気圏に突入させるか、もしくは運用中の衛星の邪魔にならないよう高度が300キロメートル以上離れた軌道に移動させる、といった対策がとられています。それらの衛星は残骸としてしばらくの間地球の周りを回り続けることになりますが、軌道の比較的低いもの(地球表面上から数百キロメートル程度)は、やがて数年から数十年で地球の大気圏に突入して燃え尽きてしまいます。より高い軌道(地球表面上から数千キロメートル以上)を周回する衛星は、数百年以上も地球の周りを回り続けることになります。
    これら衛星軌道を回っている残骸などは、スペースデブリ(宇宙ゴミ)として、今問題になっており、世界各国でいろいろと検討を行っています。

  • Q9
  • 打ち上げに失敗した衛星はどうして回収できないのですか?

  • A9
  • ロケットで衛星を打ち上げる場合、大きく分けて「ロケット系の故障・失敗」と「人工衛星そのものの故障・失敗」があります。
    ロケット系の故障では、打ち上げ途中でロケットの飛行コースがそれて軌道に到達できない場合(1)は、人工衛星は地球に落ちて完全に壊れてしまいます。また、打ち上げ途中でロケットが爆発した場合(2)は、人工衛星も完全に破壊されてしまいます。また、人工衛星が軌道には乗ったものの、その軌道が予定した軌道ではなく、当初目的とした衛星の利用ができない場合(3)があります。
    人工衛星の故障・失敗では、打ち上げ途中で衛星の内部の機械が何らかの理由で破損し、軌道に乗った後、目的の運用・利用ができない場合(4)があります。
    (1)や(2)のように、ロケット打ち上げ途中で、衛星が軌道に乗る前の失敗の場合は、回収は不可能あるいは回収できたとしても衛星は完全に壊れていますので、回収は無意味となります。
    (3)や(4)の場合は、衛星を回収して再利用できる可能性があります。しかしながら、衛星は構造上大気圏に再突入して地上で回収できるようには作られていません(もしそうすると衛星はもっと重くなり、打ち上げるためにさらに大きなロケットが必要になります。また衛星製作費もはるかに高くなってしまいます)。従って、このような衛星を回収するためには、スペースシャトルのようなもので、軌道上で回収して積んで地球に帰ってくる必要があります。この回収を行う場合は、シャトルの打ち上げ、回収作業など、相当な費用がかかります。また、静止衛星で(4)の場合はそもそもそこまで行って回収する宇宙機が存在しません。
    いずれにしても、故障した衛星を回収して再利用するか否かは、その衛星の故障の具合、衛星利用の重要度、回収・再利用に要する費用と再度新規に製作・打ち上げをする費用の比較、回収のための技術的な可否、軌道上における衛星の修理の技術的な可否など、さまざまな検討を行うことは必要となりますが、これまでほとんどの場合、回収・再利用は行っておりません(過去に1回、スペースシャトルで、故障した衛星を回収し、地球に持ち帰り、修理した上、再度打ち上げられたことはあります) 。
    今後、スペースシャトルのような輸送機関が、もっと安価に開発・運用されることになれば、故障した衛星の回収・再利用は頻繁に行われることになるかも知れません。

  • Q10
  • 運用していた人工衛星が寿命を迎えるのは、どのような理由から?

  • A10
  • 一般に人工衛星の寿命をもっとも左右する要因は、その軌道と姿勢を保持するために搭載する燃料の量です。衛星が飛行する軌道高度や衛星の燃料を除く質量、また打ち上げに使用するロケットの打ち上げ能力などの制約を総合的に検討し、打ち上げ時の搭載燃料の量は決定されます。その量において、確実に軌道・姿勢を保持できるであろう期間が衛星のおおよその寿命となります。なお、バッテリや太陽電池の耐久性なども寿命を左右しますが、たいていの場合燃料が底を尽きて運用は停止となります。

  • Q11
  • 人工衛星の愛称はどのようにして決められるのでしょうか?

  • A11
  • 例えば、1975年9月9日に打ち上げた技術試験衛星(ETS-I)に重陽(ちょうよう)の節句を記念して「きく」という愛称をつけました。その後、気象衛星は「ひまわり」、通信衛星は「あやめ」「さくら」、放送衛星は「ゆり」、電離層観測衛星「うめ」、測地実験衛星「あじさい」、海洋観測衛星「もも」と、次々に打ち上げられる人工衛星がロケットから分離し、予定された軌道に乗った時点で、〜宇宙に花開け〜との願いを込めて花の名前がつけられてきました。それぞれの愛称は人工衛星の特徴をよく表しています。
    科学衛星の場合、衛星はその種類に応じて「ASTRO-A(1番目の天文観測衛星)」というような、名前が付けられています。打ち上げ予定日の1週間前頃、そのミッションに関わった人々の投票数を基本に、さまざまな条件を考慮して「衛星愛称決定委員会」が最終的に日本語の名前を決めていました。
    1992年の毛利宇宙飛行士の宇宙飛行では、より多くの方に宇宙を身近に感じていただきたいと思い、プロジェクトの愛称を一般の方々から公募するようになりました。たくさんの方からユニークなアイディアをいただき、審査の結果「ふわっと92」という愛称がつきました。
    この頃から、人工衛星や宇宙飛行のプロジェクトでは、多くの方が親しみの持てる愛称をつけることが多くなっています。最近では「かぐや」や「いぶき」が公募で命名されました。

  • Q12
  • 人工衛星の金色の部分は何ですか?

  • A12
  • 人工衛星には、確かに金色をしたのもので衛星を包んでいるようになっている部分があります。この金色をしたものは、「サーマルブランケット」というもので、外部から人工衛星に入ってくる熱を遮断するものです。
    人工衛星の内部には当然いろいろな機械が入っており、それらの機器からの発熱によって、内部の温度は上昇します。この温度上昇は、搭載している機器に悪影響や故障の原因となる恐れがありますので、ほとんどの衛星は放熱(内部に溜まった熱を宇宙空間に捨てる)するための工夫(たとえばラジエータの様なもの)がしてあります。
    しかしながら、宇宙空間にある人工衛星は、直接太陽の光にさらされている部分の温度は100度以上にもなります。また、真空であるため、日陰の部分は逆にマイナス100度以下にもなるという過酷な条件にさらされています。従って、太陽に照らされることによって受ける熱が、衛星の内部に入ることを極力防ぐことが重要になります。
    「サーマルブランケット」は、太陽からの熱が衛星の内部に侵入することを防ぐための、いわば、消防士が着用する耐熱服のような役割をします。
    「サーマルブランケット」の素材や構造は以下のようなものです。
    カプトン(透明な薄いセルロイドのようなもの)の裏面に銀あるいはアルミニウムを蒸着させます(鏡を作るような感じです)。この厚さは10マイクロメートルから20マイクロメートルと、とても薄いものです。このカプトンを何枚も重ねますが、重ねるときに、カプトン同士の接触による熱伝導を防ぎ、断熱効果を高めるために、「ダクロン(紙のようなもの)」を間にはさみ込み、糸で縫い合わせます。つまり、カプトンとダクロンのサンドイッチ構造になるわけです。
    このカプトンとダクロンを、10層から20層も重ねますが、何層にするかはそれぞれの衛星の熱設計によって異なってきます。
    このように、衛星を設計する段階では、熱を考慮して設計することは、非常に重要な要素となります。