航空機の高速化は人類の夢ではないでしょうか。唯一の超音速旅客機「コンコルド」はパリとニューヨークで同日のビジネスを可能にしました。音速の2倍の飛行は世界の主要な地域間の移動を6時間圏内にします。これにより人類の地球規模での活動が広がり、新たなライフスタイルの創造と経済拡大効果が期待されます。残念ながらコンコルドはその高い運航コストと環境影響が主因となって、2003年に27年間の就航の幕を閉じました。しかし、常に利用者が年間約20万人もいたという事実は超音速輸送市場の存在の確かな証とも言えます。毎年の旅客需要の増大に対処するためにも、コンコルドの課題であった経済性と環境適合性を革新的に改善した次世代の超音速旅客機の実現が待望されています。既に欧米を中心にその国際共同開発を前提とした研究開発が継続的に進められています。我が国もそれに積極的に参画し、応分の貢献を果たすためには我が国の技術力の向上と独自の優位技術の獲得が重要な戦略となります。
航空プログラム超音速機チームでは、民間ではできない将来を見据えたブレークスルー技術の創出を一つの使命とし、これまで超音速機技術の研究開発を進めて参りました。経済的で環境に優しい“静かな超音速機”というコンセプトを掲げ、超音速機特有の衝撃波に基づくソニックブームの低減と離着陸騒音の低減、加えて軽量化並びに更なる空気抵抗低減を目標とした先進的な技術の研究開発を行っています。特にソニックブームの低減技術としては独自の設計コンセプトを考案し、その技術的優位性の確立を目的とした研究機による飛行実証を計画しています。また更なる高速輸送として、音速の5倍で飛行し、太平洋を2時間で横断可能とする極超音速旅客機についてもその将来の実現を見据えた技術課題の克服に向かって、機体システムの概念検討や極超音速エンジンの飛行実証技術の開発、等にも取り組んでいます。
(2009年8月4日 更新)