オーロラ観測衛星「あけぼの(EXOS-D)」

チームリーダが語る私たちのミッション

「あけぼの」は1989年2月22日に、M-3SII ロケット4号機で打ち上げられました。以来現在に至るまで、地球の周りの空間の観測を続けています。

地球の周りには、電気を持った空気でできた電離層と呼ばれる領域や、地球の磁場の力がはたらいている磁気圏と呼ばれる空間があります。これらの空間では、電気を持った空気や太陽からやってきた電離気体(プラズマ)が磁場の力を受けて、いろいろな現象を起こしています。その一つが、北極や南極で見られるオーロラです。

「あけぼの」を打ち上げた第一の目的は、オーロラ現象の解明です。オーロラを光らせるプラズマについて、多くの発見をもたらし、同時に多くの新たな疑問も生み出しました。そして、その後の「れいめい」衛星などの、オーロラ現象解明の新たな時代を目指すプロジェクトへとつながっていきました。また、「あけぼの」は、オーロラ現象だけでなく、電離した空気が地球から流れ出る様子や、生命や人工衛星にとって有害な放射線帯、濃いプラズマがたまっているプラズマ圏の観測でも、多くの成果をあげました。

「あけぼの」は、人工衛星にとってきわめて厳しい環境であるはずの放射線帯を通っているにもかかわらず、20年も継続している、世界的にも類を見ないタフな衛星です。「あけぼの」が、放射線をあびても簡単には壊れないように頑丈に作られていることが大きな要因です。また、放射線帯でオンすると性能が悪くなってしまう観測機器は、放射線帯に入る前にオフする運用を行っています。「あけぼの」は軌道周期である約3時間毎に放射線帯に入るため、普段の運用では、観測機器をこまめにオン・オフすることを繰り返しています。

いつも同じように地球に光を注いでいるように見える太陽ですが、その活動は11年の周期で変化しています。太陽の活動度を表す、表面の黒点の数は、11年周期で増えたり減ったりしています。それは、太陽の大規模な磁場の方向が、22年の周期で反転していることと深い関係があります。そして、「あけぼの」が観測しているオーロラや、放射線帯の様子は、太陽の活動度に大きく依存して変化していることがわかってきました。長期間継続した観測ならではの成果といえます。「あけぼの」を打ち上げた1989年は、太陽活動の極大期でした。現在「あけぼの」は、太陽の磁場の周期である22年間、地球の周辺のプラズマ環境を連続して観測することを目指し、運用を続けています。太陽活動の全ての局面についての観測データが揃う日も遠いことではありません。

(2008年7月4日 更新)

プロジェクトマネージャ 松岡 彩子


あけぼのが撮影したオーロラ。
白い線は、プラズマの速さと方向をあらわす。オーロラが明るく光っているところでは、プラズマの渦ができている。