X線天文衛星「すざく(ASTRO-EII)」

チームリーダが語る私たちのミッション

宇宙は我々にとってまだまだ未知の活動的な現象に満ちています。中でも、ブラックホールなどの巨大な重力を持つ天体や、宇宙の最大の天体である銀河団(数百の銀河が半径100万程度の空間に集まった天体、同時に数千万度の高温ガスと大量の暗黒物質の塊でもある)などは、様々な高エネルギー現象を引き起こし、宇宙空間にエネルギーと物質を供給し、この宇宙を形作る上で重要な役割を担っています(参照:「あすか」衛星の成果)。

日本は1979年の「はくちょう」衛星以来5つのX線天文学衛星を打ち上げ、宇宙の高エネルギー現象の解明において世界的に重要な成果をあげてきました(参照:ブラックホールの解明に日本のX線天文衛星が果たしてきた役割について、ホーキング博士へのJAXAインタビュー記事)。

「すざく」衛星は「あすか」衛星に続く5番目の衛星として、全国21の大学・研究機関、それに米国の3つの研究機関の研究者が総力を結集して開発し、さらに運用とデータ処理を行なっています。また、ヨーロッパの研究者も研究計画策定に参加しました。打上げから約半年間の試験観測により「すざく」衛星が、広いX線エネルギー(波長)範囲にわたって史上最高の感度を持つことが証明されました。試験観測からは、科学的成果として、我々の銀河中心や近傍の銀河中心の過去の爆発現象の証拠、ブラックホール近傍の時空の歪みの証拠、さらに、地球磁気圏からのX線放射など、様々な観測成果が得られています(参照:X線天文衛星「すざく」による観測結果)。

2006年4月からは、世界の研究者からの公募により観測対象を選ぶ、国際公募観測を行っていますが、これまで3回の公募では、日米欧、さらにアジアの国々から、観測時間で約4倍に相当する多数の応募がありました。これは、すざく衛星に対する世界の研究者の注目の高さを示しています。観測後一定期間(基本は1年)を過ぎたデータは、誰にでも解析できるように公開されます。試験観測のデータは2007年5月28日にまとめて公開され、国際公募データも随時公開されています。

100億光年の遠方にある巨大ブラックホールから、太陽系内のX線放射まで、今後も「すざく」衛星による科学的成果にご注目いただきたいと思います。最新の成果については「すざく」のウェブページをご覧ください。

(2008年6月15日 更新)

関連リンク:
「すざく」ウェブページ

プロジェクトマネージャ 満田 和久