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赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F) トピックス

トピックス一覧

2015年1月15日 更新
高詳細な遠赤外線全天画像データを公開

高詳細な遠赤外線全天画像データを公開

赤外線天文衛星「あかり」の観測データを用いて、東京大学を中心とするチームが新しい全天の遠赤外線画像を作成しました。JAXAも画像データの作成と公開に協力しています。
完成したデータは、これまでの遠赤外線全天画像と比較して解像度を4~5倍向上させ、観測波長もより長い波長に広げています。世界の研究者が利用できるようJAXA宇宙科学研究所を基点としてインターネットにて公開を行っています。

2014年3月20日 更新
「あかり」が捉えた星間有機物の進化

「あかり」が捉えた星間有機物の進化

赤外線天文衛星「あかり」のデータから、我々の銀河系内に広く豊富に分布し、生命の起原物質の一つとしても注目されている、多環芳香族炭化水素(PAH)と呼ばれる有機物分子について、その大きさを推定する手がかりや、周囲の環境に応じて「変成」を受け、構造が変わっていく様子が明らかになりました。
東京大学を中心とする研究グループによって行われたこの研究の成果は、アメリカの天体物理学の専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」の2014年3月20日号に掲載されました。

2013年1月11日 更新
大マゼラン雲の赤外線天体カタログを公開

JAXAは、赤外線天文衛星「あかり」の観測から作成した大マゼラン雲の赤外線天体のカタログを全世界に向けて公開しました。今回公開した「点光源カタログ」は大マゼラン雲のカタログとしては最大規模のもので、「スペクトルカタログ」は世界で初めてのデータです。これらは、大マゼラン雲中の天体を正確に分類し、生まれたばかりの星や、進化した星の研究を大きく推進させる重要なデータとなります。

2012年2月8日 更新
「あかり」が超新星残骸から一酸化炭素を検出

赤外線天文衛星「あかり」は2011年11月24日に運用を終了しましたが、運用時に得られた膨大な観測データの解析は今も続けられています。
このたび「あかり」による観測で、若い超新星残骸「カシオペア座A」に一酸化炭素分子を検出しました。超新星残骸は高温のガスに満たされており分子が存在できないと考えられていたため、今回の発見は予想外のことでした。のみならず、宇宙初期に超新星爆発によって作られる固体微粒子(塵)の量が、これまでの予想より少なく、宇宙の物質進化のシナリオに再考を促す可能性のある重要な発見となりました。

2011年11月24日 更新
「あかり」の運用を終了

赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)は、2011年5月24日に発生した電力異常により科学観測を終了したことを受け、11月24日(午後5時23分)に停波作業を行いその運用を終了しました。
2006年2月22日に打ち上げられた日本初の赤外線天文衛星の「あかり」は、目標寿命3年を超え長く運用され、宇宙最初の星の光を捉えたり約130万天体に及ぶ「赤外線天体カタログ」を作成する等、赤外線天文学に関する多くの成果をあげてきました。

2011年10月21日 更新
「あかり」が捉えた宇宙最初の星の光

赤外線天文衛星「あかり」が波長1~4マイクロメートルで空の明るさを観測し、既知の天体では説明できない大きな明るさのむら(揺らぎ)があることを見いだしました。これはビッグバンから約3億年後に宇宙で最初に生まれた星(第一世代の星)の集団に起因するものと考えられ、これまでほとんど知られていなかった宇宙初期における星生成活動の解明に重要な貢献をなすものと考えられています。この結果は11月1日発行のアメリカの学術雑誌 The Astrophysical Journal に掲載される予定です。

2011年10月13日 更新
星空の砂金採り~ 「あかり」による世界最大の小惑星カタログ

「あかり」全天サーベイ観測の膨大なデータから、砂金採りのように小惑星の存在のわずかな形跡を1つ1つ探し出し、小惑星カタログが作られました。このカタログには小惑星5120個が掲載されており、小惑星の大きさを収録したものとしては世界最大のものです。日本の天文衛星によって世界中の研究者が参照するデータベースを提供するという意義は大きく、小惑星の詳細な研究が国内外でさらに発展することが期待されます。

2011年8月10日 更新
「あかり」宇宙からの謎の遠赤外線放射を検出

赤外線天文衛星「あかり」が、銀河系の外側の宇宙の明るさ(宇宙背景放射)を観測した結果、謎の遠赤外線放射を検出しました。
銀河系外の宇宙は、宇宙の果てまでの膨大な数の銀河の光が合わさって、ぼんやりと光っているはずです。遠赤外線では、これが宇宙背景放射のすべてと考えられていました。ところが、「あかり」が観測した宇宙背景放射は、銀河の光を合わせた明るさの最新の予想値よりも、2倍も明るいものでした。観測データを詳細に分析したところ、宇宙初期に作られたブラックホールからの放射など、未知の放射で照らされている可能性が出てきました。この観測結果は、宇宙初期の天体形成や銀河進化の研究に重要な手がかりとなるかもしれません。
図:「あかり」によるADF-S領域の遠赤外線画像(波長90マイクロメートル)。

2011年6月17日 更新
「あかり」科学観測を終了

2006年2月22日に打ち上げられた赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)は、目標寿命3年を超えて観測運用を行い、赤外線天文学に関する多くの成果をあげてきましたが、2011年5月24日に発生した電力異常による影響で、日陰と日照のたびに電源のONとOFFを繰り返す状態となっています。
この影響により、その後、通信や姿勢制御等の衛星運用の制約が大きくなり、科学観測を再開することが困難な状態であるとの判断に至りました。
今後は引き続き電力異常の原因を調査するとともに、確実な停波に向けた運用を行っていきます。

2011年5月24日 更新
「あかり」の電力異常について

2006年2月22日に打ち上げた赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)は、赤外線で輝く天体のカタログ(住所録)作成や中間赤外線による赤色巨星の観測を行うなど、運用期間最低1年、目標寿命3年を超えて運用してきましたが、2011年5月24日5:30頃(日本時間)、消費電力を削減するモードに移行し、搭載観測機器等の電源がオフ状態となっていることが判明しました。
現在は、太陽電池パドルによる電力発生のある時間帯のみ、衛星への電力供給がなされている状態です。JAXAは、事象の原因調査とともに必要な対策を講じていきます。

2011年3月25日 更新
「あかり」が星の終末期の現象を観測

赤外線天文衛星「あかり」が、赤色巨星を取り巻く塵(ダスト)の衣を、これまでにない精度で観測しました。
塵は、太陽のような星の終末の姿である赤色巨星が、炭素などの元素を含む自らの物質を放出(質量放出)して作ったものです。今回、地上からは観測できない遠赤外線や、世界で初めての中間赤外線による観測を可能にする「あかり」を使うことで、質量放出がいつどのように行われたかを克明に描き出すことが出来ました。観測結果は、謎に包まれていた星の終末期の現象を明らかにし、我々の体や身の回りのものに含まれる炭素などがどのような仕組みで供給されてきたのかを知る手がかりとなります。
今後、中間赤外線による詳細な撮像観測が可能になれば、さらに多くの赤色巨星で質量放出の詳細が明らかになります。

2011年1月17日 更新
「あかり」と「すざく」が超新星爆発に伴う塵生成の兆候を確認

赤外線天文衛星「あかり」とX線天文衛星「すざく」は「(通称)ティコの超新星残骸」の観測を行っています。
観測では、超新星から放出された元素が凝縮して、塵が新たに作られる可能性を世界で初めて示しました。惑星の原料ともなる塵が、超新星爆発に伴ってどのように作られ、壊されるのかはいまだに全容がわかっておらず、惑星や生命の起源の解明に繋がる非常に貴重なデータとなりました。

2010年6月23日 更新
あかり+すばる+スピッツァー、連係プレーで惑星誕生の謎に迫る

JAXAおよび東京大学の研究者を中心とする研究チームは、赤外線天文衛星「あかり」や「すばる望遠鏡」など3つの望遠鏡を駆使した赤外線観測から、極めて活発な惑星系形成活動がHD165014という星で進行している可能性があることを発見しました。この星の周囲では、惑星の材料である微惑星同士が衝突することで、多量の塵がまき散らされているようです。さらに、観測で得られたスペクトルから、まき散らされている塵が主に結晶質のケイ酸塩鉱物でできているということを特定することもできました。3望遠鏡の連係プレーによって惑星系形成の鍵をにぎる重要な天体が新たに一つ見つかったことで、今後、惑星系の生い立ち・太陽系の歴史のさらなる解明につながると期待されます。

2010年5月7日 更新
「Astronomy and Astrophysics」誌で「あかり」の科学的成果を特集

ヨーロッパの最も代表的な天文学・天体物理学分野の論文誌「Astronomy and Astrophysics」の2010年5月発行号で、「あかり」の科学的成果が特集されました。発表されたばかりの「あかり」の全天観測に関する論文や、太陽系の天体から遠方の銀河まで特定のターゲットに限定した観測に関する論文など、様々なトピックスにまたがる17件の論文を掲載しています。

2010年3月30日 更新
「あかり」赤外線天体カタログ、日本から世界に公開へ

赤外線天文衛星「あかり」が観測した、約130万天体にも及ぶ赤外線で輝く天体の情報を集めた赤外線天体のカタログ(住所録)が、本日、世界の研究者に向けて公開されました。
今回の一般公開により日本発のカタログが、赤外線天文分野のみならず、電波からX線にいたる広範な天文研究者によって多種多様な天体の研究に使われ、また地上望遠鏡から天文衛星まで、さまざまな天文台で観測計画のもとになるカタログとしても使われることになります。

2008年11月19日 更新
「あかり」赤外線カタログの初版完成と、最新の科学成果


「あかり」の最新の成果をお届けします。全天を遠赤外線と中間赤外線でくまなく観測したデータから、赤外線で輝く天体のカタログ(住所録)の初版が完成しました。また、特定の天体を詳細に観測したデータの解析が進み、その科学的成果の一部が、本年12月に日本天文学会欧文報告雑誌の「あかり特集号2」として刊行される予定です。今回はその中から、年老いた星や超新星と、宇宙空間に漂うガスや塵(星間物質)との間で起きる様々な興味深い営みに関する、三つの研究成果について報告します。

2008年3月24日 更新
「あかり」、超新星爆発から宇宙塵が誕生する現場を捉える!

東京大学、宇宙航空研究開発機構、北海道大学、広島大学などの研究者からなるグループは、赤外線天文衛星「あかり」衛星を用いて、板垣公一さんによって発見された超新星2006jcの観測を行い、すばる望遠鏡、MAGNUM望遠鏡、かなた望遠鏡などによる継続的な地上観測との連携の下、その謎の解明に取り組みました。

その結果、超新星爆発によって終焉を迎えた星が宇宙空間に撒き散らす物質中で、惑星や生命体などの原材料である宇宙塵が誕生する現場が、初めて詳細に捉えられました。同時に、これらの可視光から赤外線にかけての多波長で行われた観測データと、最新の理論モデルの比較を通して、太陽の40倍以上の質量の星が一生の中で度重なる質量放出活動を経て超新星爆発に至るまでの描像を得ることに成功し、その過程で形成された炭素質や珪素質の塵が化学的に豊かな宇宙環境を作る様子を明らかにしました。

これらの研究結果は、日本天文学会2008年春季年会において発表されます。

詳細はこちら>>

    2007年9月5日 更新
    「あかり」が見た近傍銀河の星生成領域と宇宙の果て

    「あかり」の搭載観測機器のひとつである遠赤外線サーベイヤは、打上げから約1年半後の今年8月26日、「あかり」衛星に積まれた液体ヘリウムが無くなり、FISは温度上昇とともに観測を終了しました。現在、多くの研究者が、500日を越えるFISの貴重な観測データの解析を進めています。
    今回取り上げる二つの観測成果(1.星生成が内より外で活発:風変わりな渦巻銀河M101M、2.遠赤外線で宇宙の果てに迫る)は、FISの観測データのごく一部ですが、FISの観測データの素晴らしさを示すよい例となっています。

    詳しくは「あかり」プロジェクトページへ>>

    宇宙科学研究本部 トピックス>>

      2007年8月28日 更新
      赤外線天文衛星「あかり」主要ミッションを終了
      -観測運用は新たな段階へ-

      赤外線天文衛星「あかり」は2006年5月8日の本観測開始以来順調に運用を続けていましたが、2007年8月26日17時33分(日本時間)、観測装置と望遠鏡を冷却している液体ヘリウムを使い切ったため、全天サーベイを含む遠赤外線ならびに中間赤外線での観測を終了しました。

      打上げからの液体ヘリウム保持期間は550日におよび、「あかり」は当初の目標である1年を越えて観測を継続しました。この間に、全天の約94%の領域について遠赤外線サーベイ観測を、また中間赤外線サーベイ観測や5000回以上の指向観測を達成しました。得られた観測データの解析が、精力的に進められています。

      今後、「あかり」は観測装置の冷却を機械式冷凍機のみで行う状態に移行し、この状態で性能を発揮する近赤外線装置を使った観測を続ける予定です。しばらくは、そのための準備と装置の性能評価を行います。

      「あかり」を応援して頂いた皆様に深く感謝致します。

      -「あかり」プロジェクトマネージャー 村上 浩 -


      画像:「あかり」によるケフェウス座の散光星雲IC1396の赤外線画像(2006年8月28日発表)

        2007年7月11日 更新
        観測開始から1年、「あかり」が見た宇宙

        赤外線天文衛星「あかり」は2006年5月の観測開始以来、全天観測による宇宙の赤外線地図作りや、指向観測(一定方向の詳細観測)を行ってきました。今回は全天画像,オリオン座~天の川の遠赤外線画像、はくちょう座X領域遠赤外線画像などのすばらしい画像をご紹介します。

        詳細はこちら>>

          2006年11月2日 更新
          まもなく第1回目の全天サーベイ観測が完了 星形成が活発な「大マゼラン星雲」の画像を公開

          赤外線天文衛星「あかり」は、全天にわたる宇宙の赤外線地図作成のための観測を続けています。本観測開始からほぼ半年が過ぎ、11月初旬には第1回目の全天観測を終えようとしています。この時点で、月に隠されていた領域を除く全天の約70%についてデータ収集を完了する見込みです。この観測の中で「あかり」は、銀河の生い立ちを調べる上で重要な観測対象である「大マゼラン星雲」の姿を、近・中間赤外線や遠赤外線の多くの波長帯で詳細にとらえることに成功しました。

          プレスリリース

            2006年5月22日 更新
            「あかり」初期成果を公開

            赤外線天文衛星「あかり」(ASTRO-F)は、4月13日の望遠鏡開口部の蓋開け後、観測装置全系への電源投入と機能・性能確認、望遠鏡の焦点調整、姿勢制御系の調整等を順調に行ってきました。このたび、望遠鏡と2つの赤外線観測装置について、軌道上で期待通りの性能が発揮されていることを確認し、本観測を開始しました。また併せて試験観測で取得した高解像度、高感度の赤外線画像を公開しました。

            初期観測成果 (反射星雲IC4954および渦巻き銀河M81の赤外線画像)
            プレスリリース

              2006年2月22日 更新
              ASTRO-F / M-V8号機 打上げ成功 衛星は「あかり」と命名

              JAXAは、2月22日午前6時28分に、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から、赤外線天文衛星ASTRO-Fを搭載したM-Vロケット8号機を打ち上げました。
              ロケットは正常に飛行し、衛星を分離し、所定の軌道に投入したことを確認しました。
              ASTRO-Fは「あかり」と命名されました。
              今回の打ち上げ実施にご協力いただいた関係各方面、ならびに国民の皆様に深甚の謝意を表します。

                2005年11月4日 更新
                「熱真空試験」終了

                写真1

                6月28日~7月1日にかけ、10月1日~16日の2週間にわたり24時間体制で、ASTRO-Fの衛星総合試験の最後のヤマ場となる「熱真空試験」が行われました。
                熱真空試験は、宇宙空間の過酷な環境で衛星の各機器の温度が正しく保たれ、機能することを確認するための試験です。衛星を収める巨大な真空容器は、内壁が液体窒素で冷却されています。衛星には各部分や傍らに設置されたヒータで熱が加えられ、宇宙空間での過酷な環境を再現するよう工夫されています。
                試験の結果、衛星の各部分の温度はほぼ予想通りの状態にコントロールされ、各機器が正常に動作することが確認されました。実運用に向けた細かい問題点が洗い出され、これから打ち上げの間に改善していくことになりました。熱真空試験が無事に終了したことで、ASTRO-F は打ち上げに向けてさらに一歩づいたことになります。

                写真1:熱真空試験を終えたASTRO-F。
                試験のために設置された温度計やヒーターの配線が見えている。

                写真2
                写真3

                またASTRO-Fは打ち上げ後の観測時間の一部を、公募観測時間として、広く天文学研究者に公開します。
                公募は2005年11月18日までの期間行われます。対象となるのは、打ち上げから6か月以降(ヘリウム冷却剤消失まで)の「Phase 2」と呼ばれる時期の観測時間です。Phase 2における全観測時間のうち30%が公募観測時間となり、欧州に10%、日本と韓国に20%が割り当てられます。

                観測公募に際して、イギリス、スペイン、韓国、日本の4か所で説明会を行いました。いずれも多くの参加者があり、ASTRO-F による観測への興味と期待を感じました。

                写真2:European Space Astronomy Centre(スペイン)での説明会
                写真3:天文学会秋季年会(日本)での、ASTRO-F説明会

                  2005年7月25日 更新
                  衛星試験が順調に進んでいます


                  2005年5月には、衛星を打ち上げとほぼ同じ装備にして「振動試験」を行いました。試験後もすべての機器が正常に動作することを確認しています。
                  6月下旬には望遠鏡・観測装置が組み込まれているクライオスタット(冷却真空容器)の蓋を開け、望遠鏡をのぞき込んで光軸の向きをチェックしました(写真1)。一連の振動試験の前後で問題となるような「ずれ」は見つからず、望遠鏡は打ち上げ時の加速度や振動に対し、十分な強度を持っていることが確認されました。

                  現在、クライオスタットの蓋は再び閉じられ、今後の試験に備えて装置の冷却の準備が進められています。次に蓋が開いて望遠鏡内に光が導かれるのは、軌道上での観測開始時ということになります。
                  いっぽう、軌道上で搭載機器や電子基板などからしみ出る不純物を含んだガスが装置に悪い影響を与えないよう、「ベーキング」という作業が行われました。これは、衛星全体を大きな気密容器(真空チャンバー)にすっぽりと収め、約50℃に暖めながら内部を真空にし、不純物を含むガスを強制的に絞り出すものです。写真は真空チャンバーに納められる衛星と、付属の部品です。

                  なお、観測装置と冷却容器については、すでにこの作業は終了しています。この「ベーキング」は約1週間かけて行われ、その後衛星はクリーンルームに戻されました。

                  写真1:望遠鏡(右)をのぞき込み、光軸のズレを正確に測定しているところ(撮影: NIKON)。
                  写真2:ベーキングのため真空チャンバーに収納される衛星本体。架台がせり上がり、チャンバーの中に入っていく
                  (撮影: NTSpace)。

                    2005年1月26日 更新
                    新居浜と相模原で実施した観測系機器の試験が無事終了

                    2004年12月上旬に、住友重機械工業新居浜事業所(愛媛県)で、ASTRO-Fの観測装置の試験が行われました。フライト構成に組み上げられて初めてとなる試験でしたが、冷却系機器も観測装置も正常に働きました。1週間以上かけ、装置の性能を評価するためのさまざまな測定が行われましたが、組み立て前の単体試験のデータと比べても、同等かそれ以上の性能が出ているようです。現在も続けられているデータの解析を経て、打ち上げ前の最終予測性能が明らかになります。

                    試験を終えた観測系機器一式は直ちに相模原キャンパス(神奈川県)に移送され、打ち上げ時と同じように液体ヘリウムで冷却した状態で、振動試験にかけられました。この試験が終わったのは、年末も28日の夜のことでした。年明け早々の1月6、7日には、再び観測装置の電源を入れて、動作を確認しました。
                    振動試験中も、その後の動作試験でも機器に全く問題はなく、ASTRO-Fの観測装置は、打ち上げの振動に対して十分に頑丈であることが確かめられました。
                    一連の試験の成功で、観測装置の開発は、大きなヤマ場を乗り越えたといえるでしょう。

                    写真1:新居浜で性能評価試験中の観測系機器。クライオスタット(冷却容器)の「ふた」部分に液体ヘリウムを流して強制冷却し、赤外線で見たときに「暗い」状態を作り出している。

                    写真2:相模原で振動試験中のASTRO-F観測系機器

                      2004年9月2日 更新
                      望遠鏡が「冷却振動試験」をクリアしました

                      試験は6月28日~7月1日にかけ、相模原キャンパス(宇宙科学研究本部)で行われました。冷却・加振を経て常温に戻った望遠鏡の「面形状検査」「超音波探傷によるパッド接着部のクラック検査」では、いずれも異常は認めらず、試験に合格しました。
                      ASTRO-Fの望遠鏡が「冷却振動試験」をパスしました。望遠鏡を極低温に冷却したうえで、打ち上げ時を想定した振動を加えるこの試験は、望遠鏡のような高精密光学機器にとってはきわめて過酷な試験です。昨年度の同じ試験で不具合(反射鏡支持部の破損)が発見され、反射鏡が再製作されるきっかけとなったものであり、今回の試験を関係者は最終評価試験のヤマ場と考えていました。
                      さらに極低温での光学性能を評価するため、望遠鏡を絶対温度9度(マイナス264度C)程度まで冷却し、焦点位置などに関する詳細なデータを取得しています。
                      また、6月上旬から7月末にかけ3回の冷却サイクルにわたって、遠赤外線と近・中間赤外線を対象とする二つの観測装置(FISとIRC)の最終性能評価試験も行われました。途中、不具合が見つかったモジュールの交換(MIR-S:中間赤外線カメラシステム)などがありましたが、調整を経て観測装置はほぼ満足のいく状態に仕上がりました。現在、望遠鏡とともに住友重機械工業・新居浜工場(愛媛県)において、極低温を維持する容器「クライオスタット」への組み込み作業が行われています。


                      写真:光学性能評価のために、試験チャンバーにインストールされるASTRO-F望遠鏡

                        2004年4月12日 更新
                        新しい主鏡の研磨が完了しました

                        2003年度に実施された「低温振動試験」で明らかになった、望遠鏡「主鏡支持部」の不具合について、原因の究明と設計の見直しなどを進めてきました。
                        これらの対策・改修の一環として、バックアップのため用意されていた主鏡材の研削・研磨を行ってきましたが、その作業が3月上旬に無事完了しました。この新しい鏡が今後フライトモデル(FM)として用いられることになります。
                        これにともない、望遠鏡の有効口径が2cm大きい約69cmとなり、当初予定の70cmをほぼ達成しました。

                        今後は、新設計の主鏡支持パッドの接着などの具合を確かめるため、望遠鏡として組み上げた後に冷却して振動試験や光学試験などを行い、フライト状態における総合性能を測定します。
                        FMで2度目となるこれからの衛星試験では、これまでの経験を生かしながらいっそう細心の注意を払い、熱歪みなどの影響が最小になるよう作業を進めていきます。

                        また1月中旬より3月中旬にかけ、衛星の姿勢制御システムの2回目の評価試験も行なわれました。打上げ時期が変更となった場合でも、衛星の姿勢制御が正しく行われることを確認する目的の試験で、初期運用、定常運用ともに、打上げ時期の変更に対応できることが確認されました。また、これまでよりもさらに詳細な姿勢制御システムの性能評価を行なうことができました。今後詳細にデータの解析、検討を進めていきます。

                        写真:姿勢系評価試験中のASTRO-F。衛星本体からジャイロなどの機器を外して、手前の定盤の上に置き、外部からの振動の影響を受けないようにして試験を行っている。(NTSpace提供)

                          2003年12月4日 更新
                          「ASTRO-F」の衛星総合試験がひと区切りを迎えました

                          2003年4月からの衛星総合試験に先立つ望遠鏡の「低温振動試験」で、主鏡支持部の不具合が明らかになりました。現在の構造では支持部の強度が十分ではなく、ロケット打上げ時の振動で主鏡の位置がずれてしまう可能性があることが判明し、2003年度に予定されていた打上げは原因究明と対策のために延期されました。
                          引き続き実施された衛星総合試験では、装置の組み立てと入念な動作チェック、打上げや軌道上での観測を模擬した運用リハーサル試験などが行われました。この間に発見された細かい不具合や問題点については、すべて改修や再調整を行っています。
                          観測装置を除く衛星バス部の試験は、2003年11月7日に行われた不具合・問題点レビュー会をもって、いったん中断しました。衛星は組み立てられた状態でクリーンルームに保管されており、2004年12月頃から最終組み立てが再開される予定です。
                          プロジェクトチームは、出来るだけ早い時期の打ち上げ実現を目指して望遠鏡の改修と衛星の開発・試験を進めています。引き続き装置の改修やいっそうの性能向上に最大限の努力を払い、万全の体制で打ち上げに臨みます。

                          写真:ASTRO-F衛星(バス部のみ)の総合試験風景

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