先進複合材とは、炭素繊維のような強くて軽い繊維をプラスチックやセラミックで固めた、従来の金属材料とは異なる軽くて強い材料です。1970年代から航空機・人工衛星の素材として使用され始め、最近では自重の半分ほども先進複合材を使おうという航空機も現われてきました。また、ロケットに使用される割合も年々増えています。
将来は、空・宇宙を飛ぶものは全て複合材になるというプロジェクトリーダーとしての確信のもとに取組んでいます。
我々の組織では、まず、この複合材のデータベースを構築しています。これは、複合材の性質が金属と全く違うので、金属に対する従来の教科書やデータ集が設計に役立たず、航空宇宙の技術者・研究者にデータを提供して、設計や研究に役立ててもらおうと約3年前から始めている事です。航空宇宙構造の軽量化に大いに役立っています。次に複合材料の試験法の標準化を行っています。上に述べたデータベースを作る場合などでいろいろな試験をしますが、標準的な試験法で実施しないとデータの信頼性がありません。先進複合材はまだ新しいので、試験法標準化が十分でないのですが、この標準化を固めないと複合材への信頼性がゆらいでしまうという使命感を持って作業を進めています。
この他に、宇宙用複合材部品の信頼性向上の研究や、最近内外で注目を集めているナノテクノロジーを応用した複合材(カーボンナノチューブ/CNT適用型など)の研究など、斬新なアイディアを取り込んだ研究を精力的に行い、国内の先進複合材の研究センターとして誰しもが認める存在となっています。特にCNT応用複合材の研究では、普通のエポキシ樹脂にCNTを分散したものを炭素繊維に複合した複合材を作ると、複合材の弱点である圧縮特性がかなり上昇することがわかり、世界の注目を集めています。
地道なデータベース構築のような作業と、常に新しい発想に基づいた挑戦的な研究との調和に意を尽くしながら、航空宇宙の材料技術の担い手は我々であるという自信を掲げて前進していきます。
※上の画像は複合材構造要素試験の様子 |
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