宇宙航空研究開発機構

平成18年10月

日　時：平成18年10月12日（木）13:30-14:00
場　所：JAXA　東京プレゼンルーム

JAXA創立3周年を迎えて

10月1日をもってJAXAは創立3周年を迎えました。発足当初は、打ち上げ失敗など幸先悪いこともありましたが、その後の2年間は順調でした。特にロケットの打ち上げでは7回連続して成功することができました。
当初は、3つの異なる機関が統合されたことにより、文化の違いといったものからの不即応もありましたが、3年経ってようやくなじんできました。　本来の目的である統合による効率化を果たしつつあるのではないかと思っています。
今後は、宇宙の役割が高まるであろうことを我々は認識しており、JAXAが日本のみならず、世界のために貢献していくべきであると、改めて気分を一新し、努力していく所存です。第一期中期計画も残すところ1年半となりましたが、最初に空白があったため、全部できるとは思いませんが、できる限り、確実に達成していきたいと思っています。

M-Vシリーズの終了

9月23日にM-V-7号機の打ち上げを無事行いました。これをもってM-Vシリーズを終了することとなりました。我々としてはM-Vの意義を認めながらも、その効率性には疑問があり、今回終了することとなりました。しかし日本の固体ロケット技術は継承すべきで、固体ロケットの有効な分野を見つけ、継承しようと考えています。まずは基本検討に着手したところなので、1年経てば結果が出ると思われます。それに基づいて、いつ、どのようなロケットを作るのかを決めていきたいと思っています。現在、宇宙開発委員会において、将来のロケット戦略・ロケット政策について次期中期計画に向けて検討が行われる予定です。その中で我々の要望を申し上げていきたいと思っています。
M-Vは、約10年間かかって製造・打ち上げを行ってきました。現在、関係各社に感謝状を持ってお礼まわりをしているところであり、技術を継承していきたいと考えています。

国際宇宙会議への参加

国際宇宙会議（IAC）が、スペインのバレンシアで開催されました。世界各国の宇宙機関長が出席し、約2000人の宇宙関係者が参加しました。冒頭では、主要宇宙機関の状況報告と、当面の宇宙計画のセッションが行われました。アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、カナダと日本のほか、最近では中国、インドが加えられて、これらの機関の長が報告を行いました。私からは、最近日本が特に力を入れている、宇宙利用の拡大に向けた災害対策や、地球環境対応の衛星計画と実績について報告すると同時に、今後の宇宙科学の推進についても報告しました。宇宙科学については最近「すざく」（ASTRO-EII）、「あかり」(ASTRO-F)、「ひので」（SOLAR-B）の3機の衛星を打ち上げており、また昨年では「はやぶさ」の快挙もありました。これらの報告と共に、今後の計画として、ひきつづき太陽系の観測と、探査としての月周回衛星の話や、ポスト「はやぶさ」について申し上げました。その他にもIACでは様々なセッションがあり、JAXAからも役員および職員が発表を行いました。

打ち上げ経過と今後の予定

今週の10月14日にはアリアンスペース社に依頼しているLDREX-2の打ち上げが予定されています。衛星やロケットの点検などで延期されてきましたが、今度こそ、打ち上げられることを期待しています。また、12月中旬にはETS-VIIIの打ち上げを予定しています。今回は、H-IIAの204型という大型の型式で打ち上げられます。関心を持っていただければ幸いです。
また、先日打ち上げられた「ひので」は11月には観測に入る見込みで、すでに円軌道に入っており、あとは観測機器のチェックを残すのみとなっています。
それから、1月に打ち上げられた「だいち」はチェックおよび初期確認が終わり、いよいよ10月24日から一般の方々にもデータの提供を行います。販売提供のサービスは、競争入札で決めましたが、リモートセンシング技術センター（RESTEC）が担当して行います。

タウンミーティングの開催

宇宙への理解を深めていただくため、さまざまな活動を行ってきたが、この10月と11月には、国民の方々に直接アピールする場としてタウンミーティングを積極的に開催する予定です。10月に2回、11月に2回と連続して4回行いますが、来年も継続的かつ積極的に行っていきたいと考えています。