理事長挨拶・定例会見

平成24年11月
理事長定例記者会見 立川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします。
日時:平成24年11月7日(水)11:00-11:35
場所:JAXA東京事務所 3Fプレゼンテーションルーム
司会:広報部長 寺田弘慈


トピックス

1.国際宇宙ステーション(ISS)関係
2.航空関係
3.その他
4.シンポジウム及びタウンミーティングなど
5.今後の予定


1.国際宇宙ステーション(ISS)関係

○小型衛星放出技術実証ミッション
10月4日から5日にかけて、「きぼう」日本実験棟から5機の小型衛星を放出しました。その後の状況ですが、放出した衛星のうち2機は通信などで不具合が発生しているようですが、他の3機は順調に飛行を続けています。不調の2機については、現在原因を調査中とのことです。

※日本の公募衛星:
  「RAIKO」(和歌山大学/東北大学)
  「WE WISH」(明星電気株式会社)
  「FITSAT-1 」(福岡工業大学)
 NASAの公募衛星:
  「F-1」(NANORACK社/FPT Univ/UPPSALA Univ)
  「TechEdSat」(NASA Ames Research Center/San Jose State Univ)


関連リンク

○星出宇宙飛行士
星出宇宙飛行士は、3回目の船外活動(USEVA#20)※を11月1日午後9時15分(日本時間)から6時間38分にわたり実施しました。この結果、星出宇宙飛行士の「船外活動時間の合計」が21時間23分となり、野口宇宙飛行士の20時間05分を抜いて日本人宇宙飛行士のなかで最長記録となりました。また、「きぼう」日本実験棟での船内実験に係る作業や、ドラゴン補給船運用1号機(SpX-1)のISSからの離脱運用に向けた準備など、多岐にわたる作業に従事しました。

※太陽電池パドル熱制御システム(Photovoltaic Thermal Control System:
PVTCS)で発生している冷媒(液体アンモニア)の漏れに対処する作業をサニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士と共に実施。


○「きぼう」日本実験棟の船内実験状況
(1)10月15日に、「きぼう」日本実験棟の船内実験室で『Resist Tubule実験※』が開始されました。これは微小重力下で生育させたシロイヌナズナを地上あるいは宇宙の疑似重力環境下で生育させたものと比較して、その成長の様子から、遺伝子の働きや細胞内の変化に至るまでを詳しく調べる実験です。地上で滅菌したシロイヌナズナを、.種子が発芽した後に3日間生育させ、蛍光顕微鏡を使って細胞構造を観察します。10月20日に「きぼう」日本実験棟でシロイヌナズナの培養を開始し、10月23日にKFT(KSC Fixation Tube)という特殊な器具で化学固定して冷凍・冷蔵庫に保管する作業を行いました。10月28日にはドラゴン補給船運用1号機(SpX-1)によって実験試料を回収し、現在は地上の研究施設で解析を行っています。

※「きぼう」日本実験棟船内実験室の細胞培養装置(CBEF)を使用して実施する、生命科学実験テーマ『植物の抗重力反応機構−シグナル変換・伝達から応答まで』(Resist Tubule実験)(代表研究者:保尊隆享 大阪市立大学大学院理学研究科教授)
URL:http://iss.jaxa.jp/kiboexp/theme/second/resisttubule/

(2) MEDAKA実験
10月23日にバイコヌール宇宙基地(カザフスタン共和国)より打ち上げられたソユーズ宇宙船(32S)によって、メダカ32匹が「きぼう」日本実験棟へ運ばれました。このメダカを使い、10月26日から『MEDAKA実験※1』が始まりました。今回の実験では、メダカの幼魚を「きぼう」日本実験棟船内実験室の水棲生物実験装置(AQH)で約2ヶ月間飼育します。宇宙での飼育開始後、一定の期間毎にメダカの化学固定※2を行います。また、飼育開始時と終了時に遺伝子の保存処理を行い、得られたサンプルを地上に回収して組織と細胞の解析を行う予定です。

※1 化学固定・・・生物試料に対する固定法の一つで、細胞や組織中のタンパク質や脂質を、グルタールアルデヒドなどの固定剤を使って凝固させ、安定にする固定法。
※2 水棲生物実験装置(AQH)を使用して実施する、生命科学実験テーマ『メダカにおける微小重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析』(MEDAKA実験)(代表研究者:工藤明 東京工業大学大学院理工学研究科教授)
URL:http://iss.jaxa.jp/kiboexp/theme/second/medakaosteoclast/

2.航空関係

○災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)の実証実験
10月27日、平成24年度緊急消防援助隊近畿ブロック合同訓練において災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)実証実験を実施し、消防防災ヘリコプターや地上局にD-NETを導入して、実際の災害を想定した運用を行いました。実証実験の結果、従来の運航管理手法と比較しD-NETを導入することによる効果を確認出来ました。


関連リンク

○JAXA航空シンポジウム in NAGOYA/IFARサミット
10月12日に、中部国際空港セントレア セントレアホール(愛知県常滑市)で「JAXA航空シンポジウム in NAGOYA」を開催しました。世界の主要な航空研究開発機関や国内外の航空関連企業・団体をお招きし、「環境に優しい航空技術」をテーマに講演及びパネル・ディスカッションを行い、多くの方にご来場いただきました。また、10月13、14日には八事山興正寺(名古屋市)で「国際航空研究フォーラム(IFAR)サミット」※が開催されました。参加機関の代表者によって、航空分野における環境負荷低減技術(排出ガス・騒音低減)や代替燃料、人材育成などについて熱心な議論が交わされました。

※国際航空研究フォーラム(IFAR;;International Forum for Aviation Research)
国際航空研究フォーラム(IFAR)は2010年に設立された、世界の公的航空研究開発機関によって構成される国際組織で、世界の航空研究開発機関の連携・協力の促進や航空環境技術の研究に関するロードマップの策定などをミッションとしている。

3.その他

○寄附金
インターネット等からの寄附金の集金額
   10月末時点:  4,992件 28,474,000円 (「はやぶさ2」1,673件、15,499,000円) 
(参考)
4月末 3,705件、18,537,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,231件、9,583,000円 )
5月末 4,250件、21,721,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,396件、10,958,000円 )
6月末 4,525件、23,440,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,506件、12,023,000円)
7月末 4,756件、25,318,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,577件、13,380,,000円)
8月末 4,841件、25,838,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,610件、13,662,000円)
9月末 4,920件 27,778,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,642件、15,083,000円)
募金箱 回収実績  10月分 117,430円  (4月分からの累計 1,681,543円)

4.シンポジウム及びタウンミーティングなど

 国民の皆さまからのご理解とご支援を得るため、各地でシンポジウムや施設公開等を開催しました。
  • 10月11日に「ふわっと'92から20周年記念シンポジウム(Part1)−日本の宇宙飛行士が語る20年の歩みと今後の展望−」を東京プリンスホテル (東京都港区)にて開催し、525名の方にご来場いただきました(ネット視聴2,721アクセス)。
  • 10月13日に「筑波宇宙センター(茨城県つくば市)特別公開」を開催し、11,257名の方にご来場いただきました。
  • 10月14日に「ふわっと'92から20周年記念シンポジウム(Part2) −有人宇宙開発の現場−」を品川インターシティホール(東京都港区)にて開催し、335名の方にご来場いただきました(ネット視聴3,670アクセス)。
  • 10月14日に「第83回タウンミーティング in 大阪」を国立民族学博物館第5セミナー室(大阪府吹田市)にて開催し、103名の方にご来場いただきました。
  • 10月20日に「第84回タウンミーティング in 伊那」を伊那市創造館 3階講堂(長野県伊那市)にて開催し、80名の方にご参加いただきました。
  • 10月30、31日に「国際 宇宙 探査 シンポジウム(第1回)−人類の宇宙探査とその未来−」を経団連会館(東京都千代田区)にて開催し378名の方にご来場いただきました(ネット視聴約1,000アクセス)。
  • 11月3日に「第85回タウンミーティング in 蒲郡」を生命の科学館 ミュージアムシアター(愛知県蒲郡市)にて開催し、約110名の方にご参加いただきました。
  • 11月5日に「国際宇宙ステーション「きぼう」利用成果シンポジウム−宇宙と地上の暮らしに役立つ『宇宙医学』−」を秋葉原UDXカンファレンス(東京都千代田区)にて開催し、約202名の方にご来場いただきました。

    

5.今後の予定

  • 国際宇宙ステーション関係
    11月14日 星出宇宙飛行士ISS長期滞在ライブ交信イベント
    ※ISSと筑波宇宙センター(茨城県つくば市)を結んでライブ中継、イベントは、21:00〜22:30までの間の1時間半を予定。
    星出宇宙飛行士とのリアルタイム交信は、21:50〜22:10の20分間。
    11月19日 午前11時00分(日本時間) 星出宇宙飛行士が、ソユーズ宇宙船(31S)で地球に帰還(カザフスタンに着陸予定)。
  • 航空関係
    11月17日   電動小型固定翼無人機を用いた災害監視無人機システムの飛行実証実験を北海道で実施。
  • イベント等
    11月10日 内之浦宇宙空間観測所開所50周年記念式典・講演会@内之浦銀河アリーナ大ホール(鹿児島県肝付町) 13:30‐17:00
    ※共催:鹿児島県、肝付町、後援:鹿児島県宇宙開発促進協議会
    11月10日 神戸大学大学院国際文化学研究科/JAXA大学・研究機関連携室との研究協力協定 締結記念シンポジウム@神戸大学総合研究拠点コンベンションホール(兵庫県神戸市)12:30‐17:30
    11月11日 内之浦宇宙空間観測所施設特別公開@内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)9:30‐16:00
    ※糸川英夫博士銅像建立記念式典・除幕式(肝付町主催)
     開催日時:平成24年11月11日(日)10:00-10:30
     場所:内之浦宇宙空間観測所(施設特別公開と合同で実施)
    11月12日 熱帯降雨観測衛星(TRMM)15周年記念シンポジウム "水惑星の安心を支える"@大手町サンケイプラザホール(東京都千代田区)12:30‐17:30
    11月21日 第86回JAXAタウンミーティング in 静岡@静岡科学館る・く・る 9階イベンホール(静岡県静岡市) 13:00 -15:30 
    12月10-12日 第10回宇宙用半導体素子放射線影響国際ワークショップ@つくば国際会議場(茨城県つくば市)