理事長挨拶・定例会見

平成24年12月
理事長定例記者会見 立川理事長の定例記者会見のトピックスをお伝えします。
日時:平成24年12月6日(木)11:00-11:30
場所:JAXA東京事務所 3Fプレゼンテーションルーム
司会:広報部長 寺田弘慈


トピックス

1. 国際宇宙ステーション(ISS)関係
2. 人工衛星関係
3. 宇宙科学関係
4. オープンラボ
5. その他
6. シンポジウム及びタウンミーティングなど
7. 今後の予定


1.国際宇宙ステーション(ISS)関係

○星出宇宙飛行士
星出宇宙飛行士は、国際宇宙ステーション(ISS)第32次/第33次長期滞在クルーとしての任務を終え、平成24年11月19日午前10時56分(日本時間)、ISSから地球へと帰還しました。星出宇宙飛行士らが搭乗したソユーズ宇宙船(31S)は、カザフスタン共和国中部のアルカリク近郊(草原地帯)に着陸し、3名のクルー(サニータ・ウィリアムズ、ユーリ・マレンチェンコ・星出彰彦宇宙飛行士)全員が元気な姿を見せました。星出宇宙飛行士はISSに約124日間滞在し、3度の船外活動をはじめ、小型衛星放出ミッションや「きぼう」日本実験棟における数多くの実験など、精力的に作業をこなしました。現在はNASAジョンソン宇宙センター(JSC)で医学検査やリハビリテーションを行っており、来年1月か2月にISS長期滞在に関する技術報告等のため日本へ帰国する予定です。


○「きぼう」日本実験棟
(1)「きぼう」日本実験棟の水棲生物実験装置(AQH)を使用して実施する『メダカにおける微小重力が破骨細胞に与える影響と重力感知機構の解析』(「MEDAKA実験)を10月26日より開始し、宇宙で2週間飼育したメダカ6匹は、化学固定された後、星出飛行士が搭乗するソユーズ宇宙船(31S)で地球へ輸送されました。現在は、地上の研究施設で、6匹のメダカの解析を行っているところです。AQHで飼育中のメダカは残り10匹となりますが、最終的に約2ヶ月間飼育した後に化学固定して回収を行い、歯と骨の周囲にある組織と細胞について、組織解析と遺伝子発現の解析を行う予定です。。

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(2)「微小重力における溶液からのタンパク質結晶の成長機構と完全性に関するその場観察による研究(NanoStep)」の3回目の実験を、11月12日から開始しました。この実験の目的は、微小重力環境でタンパク質結晶の成長過程を“その場”(リアルタイム)で観察・測定し、結晶品質と成長メカニズムとの関連を調べることです。微小重力のもとでタンパク質の結晶がどのようなプロセスで成長するのか、完全な結晶化を阻む要因が解明されれば、今後行われる同様の実験がスムーズに進むだけでなく、タンパク質に限らず、完全性の高い有機・無機結晶をつくる指針となります。

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○「きぼう」利用テーマ募集 重点課題区分の選定
「きぼう」日本実験棟を有効利用するため、重点目標領域(※1)で設定された研究を推進することを目的として従来の「一般募集」に加え「重点課題募集区分」を新たに設けました。平成24年4月から6月にかけて「重点課題募集区分」の公募を行い、31件の応募があり、外部委員会等での選考評価を経て、3つのテーマ(※2)を候補として選定しました。

※1「生命科学」、「宇宙医学」、「物質・物理科学」の3つの領域
※2「重点課題募集区分」選定テーマ

テーマ名代表研究者
マウスを用いた宇宙環境応答の網羅的評価(生命科学分野) 筑波大学生命科学動物資源センター
高橋 智
宇宙環境における健康管理に向けた免疫・腸内環境の統合評価(宇宙医学分野) 理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター
大野 博司
火災安全性向上に向けた固体材料の燃焼現象に対する重力影響の評価 (物質・物理科学分野) 北海道大学大学院工学研究院
藤田 修


○野口宇宙飛行士
11月3日から10日までの間、宇宙探検家協会(Association of Space Explorers: ASE)が主催する第25回世界宇宙飛行士会議がサウジアラビア王国で開催されました。ASEには、アメリカ、ロシア、ヨーロッパにそれぞれ支局がありますが、新たに「アジア支局」が正式に承認され、野口飛行士がアジア支局のプレジデントに任命されました。

※宇宙探検家協会(Association of Space Explorers: ASE)
世界各国の宇宙飛行士によって構成される組織で、宇宙開発への貢献や有人宇宙活動の国際協力はもとより、科学技術教育の促進、環境問題の意識増進なども目的に活動を行う。年に1度のペースで「世界宇宙飛行士会議」を開催。

2.人工衛星関係

○「いぶき」(GOSAT)
温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)の観測データについて、12月5日に国立環境研究所と環境省と連盟で「二酸化炭素(CO2)吸収排出量等の推定結果の公開」に関する発表を行いました。これは「いぶき」によるCO2観測データと、地上観測点におけるCO2観測データとを用いて、全球の月別・地域別のCO2吸収排出量(正味収支)を推定した結果等を一般に広く公開するものです。世界で初めて、衛星観測によるCO2濃度データを活用して全球のCO2収支を定量的に推定するとともに、衛星観測濃度データの有用性を定量的に実証しました。


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3.宇宙科学関係

○超広角コンプトンカメラ
11月15日、JAXAと三菱重工株式会社(MHI)は、放射性物質の分布状況を可視化する特殊なカメラ装置のプロトタイプ機『ASTROCAM 7000』について共同開発したことを発表しました。これは次世代X線天文衛星「ASTRO-H」のガンマ線観測センサの技術を応用し、JAXAが中心となって開発に成功した「超広角コンプトンカメラ」をベースに改良したもので、感度、画像、視野角などでこれまでにない優れた性能を実現するものです。今後、科学技術振興機構(JST)の公募事業による外部資金の提供を受け、プロトタイプ機の更なる高感度化と早期実用化に向けた開発に取り組み、今年度内にMHIが商用機を市場投入する予定です。


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4.オープンラボ

○JAXAオープンラボ「平成24年度第2回の研究提案(技術提案およびビジネス提案)」について公募した結果、9件(技術提案2件、ビジネス提案7件)の応募がありました。これら9件の応募から、外部有識者による外部選定委員および技術参与等からなるJAXA内部委員で構成された選定委員会での総合評価を経て、下記1件の採択を決定しました
「テーマ名:宇宙用冷却下着の民生化に向けた検討及び改良の実施」
代表研究者:公益財団法人日本ユニフォームセンターESH業務推進課 課長 谷山 洪栄


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5.その他

○受賞・表彰
上杉邦憲 JAXA名誉教授が「第36回 Allan D. Emil記念賞」を受賞しました。同教授の宇宙探査に関する約40年に渡る長年の功績が認められて受賞したもので、日本人(単独)としては昨年のJAXA白木邦明技術参与に続き3人目となります。この賞は、国際宇宙航行連盟(IAF)の審査委員会により年一度選考が行われ、宇宙科学、宇宙技術、宇宙医学、または宇宙法の分野で顕著な功績を残した人物で、自国のみならず他国一カ国以上の参加、もしくは宇宙科学の更なる国際協力の可能性を促進させた者に贈られる賞です。

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○コンピュータウイルス感染の発生
JAXA職員の端末1台がコンピュータウイルスに感染し、ロケット等に関連する情報が外部に漏洩した可能性があることが11月28日に判明しました。現在、漏洩した可能性のある情報内容の特定及び原因究明に取り組んでいます。

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○寄附金
 11月末時点: 5,047件 29,337,000円 (「はやぶさ2」1,694件、15,737,000円) 
(参考)
4月末 3,705件、18,537,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,231件、9,583,000円 )
5月末 4,250件、21,721,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,396件、10,958,000円 ) 
6月末 4,525件、23,440,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,506件、12,023,000円) 
7月末 4,756件、25,318,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,577件、13,380,,000円) 
8月末 4,841件、25,838,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,610件、13,662,000円) 
9月末 4,920件 27,778,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,642件、15,083,000円)
10月末 4,992件 28,474,000円 申し込み(「はやぶさ2」1,673件、15,499,000円)
募金箱 回収実績 11月分112,156円。  (4月分からの累計 1,793,699円)

6.シンポジウム及びタウンミーティングなど

 国民の皆さまからのご理解とご支援を得るため、各地でシンポジウムや施設公開等を開催しました。
  • 11月10日に「神戸大学大学院国際文化学研究科/JAXA大学
  • 研究機関連携室との研究協力協定 締結記念シンポジウム」を神戸大学総合研究拠点コンベンションホール(兵庫県神戸市)にて開催し、152名の方にご来場いただきました。
  • 11月10日に「内之浦宇宙空間観測所開所50周年記念式典
  • 講演会」を内之浦銀河アリ ーナ大ホール(鹿児島県肝付町)にて開催し、約450名の方にご来場いただきました。
  • 11月11日に「内之浦宇宙空間観測所施設特別公開」をJAXA内之浦宇宙空間観測所 にて開催し、1,484名の方にご来場いただきました。
  • 11月12日に「熱帯降雨観測衛星(TRMM)15周年記念シンポジウム “水惑星の安心を支 える”」を大手町サンケイプラザホール(東京都千代田区)にて開催し、197名の方にご来場いただきました。
  • 11月25日に「第86回タウンミーティング in 静岡」を静岡科学館る・く・る(静岡県静岡市)にて開催し、110名の方にご来場いただきました。
  • 12月2日に「第87回タウンミーティング in 浜田」を島根県立大学浜田キャンパス (島根県浜田市)にて開催し、124名の方にご来場いただきました。
    

7.今後の予定

  • 国際宇宙ステーション関係

    12月19日

    午後9時21分

    (日本時間)

    バイコヌール宇宙基地(カザフスタン共和国)より「ソユーズ宇宙船(33S)」の打上げが計画されており、3名の宇宙飛行士(※)が搭乗予定。
    ※ クリス・ハドフィールド(CSA)、トーマス・マーシュバーン(NASA)、ロマン・ロマネンコ(ロシア)
  • 観測ロケット打上げ

    12月17日(月)

    16時00分〜

    16時30分

    2012年度第二次観測ロケット実験として、観測ロケット「S-520-28号機」を内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)から打上げ予定。
    【実験内容】
    (1)微小重力環境を利用した宇宙ダストの核形成再現実験
    (2) 微小重力環境を利用した炭酸カルシウム結晶の均質核形成メカニズムの研究
    2012年度第二次観測ロケット実験の実施について
  • イベント等
    12月10日〜12日 第10回宇宙用半導体素子放射線影響国際ワークショップ@つくば国際会議場(茨城県つくば市)
    12月11日〜14日  第19回アジア太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF-19)@Berjaya Times Square Hotel (マレーシア クアラルンプール)
    12月12日 平成24年度「JAXA宇宙航空技術研究発表会」-宇宙・航空技術がエネルギー問題に対してできること-@東京ステーションコンファレンス(東京駅日本橋口 サピアタワー5F) 
    1月6日 第88回JAXAタウンミーティング in 三沢航空科学館@三沢航空科学館 マルチメディアAVホール(青森県三沢市)