JAXAプロジェクトマネージャーが語る「私たちのミッション2006」
国際宇宙ステーション・有人宇宙開発

「きぼう」日本実験棟 開発プロジェクト
今川 吉郎
人類は、常にフロンティアを目指しています。それは、約40億年前に地球上に生命が誕生し、海から陸へ上がり、人類へと進化してきた過程から、人類のDNAに刷り込まれた本能のようなものです。人類は、その本能に従って、陸から空へ、さらに空から宇宙へと活動領域を広げてきました。私たちは、今、その究極の宇宙への進出に挑んでいます。

1961年にユーリ・A・ガガーリンが初めて宇宙空間を旅してから45年、1981年にスペースシャトルが初飛行してから25年が経過し、私たちは、長期宇宙滞在の場として国際宇宙ステーション(ISS)を実現するまでになりました。ISSは、1998年に建設が開始され、数々の困難を乗り越えつつ建設や運用が進められて、成長を続けてきました。私たちは、いよいよ、そのISSに我が国初の有人宇宙システムである日本実験棟(JEM)「きぼう」を送り、運用を開始しようとしています。JEMでは、微小重力、真空、広大な空間的広がりや視野等といった宇宙特有の環境を利用して、天文観測、地球観測、材料、ライフサイエンス等の数々の実験はもちろん、宇宙固有の文化創生を目指した活動も計画されています。

私たちのチームは、開発の最後期にあるJEMをつつがなく完成させると共に、スペースシャトルによる打上げに向けた準備を滞りなく進めることを使命としています。また、ISS軌道上でのJEMの確実な運用を支えるため、発生し得る想定外の状況に対してもタイムリーに的確な対応が行えるよう、技術専門チームとしての力量を日々向上し続けています。JEMのような有人宇宙システムは、有人ゆえの厳格な安全要求や技術要求に応える必要があり、JEM開発により獲得した技術力は、ロケットや衛星等の無人宇宙システムの信頼性向上、ひいては我が国の技術力全般の向上にも貢献するものと考えています。

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