JAXAプロジェクトマネージャーが語る「私たちのミッション2006」
宇宙科学研究

月周回衛星計画「セレーネ(SELENE)」
滝澤 悦貞
月周回衛星「セレーネ」は、世界で始めて、月がどのように形成され、どのように変遷してきたか(月の起源と進化)の核心に迫るデータを取得する本格的な月探査機です。H-IIAロケットにより、来年、2007年に種子島宇宙センターから打上げられる予定です。

1960年代から1970年代にかけて多くの探査機が月に送られました。 代表的な例がアポロ計画です。しかしながら、この時代は冷戦の最中で、月探査は、人間を月へ送る競争として行われました。このため、月は約45億年前に形成されたことなどが判りましたが、月の起源と進化については、謎のまま残されてきました。

セレーネには、14の科学観測機器が搭載されています。この観測機器群により、月の起源と進化を明らかにするために不可欠である月全域にわたる元素・鉱物分布、地形・表層構造、表裏の重力分布などを高精度で観測します。

現在月周回中の欧州宇宙機関のSMART-1や2007年打上げ予定の中国及びインドの衛星も月周回観測を行う科学ミッションですが、セレーネは米、欧を初め世界の研究者から最も優れた科学観測を行うミッションとして評価されています。

一方、米国は、月資源を利用した月面有人活動を2018年頃から展開する計画を立てています。この事前調査として、極域の氷分布などを取得する月周回衛星を2008年に打上げる予定ですが、セレーネのデータも活用することを考えています。従って、セレーネは、月面有人活動にも大きな貢献を果たすことになります。

なお、セレーネには、ハイビジョンカメラも搭載されています。青く美しい地球が月面上から現れる「地球の出」を動画で撮像し、月周回軌道から皆様にお届けします。

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