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風洞とは、飛行機やロケットなど空を飛ぶ物体が飛行中に遭遇する、機体まわりの空気の流れを地上の実験室内部で実現する装置です。この装置を使うと、機体には周囲の空気からどんな力やモーメントが働いているか、機体の各部で局所的な流れはどのような状況になっているのか、などのデータが得られ、機体の設計や改良に利用することができます。 風洞技術開発センター(WINTECと呼んで下さい)には、低速から極超音まで、合計11基の風洞群があり、毎日様々な試験が行われています。たとえば私がこの文章を書いている平成18年3月上旬のある雨の日には、低速風洞で超音速輸送機、遷音速風洞で国産旅客機、超音速風洞で国産H-IIBロケットの試験が行われています。試験を行うために風洞センターにやって来るのは、航空機メーカやJAXA内他本部の技術者たちで、WINTECのメンバーと一緒になって、明日の航空機・宇宙機を開発するための風洞試験に取り組んでいます。このような供用設備(JAXA職員でなくても、企業や大学など科学技術の発展に携わる人が使える設備)の運用と併せて、WINTECでは風洞試験で使われる技術の開発や高度化の仕事を行っています。 機体の表面の圧力の分布が一目でわかる感圧塗料技術、機体の周りの流れ、例えば渦の発生や流れの剥離などを可視化する空間速度場計測技術、さらに機体のどこからどんな騒音が発生しているかを推定する音源探査技術などを開発して、風洞試験で使えるようにしています。これらの技術によって、風洞試験で得ることのできる情報の種類は以前よりずっと多くなりました。 新しい試験技術の開発と実用化を進めて風洞に定着させ、多くの方々に風洞を利用して頂くことを通じて、航空宇宙をはじめとする空力分野の技術及び産業の発展に貢献したい、というのが私たちの願いです。 関連ページ >> ![]()
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