JAXAプロジェクトマネージャーが語る「私たちのミッション2006」
宇宙航空基盤技術研究

航空エンジン技術開発センター
柳 良二
ギリシャ神話の時代から人間は自由に空を飛び回る事を夢見てきた。神話や古い民間伝承、伝説の中でも、空を飛ぶ話は数多く語られている。それは、自在に空を飛ぶ鳥の姿が、重力の故に地面に縛り付けられた人間の、自由への渇望を常に刺激するからかも知れない。

現代の人間は、機械技術とエネルギーの力を借りて、空を飛ぶ手段を手に入れた。その速さはペガサスよりも速く、その高度はイカロスよりも高いであろう。しかし、鳥のように好きな所から飛び立ち、自由に空間を飛び回り、地上に舞い降りる事は、まだ完全には実現されていない。またエネルギーを使用する機械技術は、人間の生存圏たる地球環境の汚染を引き起こしている。これからの機械技術の研究開発には地球環境の保全の視点が常に要求される。

将来の航空エンジンには、この我々の地球環境を保全しつつ、人類の夢を実現すべく、より速く、より高く、そしてより便利に飛行する技術の研究開発が求められている。オゾン層を破壊しないための低NOx(窒素酸化物)燃焼技術、地球温暖化を防ぐ為のCO2(二酸化炭素)排出低減技術、そして空港騒音を減らす騒音低減化技術の研究開発は、環境保全のためには必然である。また、人類の夢を実現するためには、超音速、極超音速用エンジンや、垂直離着陸機用エンジンの研究開発も必要になる。さらに、宇宙に人類が自由に行くためのスペース・プレーン用エンジンの研究開発も、将来の人類の進歩を確実にするためには重要な課題である。

航空エンジン技術開発センターでは、これらの技術を開発するために必要な、基礎的基盤的研究を行い、技術力の高度化を進めると共に、それらのエンジンを開発するために必要な試験設備の整備を進め、航空技術が人類の幸福に貢献できる事を目指している。

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