JAXAプロジェクトマネージャーが語る「私たちのミッション2006」
宇宙航空基盤技術研究

将来宇宙輸送系研究センター
中安 英彦
将来宇宙輸送系研究センターでは、今後の宇宙活動を自在に展開できるよう種々の輸送システムの研究を行っています。長期的には、人でも貨物でも飛行機のように手軽に運搬できる輸送システムが目標ですが、そのような輸送システムの実現には多くの技術開発が必要です。

当センターでは、長期目標達成のための研究開発の計画を作り、宇宙ステーションからの物資回収システム、技術実証のための揚力型回収実験機やスクラムジェット実験機の研究を行っています。また、先行研究として、繰り返し使えるエンジンや軽い機体、安全に飛行するための制御技術などについても研究を進めています。 現在宇宙ステーションからの物資の回収は、シャトルに依存しており、シャトルが2010年に退役した後は、回収能力の不足が予想されています。日本として独自の回収手段を持つことが、日本の宇宙活動の自在性の観点からも重要であり、また、国際的な貢献にもなると考え、図のようなHTV搭載型回収システムの研究を実施して、次期中期計画での開発を目指しています。

揚力を用いた回収システムは、機体を再使用するために必要です。当センターでは、再突入から着陸までの飛行実証を目的として、リフティングボディ形状の回収システムの研究を実施しています。この形状は、ペイロード容積の観点で優れていますが、着陸が難しいという欠点があります。この課題に対しては、小規模な飛行実験を実施する予定で、機体製作を進めています。

スクラムジェットエンジンは、マッハ4〜12の領域で使用できるエンジンで、空気を取り入れて推力を出すため、ロケットエンジンに比べて、燃費が優れています。JAXAは、10年以上エンジンの研究を続けてきており、地上試験による研究はほぼ終了しました。次期中期計画でのエンジンの飛行実証(世界最高速度、マッハ12程度)を目的に、スクラムジェット実験機の構想を検討中です。

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