H-IIBロケットは、2009(平成21)年度の打ち上げを目指して、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業株式会社(MHI)が共同で開発を進めている我が国最大の新型ロケットです。主な任務は、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送する質量約16.5トンの宇宙ステーション補給機(HTV)を高度約300kmの軌道に打ち上げることですが、同時に、我が国の大型ロケット開発能力の維持・発展、国際競争力の確保も担っています。
HTVの打ち上げに応えるため、H-IIBロケットでは、H-IIAロケットに使用されているLE-7Aエンジンを2基並列に装備し同時に燃焼させる、直径5.2mの第1段ロケットを新規に開発します。衛星フェアリングは、HTV用に開発しますが、第2段ロケット、固体ロケットブースタ(SRB-A)、誘導制御機器等はH-IIAロケットと極力共通化を図り、開発リスクの低減、信頼性の維持・向上、開発・実機経費の低減、開発期間の短縮に努めています。
エンジンを2基束ねるクラスター型ブースタ(第1段)の開発は、我が国で初めての挑戦となりますが、平成19年度からMHI田代試験場において厚肉タンク燃焼試験(BFT)に着手し、その成果を反映して平成20年度に種子島宇宙センター吉信射点において実機型燃焼試験(CFT)を実施する計画です。試験機打ち上げ前に可能な限り技術データを取得・評価して、着実に開発を進めて行きます。
H-IIBロケットは、1980年代から開発がスタートしたH-IIシリーズロケットの集大成と位置づけられます。これまでに獲得したロケット・射場設備・打ち上げ運用に係わる経験や知見、事故の貴重な教訓を開発に確実に反映し、信頼性の高いロケットシステムに仕上げるために、JAXA/MHI・関係各社のプロジェクトメンバー全員が一致団結して開発に取り組んでおりますので、皆様のご支援よろしくお願いします。
ISS: International Space Station
HTV: H-II Transfer Vehicle
BFT: Battleship Firing Test
CFT: Captive Firing Test