こうのとり2号機/H-IIBロケット2号機特設サイト

H-IIBロケットの概要

H-IIBロケットの役割について
H-IIBロケットは、H-IIAロケットで培った技術を最大限活用し、低コスト、低リスク、短期間での開発に成功した世界最高水準の打ち上げ能力を持つ日本の大型ロケットです。
H-IIBロケット2号機はHTV2号機を所定の軌道に投入することを目的に、2011年1月20日(木)に打ち上げられます。
2009年9月11日のH-IIBロケット試験機の打ち上げでは、日本の主力ロケットの初号機としては初めて予定の日時に遅れることなく、HTV技術実証機を所定の軌道に投入することに成功し、NASAをはじめ世界の賞賛を受け、国際貢献度を高く評価されています。
スペースシャトルの退役後は、このH-IIBロケットによるHTV打ち上げが国際宇宙ステーションへの大型カーゴ物資輸送としては唯一の手段となることから、H-IIBロケット2号機は、大きな期待を背負って、打ち上げに臨みます。


ロケットの形状


5S-Hフェアリングの改良開発
H-IIBロケット試験機 フェアリングの開発
日本の宇宙開発史上、サイズ・重量ともに最大のペイロードとなるHTVの打ち上げに対応するため、H-IIA用で最も大きいタイプの5Sフェアリングを更に3m伸ばしたHTV用フェアリング(5S-H型、全長15m)を新たに開発しました。
5S-H型フェアリングの開発過程で、実機と同じ構造体を用いた強度試験(認定試験)を実施したところ、フェアリングの下端部に設けた円周状の分離機構の一部である金具(ナット)および接合部品(ボルト)が破損するという事象が発生しました。
そのため破損部および周辺部を補強し、分離面の滑りを抑制するピンの設置等の対策を施した上で、再度強度試験に臨み、この措置が妥当であることを確認しました。
このようなトラブルを克服し、H-IIB試験機は予定通り打ち上げられ、HTV技術実証機を所定の軌道に投入するというミッションを無事遂行し、成功に至っています。

2号機打ち上げに向けた改良開発
上記強度試験結果の検証及び試験機打ち上げ時に取得したフェアリング分離データ評価等を踏まえ、2号機打ち上げに向けて、JAXAではフェアリングの改良開発に取り組んできました。
分離機構の強度に余裕をもたせるため、この部分の設計変更(分離ボルトの形状変更、分離機構部の構造の最適化)に着手し、実機大の供試体による強度試験と分離試験をあらためて実施することによって、その妥当性を再確認しています。

フェアリング 試供体試験


段間部の変更
段間部の変更
試験機のフライト時に取得した表面温度データを評価検証した結果、炭素繊維複合材料(CFRP)ハニカム構造で構成されている段間部(右図参照)の熱対策仕様について、2号機では白色塗料(耐熱コーティング)を削除することとし、軽量化による打ち上げ能力の更なる向上を図っております。



第2段制御落下実験
JAXAでは、ミッション終了後の第2段機体をより安全に処置するための技術開発に取り組んでおり、今回のH-IIBロケット2号機の打ち上げにおいて、以下の第2段機体の制御落下実験を実施致します。
こうのとり2号機を分離した後、機体(H-IIBロケット2号機の第2段部分)の状態を確認し、まずガスジェット装置の噴射により機体を進行方向から逆向きに反転させます。機体が地球を1周回して種子島局可視域に戻ってきた際に、再度、機体の健全性と落下推定点を確認し、制御落下マヌーバ(減速のための逆噴射)の禁止を解除する許可コマンドを送信します。その後、制御落下マヌーバが実施され、機体を南太平洋に落下させる計画です。
軌道離脱のための逆噴射は、第2段のLE-5Bエンジンのアイドルモード燃焼(ターボポンプを回転させず、ガス押しで推進薬を供給する方式)により実施します。
制御落下実験に向けて、2号機では第2段機体の改修(タンク加圧用ヘリウム気蓄器追加、2段エンジン再着火信号回路遮断機能追加、搭載機器等の熱対策、制御落下シーケンスの追加等)を行いました。
ロケット上段部の制御落下は世界的にもまだまだ実験レベルの段階であり、欧米において一部のロケット打ち上げ時に特定のミッションでのみ実施されている状況であることから、JAXAでは今回の制御落下実験で最新の技術を確立していくことを目指しております。
こうのとり(HTV)のミッションが低軌道であり、主ミッションに影響を与えずに実施可能であることから、今後の定期的な打ち上げ機会を利用して制御落下に関する技術を継続的に蓄積していく予定です。
第2段制御落下実験