プレスリリース

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「みどりII」の運用異常に係る作業実施状況
及び今後の予定について

平成15年10月29日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。


環境観測技術衛星(ADEOS-II)「みどりII」の運用異常を受け、現在行っている作業、並びに今後の予定について報告する。

1. 現在実施中の作業

 環境観測技術衛星「みどりII」の異常発生を受け、現在、下記の作業を行っている。

(1) 衛星復旧作業

 テレメトリ送信を可能とする電力を確保するとともに、衛星状態を把握するため、衛星に対し以下のコマンド送信を継続している。

  • ミッション機器及びバス機器のヒータオフ
  • テレメトリ送信機のオン

 これまで、24時間体制により、JAXAの国内外の追跡管制局またはデータ中継衛星を介して、コマンド送信を継続しているが、衛星データの受信はできていない。

(2) 地球観測運用の復旧可能性評価

 下記により衛星状態の把握を行い、これらの結果をもとに地球観測運用の復旧可能性を評価している。

  1. FGAN画像による衛星状態の把握
     衛星の姿勢や損傷の有無などの衛星の状態を把握するため、独国応用自然科学研究協会(FGAN)のレーダ観測による軌道上の「みどりII」の画像を用いた解析を行っている。
  2. 機器の温度環境の評価解析
     バッテリや姿勢制御用の推進薬(ヒドラジン)の現在の温度状況を把握するため、異常発生時の温度情報や姿勢情報をもとにシミュレーションを行い、現在の衛星の温度環境を推測することを試みている。

(3) 原因究明作業

 これまでに取得されたテレメトリデータの解析をより詳細に進めるなど、今回の運用異常の原因究明作業を行っている。
 なお、運用異常発生時に太陽フレアの発生が報告されていることからこの影響についても検討を行っている。

2. 今後の予定

(1)衛星復旧作業

 今後も継続して衛星へのコマンド運用を行い、衛星からのテレメトリデータの取得を試みるとともに、衛星の姿勢解析結果をもとに、太陽電池パドルが最も電力を発生する可能性のあるタイミングに合わせた集中的なコマンド運用を行うことを検討する。

(2) 地球観測運用の復旧可能性評価

 FGAN画像による姿勢の解析結果、及びバッテリやヒドラジンなどの温度予測データをもとに、今週末までには地球観測運用を復旧できるか否かの評価を行うこととして作業を進める。

(3) 原因究明作業

 今後も原因究明作業を継続し、調査部会に適切に報告していく。



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