プレスリリース

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遠隔SAN接続を利用した、ファイル共有実験に成功
-東京〜仙台間で70MB/secのパフォーマンスを計測-

平成15年11月26日

東北大学 流体科学研究所
宇宙航空研究開発機構
東京エレクトロン株式会社

 東北大学 流体科学研究所(IFS、仙台市青葉区、所長:井小萩 利明教授)と、宇宙航空研究開発機構(JAXA、東京都調布市、理事長:山之内秀一郎)は、スーパーコンピュータと高速ネットワークを最大限に利用し、数値流体力学を核に空力・構造・制御を統合することで、不規則な飛行環境を仮想的に構築する航空安全環境シミュレーションシステムの確立を目指し、共同研究をすすめています。
 この基盤技術の実証を目的に、JAXAのスーパーコンピュータ「NSIII」による計算の結果を、300km離れたIFS側で可視化画像処理を行う事を想定した、遠隔SAN*1接続によるファイル共有実験を行い、単一ファイルのリモート・アクセスで70MB/secを超えるパフォーマンスを計測しました。
 実験は、iFCP*2を用いた遠隔SAN接続を仮想研究環境ITBL*3上に構築し、バックボーン・ネットワークに10Gbps、支線のネットワークに1Gbpsという高速なネットワークであるSuperSINET*4を利用して行いました。ITBL環境におけるIFS、JAXAの利用ノウハウと、iFCPに関してのチューニングノウハウを持つ東京エレクトロン株式会社の技術協力により、iFCPを用いた遠隔SAN接続が十分な実用性を持つことが実証されました。
 これまでにもSANを用いたストレージレベルでのリモート・アクセスはいくつか実験されていますが、今回の実験は、より実際の作業環境に近いファイルシステムレベルで70MB/secという高速なリモート・アクセスを実証できたことが大きな成果です。 今回の実験により、航空安全環境シミュレーションシステムの実用の可能性が大きく膨らみ、今後の展開が期待されます。




*1 SAN(Storage Area Network)
サーバとストレージデバイス(データの記録装置)との間にストレージ専用のネットワークを構築して、ストレージ資源を複数のサーバで共用できるようにするシステム。
*2 iFCP(インターネット・ファイバチャネルプロトコル)
iFCPは、IPインフラストラクチャを利用して、SAN間を相互接続するための、TCP/IPベースのプロトコル。
*3 ITBL(Information Technology Based Laboratory)
日本国内の研究機関のスーパーコンピュータ、データベースなどを高速回線で接続し、地理的制約を受けない共同研究が可能な「仮想研究環境」の構築を目的として、物質・材料研究機構、宇宙航空研究開発機構、防災科学技術研究所、理化学研究所、日本原子力研究所、科学技術振興機構の6機関を中心に、ネットワーク上の計算資源を容易に安全に利用するための基盤ソフトウェアやアプリケーションソフトウェア、データベースの開発を行っている。
*4 SuperSINET
先端的学術研究機関間の連携を強化して、日本の学術研究を飛躍的に発展・増進させることを目的とする研究用超高速ネットワークで、10Gbpsの光通信技術を用いて文部科学省国立情報学研究所が平成14年1月から運用している。ITBLもSuperSINETにより基盤整備されている。

図:遠隔SAN接続の概要



東北大学流体科学研究所
未来流体情報創造センター研究開発室 佐藤
TEL: 022-217-5290
FAX: 022-217-5290

宇宙航空研究開発機構 広報部
TEL:03-3438-6107〜9
FAX:03-5402-6513

東京エレクトロン株式会社
コンピュータ・ネットワーク B,.U
第二営業統括グループ SANチーム 神本
TEL:03-5561-7181
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Email:kamimoto@kabuki.tel.co.jp