宇宙航空研究開発機構
本日開催された宇宙開発委員会調査部会において、下記のとおり報告をいたしました。
宇宙航空研究開発機構は、平成15年11月29日、種子島宇宙センターからH-IIAロケット6号機(図-1)を打上げたが、2本のSRB-A(固体ロケットブースタ)のうち、1本の分離ができず、そのままでは、高度および速度が不足することから、13時43分53秒にロケットを指令破壊し、打上げは失敗した。
1. 打上げの状況について(1) 打上げ日時平成15年11月29日 13時33分 (2) 天候
天候: 小雨 (3) 飛行状況の概要
飛行中の主要イベントについて表-1に示す。H-IIA6号機は打上げ後、予定された飛行経路に沿って正常に飛行した。 |
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No | 主なイベント | 実測値(速報) | 計画値 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | 固体ロケットブースタ(SRB-A)点火リフトオフ(13時33分) | 0秒 | 0秒 | |
2 | 固体補助ロケット(SSB)第1ペア点火 | 10秒 | 10秒 | |
3 | 固体補助ロケット(SSB)第1ペア燃焼終了 | 1分 8秒 | 1分 9秒 | |
4 | 固体補助ロケット(SSB)第2ペア点火 | 1分 16秒 | 1分 16秒 | |
5 | 固体ロケットブースタ(SRB-A)燃焼終了 | 1分 38秒(*1) | 1分 39秒 | |
6 | 固体ロケットブースタ(SRB-A)分離 (2本中1本については分離できなかった) |
1分 45秒 | 1分 45秒 | (*2) |
1分 47秒 | 1分 46秒 | (*3) | ||
7 | 固体補助ロケット(SSB)第1ペア分離 | 1分 48秒 | 1分 47秒 | |
8 | 固体補助ロケット(SSB)第2ペア燃焼終了 | 2分 14秒 | 2分 14秒 | |
9 | 固体補助ロケット(SSB)第2ペア分離 | 2分 24秒 | 2分 24秒 | |
10 | 指令破壊コマンド送信 | 10分 53秒 | - |
(*1) | 実測値(L側)の最大燃焼圧力(ノミナル値)の2%到達時点 尚、10%到達時点は1分31秒 |
(*2) | 前/後方ヨーブレス分離時刻 |
(*3) | スラスト・ストラット分離信号送出時刻 |
飛行時の慣性速度を図-2に示す。
SRB-A分離の概念図を図-3に、SRB-A分離用火工品系統図を図-4に示す。
イベント | 時間差 |
---|---|
(1) 分離モータ点火 | -0.1秒 |
(2) 前方/後方ヨーブレス分離 | 0秒 |
(3) スラストストラット切断 | 1.4秒 |
リフトオフ後、約62秒までは、第1段機体/SRB-Aともに正常であったが、それ以降、SRB-A分離までに発生した異常事象の時系列整理を以下に示す。データはテレメータデータからの読み取り値である。
R側SRB-Aのノズル開口部外表面1箇所の温度が上昇を開始、約1秒後にスケール・オーバーしている。(図-5、6)
R側SRB-Aの後部アダプタに搭載している各機器(図-7)のデータに以下の異常が順次発生し、約70秒時点からL側SRB-Aの舵角量が増加している。
図-8に示す加速度データよりモータの燃焼は正常であったものと推定されるが、3個ある燃焼圧力センサによるデータが67秒付近でいずれもゼロ出力となっている(図-8)。
約105秒〜約107秒に、第1段機体から分離モータ点火、前方/後方ヨーブレス分離、スラストストラット切断の各信号が発出され、L側SRB-Aは正常に分離した。しかしながら、R側については、分離モータの点火、後方ブレス及びスラストストラットの分離は行われたものの、前方ブレス2本がいずれも分離せず、第1段機体に取り付いたままであった(図-10)。
宇宙航空研究開発機構 広報部
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