本日開催された宇宙開発委員会調査部会において、下記のとおり報告をいたしました。
1. 製造・検査の詳細フローについて
SRB-Aの製造・検査の詳細フローを図1〜図3に示す。
2.製造・検査の結果
2.1 調査の対象
SRB-Aの以下の構成要素の製造、結合作業および射場での組立整備作業について、調査を実施した。
- ノズル組立の製造・検査
- モータケースの製造・検査
- 推進薬の製造・検査
- モータケース/ノズル結合・検査
- 射場組立整備作業
2.2 実施内容
- SRB-A製造・検査工程および材料の変更内容の確認
- (1-1)製造・検査工程の変更履歴および変更内容
- 製造・検査工程の作業標準書、検査実施要領書は、試験機1号機以降、多数の改定がなされているが、誤記の修正、作業手順の改善のための改定である。問題となるような製造・検査工程の変更はない。
特記すべき事項は以下のとおりである。
- モータケースとノズルの結合作業手順の変更
試験機2号機までの結合作業では、ノズルをモータケースに結合した後にノズルから結合用治工具を取り外し、その後にアクチュエータ2個をモータケースとノズル間に装着していた。3号機からはアクチュエータ2個を取り付けた後に、治工具を取り外す手順とした。これは工程の改善であり、問題ないことを確認した。
- ノズル・ライナアフトB2の非破壊検査内容の見直し
試験機2号機までは、この部材のX線検査を実施していたが、3号機およびそれ以降はX線検査を実施しないこととした。ただし、超音波探傷検査は継続して実施しているため、欠陥検出上の問題はないことを確認した。
- アウターパネル接着後のハンドリング開始時間の短縮
4号機用SRB-A(右側)以降、ホルダB外周へのアウターパネル接着後からハンドリングを開始する時間が短縮されているが、テストピースによる試験の結果、接着強度は従来と同等であり、問題ないことを確認した。また、6号機の非破壊検査結果も問題ないことを確認した。
- (1-2)使用材料の変更履歴および変更内容
- ノズル、モータケースの製造に使用している材料の材質は、認定試験用SRB-A(QM#3)から変更されていない。一部、材料仕様書等が改定されているものがあるが、検査データの記入指示や、会社名変更等であり、問題となる変更ではないことを確認した。
- (1-3)設計変更の製造工程への反映の確認
- SRB-Aの設計変更に伴う製造・検査工程への反映は、確実に実施されていることを確認した。
- 製造工程記録の調査
- (2-1)不具合処置の妥当性の確認
- 6号機用SRB-A(右側)の工場製造作業時および種子島での射場整備作業時の不具合記録を調査した結果、不具合処置に問題はないことを確認した。
- (2-2)材料物性、接着強度データ等の確認
- 製造段階での部品および製品の材料物性、部材間の接着強度、機械強度、成分組成等のうち、設計・製造上重要な検査データについて、試験機1号機から6号機までの検査データを確認した結果、データが規格値内であること、また、6号機が他号機と比較して大きな偏差を有していないことを確認した。
特記すべき事項は以下のとおりである。
- ノズル・ライナアフトB2の物性
6号機用SRB-A右側のライナアフトB2の参考データとして取得している一部の物性値が従来号機の中で低めであるが、過去のフライト号機の実績範囲内である。また他の強度データはほとんど変化が見られないため、製造上のばらつきの範囲内であると考えられる。
- (2-3)非破壊検査記録の確認
- 推進薬組立(モータケース・インシュレーション・推進薬)及びノズルの非破壊検査記録を確認し、6号機用SRB-Aに規格外の欠陥がないことを確認した。
2.3 調査した製造・検査文書、記録文書
調査の対象とした製造・検査関連の文書は、以下のとおりである。
- 図面、仕様書
- 作業標準書、作業標準書兼・品質保証用ログブック
- 検査実施要領書
- 品質保証用ログブック
- 不具合記録
- 検査成績書
- 文書パッケージ
- 工場整備作業検査記録
- 射場整備作業検査記録
- 写真記録