プレスリリース

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「H-IIAロケット6号機」固体ロケットブースタの探索について

平成15年12月22日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構は、平成15年11月29日、種子島宇宙センターから打上げを行った「H-IIAロケット6号機」の固体ロケットブースタ(SRB-A)の探索を実施するため、12月24日(水:予定)に探索船を横須賀より出港させることといたしましたのでお知らせします。
 探索に当たっては海洋科学技術センターの協力を得て曳航式深海底調査システム「6000m級ディープ・トウ・カメラシステム」等を借用し、これに当機構が用意した音波探査装置(ソナー)を装備して行います。


 なお、探索の状況により何らかの進展があった場合には、改めてお知らせいたします。



補足説明資料

H-IIAロケット6号機 SRB-Aの探索について

    1.概要

     平成15年11月29日のH-IIA6号機打上げ失敗については、宇宙開発委員会調査部会において原因究明が進められているところであるが、これまでのところ固体ロケットブースタ(SRB-A)に何らかの異常があったと推定されていることから、回収の可能性を検討するため、海中に落下したSRB-Aの探索を行う。

    2.探索方法

     SRB-Aには着水後から音波を発信するように設計された音響ビーコンが艤装されており(図1)、当機構の用意した音波受信機(ソナー)を装備した深海調査システムを船舶にて曳航して、音波の受信を試みる(図2)。

    3.日程

     天候(海況)等によって変更する可能性があるが、12月24日(予定)に横須賀を出港、5〜6日かけて現地に到着し、探索を実施する予定である。

    4.課題
     SRB-Aが発見、回収できた場合には原因究明の有力な材料となる可能性があると思われるが、探索については次のような課題がある。
      (1)探索深度
       落下予想海域の深度が5〜6,000m程度であり、深海調査システム及びソナーの作動限界に近い。
      (2)音響ビーコンの健全性
       飛行データより、リフトオフ後約62秒から右側SRB-Aのノズル近傍の温度が上昇していることが確認されている。音響ビーコンはノズル近傍に艤装されているため、熱的に破壊されている可能性がある。
      (3)海底の地質
       SRB-Aが沈んでいる箇所の海底が泥層の場合、音響ビーコンが泥に埋もれ、水中に十分な音波を発しない可能性がある。
    5.その他
      (1)探索の実施に当たっては、海洋科学技術センターの協力を得て曳航式深海底調査システム「6000m級ディープ・トウ・カメラシステム」等を借用している。
      (2)探索は、正常に分離できなかった右側のSRB-Aを対象とし、左側の探索も検討する。
      (3)回収については、探索結果を踏まえて検討する。





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