本日開催された宇宙開発委員会調査部会において、下記のとおり報告をいたしました。
1. SRB−Aの基本仕様の設定
H-IIA SRB-A は、H-II SRB で培った経験を基に高信頼性・高性能・低コストを目標として開発した固体ロケットブースタである。
以下のSRB-A 開発時の基本方針及びH2Aロケットのシステム要求(最大推力2157kN 以上、第1 段機体とのインタフェース)に基き、SRB-A の基本仕様を設定した。(図1−1、図1−2参照)
- 一体CFRP 製モータケースの採用により、セグメント結合部を削除し、信頼性向上、性能向上を図る。
- ノズルスロート材に3DC/C を採用し、信頼性向上を図る。
- 電動アクチュエータの採用により、整備性と運用性の向上、低コスト化を図る。
- 実績のあるモータケース製造技術を米国より導入する。
- 第1段機体への取り付け方法をH-IISRB のホールドダウン方式(リフトオフ時火工品により射座との切り離しが必要)からストラップ・オン方式(射座切り離し不要)に変更し信頼性の向上を図る。
- 一体型モータケースと射場の推進薬充填設備により、推進薬グレインの製造組立工程を簡素化し、低コスト化、信頼性向上を図る。
2. ノズルの設計について
SRB−Aの基本仕様に基き、表2−1に示すノズルに対する要求条件を設定し、図2−1に示すフローにて設計、開発を実施した。
図1−1 H−II SRB と H−IIA SRB−Aの比較
図1−2 H−IIAロケットSRB−A全体概要図
項目 | 主要な要求条件 |
推進特性 |
推力、比推力 |
形状、寸法 重量 |
スロート径、全長、ケース結合部外径、ノズル出口外径、ノズル出口位置、可動ノズル包絡域、重量 |
制御特性 |
推力偏向角、トルク、ノズル剛性 |
荷重条件 |
燃焼内圧、アクチュエータ力 |
熱条件 |
燃焼ガス温度、組成、燃焼時間 |
環境条件 |
温度 |
その他 |
シール性、寿命 |
表2−1 ノズルに対する要求条件
図2−1 固体ロケットノズル設計フロー