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SRB-A の開発の考え方とノズル設計について

平成15年12月24日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会調査部会において、下記のとおり報告をいたしました。


1. SRB−Aの基本仕様の設定

H-IIA SRB-A は、H-II SRB で培った経験を基に高信頼性・高性能・低コストを目標として開発した固体ロケットブースタである。
以下のSRB-A 開発時の基本方針及びH2Aロケットのシステム要求(最大推力2157kN 以上、第1 段機体とのインタフェース)に基き、SRB-A の基本仕様を設定した。(図1−1、図1−2参照)

  1. 一体CFRP 製モータケースの採用により、セグメント結合部を削除し、信頼性向上、性能向上を図る。
  2. ノズルスロート材に3DC/C を採用し、信頼性向上を図る。
  3. 電動アクチュエータの採用により、整備性と運用性の向上、低コスト化を図る。
  4. 実績のあるモータケース製造技術を米国より導入する。
  5. 第1段機体への取り付け方法をH-IISRB のホールドダウン方式(リフトオフ時火工品により射座との切り離しが必要)からストラップ・オン方式(射座切り離し不要)に変更し信頼性の向上を図る。
  6. 一体型モータケースと射場の推進薬充填設備により、推進薬グレインの製造組立工程を簡素化し、低コスト化、信頼性向上を図る。

2. ノズルの設計について

SRB−Aの基本仕様に基き、表2−1に示すノズルに対する要求条件を設定し、図2−1に示すフローにて設計、開発を実施した。


図1−1 H−II SRB と H−IIA SRB−Aの比較




図1−2 H−IIAロケットSRB−A全体概要図




項目主要な要求条件
推進特性 推力、比推力
形状、寸法 重量 スロート径、全長、ケース結合部外径、ノズル出口外径、ノズル出口位置、可動ノズル包絡域、重量
制御特性 推力偏向角、トルク、ノズル剛性
荷重条件 燃焼内圧、アクチュエータ力
熱条件 燃焼ガス温度、組成、燃焼時間
環境条件 温度
その他 シール性、寿命

表2−1 ノズルに対する要求条件



図2−1 固体ロケットノズル設計フロー



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