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SRB-A 分離用導爆線温度解析結果

平成16年2月5日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会調査部会において、下記のとおり報告をいたしました。


1. 目的

 SRB-A(R側)が分離しなかった不具合の全体事象について、飛行データ、検証実験および解析に基づき整理を行った結果を表1に示す。
 ここでは、全体事象のうち、SRB-A不分離に直結する導爆線の機能喪失について、解析を行った結果をまとめる。

2.解析概要

 ホルダB破孔を想定した後部アダプタ内へのガス拡散三次元解析を行い、導爆線の加熱率、加熱率に基づく温度上昇を推算した。
 解析においては、初期破孔面積(面積25mm2)が維持されたケース、ある程度破孔が拡大(面積100mm2)したケースを実施した。

  なお、初期破孔面積は下記に基づく最小値である。
 ○ 検証実験にて、飛行時のサーマルカーテン温度上昇率(6℃/秒)を与えるには、13kW/m2程度の加熱率が必要との結果を得た。
  (12月24日の調査部会にて説明済み)
 ○ 破孔面積をパラメータとしたガス拡散解析において、13kW/m2程度の加熱率を与えるには、25mm2程度以上の破孔面積が必要との結果を得た。
  (1月9日の調査部会にて説明済み)

 解析の結果を図1に示す。
 初期破孔面積(面積25mm2)が維持されたケースでは、導爆線の設置位置によって加熱率は異なるが、システムトンネル近傍では1秒以内で数100kW/m2以上に上昇した。これは、システムトンネルを経由してSRB-A外部に抜けるガス流れの影響で、加熱率が上昇したものである。
 破孔面積が拡大(面積100mm2)したケースでは、導爆線の設置位置によらず後部アダプタ内での加熱率は1 秒以内で数100kW/m2程度に上昇した。

 次に加熱率200kW/m2の仮定で導爆線の熱解析を行い、数秒で爆薬温度が200℃(導爆線の機能喪失温度:12月15日の調査部会にて報告済み)を上回る結果を得た。

3.まとめ

 初期破孔面積(面積25mm2)が維持される場合でも、設置位置により、破孔発生から数秒で機能喪失に至る可能性があること、また、破孔が100mm2程度に拡大することで、後部アダプタ内の導爆線は設置位置によらず数秒で機能喪失に至る可能性があることを確認した。








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