宇宙航空研究開発機構
本日開催された宇宙開発委員会調査部会において、下記のとおり報告をいたしました。
SRB-A(R側)が分離しなかった不具合の全体事象について、飛行データ、検証実験および解析に基づき整理を行った結果を表1に示す。
ここでは、全体事象のうち、SRB-A不分離に直結する導爆線の機能喪失について、解析を行った結果をまとめる。
ホルダB破孔を想定した後部アダプタ内へのガス拡散三次元解析を行い、導爆線の加熱率、加熱率に基づく温度上昇を推算した。
解析においては、初期破孔面積(面積25mm2)が維持されたケース、ある程度破孔が拡大(面積100mm2)したケースを実施した。
なお、初期破孔面積は下記に基づく最小値である。
○ 検証実験にて、飛行時のサーマルカーテン温度上昇率(6℃/秒)を与えるには、13kW/m2程度の加熱率が必要との結果を得た。
(12月24日の調査部会にて説明済み)
○ 破孔面積をパラメータとしたガス拡散解析において、13kW/m2程度の加熱率を与えるには、25mm2程度以上の破孔面積が必要との結果を得た。
(1月9日の調査部会にて説明済み)
解析の結果を図1に示す。
初期破孔面積(面積25mm2)が維持されたケースでは、導爆線の設置位置によって加熱率は異なるが、システムトンネル近傍では1秒以内で数100kW/m2以上に上昇した。これは、システムトンネルを経由してSRB-A外部に抜けるガス流れの影響で、加熱率が上昇したものである。
破孔面積が拡大(面積100mm2)したケースでは、導爆線の設置位置によらず後部アダプタ内での加熱率は1 秒以内で数100kW/m2程度に上昇した。
次に加熱率200kW/m2の仮定で導爆線の熱解析を行い、数秒で爆薬温度が200℃(導爆線の機能喪失温度:12月15日の調査部会にて報告済み)を上回る結果を得た。
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