プレスリリース

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地球観測・通信技術試験衛星の総点検について

平成16年2月18日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。


1.はじめに

  みどりIIの運用異常をはじめとして、地球観測・通信技術試験衛星に不具合が多発していることを重大に受け止め、地球観測・通信技術試験衛星の信頼性の向上を最優先の課題として取り組む。特に、これまでの軌道上不具合の要因として、開発過程における課題の把握、検証が十分に行われていなかった可能性があることを考慮し、今後打上げに供する衛星が、軌道上で確実に運用できるように設計、製造、試験がなされているか、設計にまで遡って総点検を行うことにより確認する。
 その結果を踏まえ、衛星による地球観測データの取得、及び通信技術の実証といったミッションの達成に向けた信頼性向上を目的として、必要な措置を講ずる。

2.総点検の基本方針

  • みどりIIにおいて、電源系の異常により衛星の全損を招いたことを踏まえ、衛星の全損に繋がる可能性のある故障モードが抜けなく抽出されているか、それに対し適切な対策が行われているか、その検証が確実に行われているか、について点検する。
  • 総点検の視点及び対象は以下のとおり。
    1. 故障モード・影響解析(FMEA)により単一故障点及び冗長系についてシステムレベルからコンポーネントまで網羅的に識別し、信頼性設計を再点検する。
    2. 検証方法を再点検し、End-to-End試験等の確実な方法で検証されているか確認する。
    3. 衛星システムとしてのサバイバル性を評価する。
    4. 特に以下の事項については重点的な点検対象とする。
      • 不具合が衛星の全損に直結する重要なサブシステム(電源パドル系、姿勢制御系、推進系、熱制御系、通信系等)
      • 過去の衛星不具合反映の評価
      • プロジェクト固有のクリティカルアイテム(ALOS:ミッションデータ処理系、高精度姿勢制御系 ETS-VIII:大型展開アンテナ、100V電源・パドル系 等)
  • 総点検の結果を受け、信頼性向上、サバイバル性向上の観点から必要な追加作業(追加試験、解析等の実施)、措置(設計変更、コンフィギュレーション変更等)等を行う。

3.体制

  • 独立した点検チーム及びプロジェクトチームにより総点検を行う。
  • 総点検には、宇宙利用推進本部、総合技術研究本部(宇宙部門)等の専門家の幅広い参加を得て全社的体制で行う。
  • メーカ内にも総点検チームを編成し、メーカの視点による総点検を行う。

4.スケジュール

  • ADEOS-IIの運用異常の原因究明については、鋭意進め、判明した事項を適宜点検の視点に取り込みながら総点検を進める。
  • ALOSの総点検の実施を最優先とする。
  • ETS-VIIIについては、ALOSの総点検を踏まえつつ、過去の実験も含め総点検を行う。
  • 後続の地球観測・通信技術試験衛星については、順次総点検に着手する。



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