プレスリリース

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統合地球観測戦略(IGOS)に関する
世界会議の開催結果について

平成16年2月25日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。


IGOS世界会議の概要

背景

  • IGOSの各テーマが進捗し、実施段階に移行しつつある。IGOSの概要については(参考1)に示す。
  • 地球観測に関する政府間作業部会(GEO)において地球観測の10年実施計画が策定されつつある。

会議の概要

  • 目的
    • IGOS各テーマの進捗の確認
    • IGOS各テーマの実施計画の検討
    • IGOS各テーマの実施に関する勧告のまとめ
  • 開催月日 平成16年2月4日(水)〜6日(金)
  • 開催場所 東京国際交流館

 なお、本会議に先立ち、IGOSの各テーマに関する宇宙機関の計画を調整する地球観測衛星委員会(CEOS)の第13回戦略実施チーム会合(議長:JAXA古濱理事)を開催した。本会合の結果については(参考2)に示す。

本会議のアジェンダ

アジェンダ

  • 全体セッション 「全球観測に関する国内外の活動」
    • IGOS全体進捗、地球観測サミット関連、IGOSへの宇宙機関の対応、全球観測システム活動報告等
  • 分科会
    • IGOSテーマ分科会(海洋、全球炭素、水循環、陸域災害、大気化学、沿岸)
    • 横断的テーマ分科会(データ統合、能力開発)
  • 全体セッション
    • パネルディスカッション 「IGOS各テーマをいかに発展させるか」
    • IGOSの各テーマの実施に関する勧告とりまとめ

本会議の成果

開催結果

  • 200名以上(うち、海外約20カ国から約40名)が参加

成果

  • IGOSと地球観測に関する政府間作業部会(GEO)との連携強化に対する考え方をGEOに対する勧告としてまとめることができた。
    • データの連続性と一貫性の維持
    • 各国政府に対するデータ提供及び交換の促進
    • データフォーマット標準化、フォーマット変換システム開発 等
  • IGOSの各テーマの進捗が確認され、テーマを効果的に実施するためのIGOS-Pに対する勧告をまとめることができた。
    • 先進国と途上国が共に利益を有することが可能な包括的な能力開発へのアプローチ
    • 衛星データやモデル検証を目的とした集中観測の実施 等

詳細な勧告内容は別添1を参照とする。

IGOS-Pの今後の予定

  • 第3回地球観測に関する政府間作業部会(GEO3)(2月、南アフリカ)への参加
  • 第4回地球観測に関する政府間作業部会(GEO4)(4月、東京)への参加
  • 第2回地球観測サミット(4月、東京)への参加
  • 第11回IGOS-P会合(5月、ローマ)
    • 今回の結果を報告し、IGOS-Pの意見として承認されるよう働きかける。
    • IGOS-P承認後、GEOで検討している地球観測の10年実施計画へ反映させるべく、IGOS-Pとして勧告を行うよう働きかける。



(別添1)
勧告内容

  1. IGOSの海洋、水循環、陸域災害、炭素循環、大気化学および沿岸テーマは、2004年の6月までに全て承認される見込みである。これらのテーマを地球観測サミットにおける政府間作業部会 (GEO)の初期段階の計画策定のための入力情報とすることをGEOに勧告する。
  2. IGOSは計画策定時における段階的な取り組みの重要性を示した。GEOにおいても、既存のIGOSテーマを含める形で、同様のアプローチをとることをGEOに勧告する。
  3. GEOとIGOS-Pのコミュニティは、GEOの取り組みにおいて、衛星/地上観測システムやモデリング、通信等のIGOS-Pの全ての要素への援助が約束されることが重要であることを、共に認識した。今後については、IGOSテーマのGEO実施計画への反映を含めた、GEOとIGOS-Pの必要な連携を取ることをGEOに勧告する。
  4. GEOへの参加国や国際機関に対して、データの交換と配布を容易にするよう促すことをGEOに勧告する。
  5. IGOSテーマの定義と計画策定にあたっては、「能力開発」の側面がより強調されるべきである。
  6. IGOSのテーマにおいては、実施計画を策定する上で、その活動のフレームワークや責任の所在、リーダーシップ、主要なデータとサービス、それらのユーザグループ等を明確化することが必要である。
  7. IGOS各テーマは、テーマペーパーで示された勧告事項が、そこで提案されたユーザーコミュニティーのニーズを代表していることを保証する必要がある。その実現のため、各テーマにおいては、テクニカルワークショップ等を開催することを勧告する。
  8. 本会議を通して、IGOS-Pの更なる発展とより広範囲な一般への認知の必要性が明確になった。今後はIGOS-Pの認知度を高める活動にももっと力を入れるべきである。
  9. IGOS各テーマに関し、本ワークショップの分科会において識別された主要課題とギャップが、テーマレポート策定、改訂及び実施に考慮されるべきである。

(参考1)
統合地球観測戦略(IGOS)
パートナーシップ

  • 1994年7月、日本は宇宙開発委員会長期ビジョン懇談会報告書「新世紀の宇宙時代の創造に向けて」において「全地球観測システム」の構築を提案。
  • 1998年6月、地球環境問題、研究、地球観測データの提供に係わる諸国際機関の協力強化のため、統合地球観測戦略パートナーシップ(IGOS-P)設立。
地球観測衛星委員会(CEOS)
全球気候観測システム(GCOS)
全球陸域観測システム(GTOS)
全球海洋観測システム(GOOS)
全球観測システム(GOS)/
全球大気化学監視計画(GAW)
世界気候研究計画(WCRP)
地球圏・生物圏国際協同研究計画 (IGBP)
国際科学会議(ICSU)
国連環境計画(UNEP)
国連教育科学文化機関(UNESCO)
政府間海洋委員会-国連教育
科学文化機関(IOC-UNESCO)
国連食料農業機関(FAO)
世界気象機関(WMO)

IGOS-Pは、7つの「テーマ」(海洋、大気化学、炭素循環、水循環、陸域災害、沿岸、さんご礁サブテーマ)に取り組んでいる。

(参考2)
地球観測衛星委員会(CEOS)
第13回戦略実施チーム(SIT)会合の結果

目的:

  • IGOSの各テーマに関する宇宙機関の計画の調整

開催月日、場所:

  • 平成16年2月3日(火)、JAXA地球観測利用推進センター(EORC)

出席:

  • JAXA(議長:古濱理事)、NASA、NOAA、ESA、CNES、EUMETSAT、NRSCC、CONAE、

会議の結果:

  • 各テーマのIGOSプロセスへの適合、実施体制の確認
  • 各テーマの主要課題への宇宙機関の対応の調整
    • 各テーマへ貢献可能な衛星ミッションの確認
    • アルゴリズム開発、データ統合、データ利用の調整
    • 各テーマ実施計画策定のためのワークショップの開催等


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