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H-IIAロケット6号機 打上げ失敗の原因究明状況について(その10)

平成16年3月1日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会調査部会において、下記のとおり報告をいたしました。


1.SRB-A実機大モータデータ取得試験結果(その2)

 実機大モータデータ取得試験に供したノズルを工場に返送した後に行った表面後退量の詳細計測結果及び分解点検の状況について報告する。

1.1 表面後退量

 ノズル開口部CFRP製断熱材の表面後退量の詳細計測を行った。その結果、表面後退量は全体的に小さく、開口部初期立上り角の増加による表面後退低減効果を確認し、設計改善による表面後退量低減に関する見通しを得た。

1.2 分解点検状況
 分解後の点検状況を以下に示す。引き続き詳細点検を実施中である。
  1. ノズル及びモータの外観に異常はなく、燃焼ガス漏れも認められなかった。
  2. ノズルスロート内面に不均一な表面後退は認められず、後端部の欠損はなかった。
  3. ノズルインレット先端部付近の平均的な表面後退量はSRB-A2のPMと比べて大きかったが、部材の脱落等の異常はなかった。
  4. ノズル開口部のCFRP製断熱材とホルダAの接合面のOリング部分まで燃焼ガスが浸入した痕跡が観察された。その他、モータケースとノズルの結合部及びモータケースと点火モータの結合部にも同様の現象が認められた。いずれも、Oリングに熱損傷は無く、シール機能に問題はなかった。
     これらの原因は充填剤中に残留した気泡により空洞ができ、これがOリングまで繋がっていたためである。
     設計上、結合面の気密性はOリングで確保することとしているが、充填剤の気泡による燃焼ガス浸入経路が発生することは望ましくないため、今後の設計等の改善事項の一つとして、製造・検査工程の改善を行う。



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