宇宙航空研究開発機構
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
今回の原因究明の過程で、局所エロージョンにおける層間剥離等の重畳的な影響のメカニズムが新たな知見として得られているが、この現象で十分に解明されていない事象について、データ取得を行い、基礎的な研究を行う一環として、H-IIAロケット6号機と同一の形態で、実機大モータの地上燃焼試験を行う。
燃焼試験後、外観観察、詳細計測、分解調査等より、ノズル部の各部材の再確認など技術データを取得する。さらに、局所エロージョンのデータの取得により今後の定量的な評価につなげる。 具体的な目的は以下のとおり。
・ノズル構造部材等について、燃焼試験後の外観観察・分解調査により、シール性や断熱特性等の技術データを取得する。
・ノズル開口部CFRP断熱材の熱分解層の進展時間履歴データを含む表面後退のデータ取得を行う。
試験に供するSRB-A実機大モータについては、H-IIAロケット6号機と同一形態であり、8号機用に製造中であったノズルと製造済みのH2A202用モータを使用する。
試験時の計測については、ノズル開口部CFRPの超音波による熱分解層の進展時間履歴計測(位置、点数の詳細については、2月に実施した実機大モータ燃焼試験(24個取付)を参考として検討中)を行う。 このため、アルミホルダ及びアウタパネルに必要な孔加工を追加する(飛行機体の形態と異なる点)。 さらに、ノズルに関する温度、歪データを可能な範囲で追加取得する。
モータ、ノズルの概要を図1に示す。
熱分解層の進展時間履歴データを取得するための超音波センサの準備が完了(平成16年7月上旬頃の予定)次第、種子島宇宙センターで実施する。
大量の燃焼ガス漏れが発生した場合には、燃焼試験設備破損のリスクがあるが、可能な限りの耐熱対策(今回破孔したと考えられるノズル部及び主推力測定装置等の重要機器を耐熱・断熱シートで覆う)を行う予定としている。
宇宙航空研究開発機構 広報部
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