プレスリリース

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温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)利用シンポジウムの
開催結果について

平成16年5月12日

環境省
宇宙航空研究開発機構
国立環境研究所

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。


1.報告事項

 「温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)利用シンポジウム」の開催結果について報告する。

2.開催目的

 二酸化炭素の衛星観測の重要性をアピールし、温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)プロジェクト全体ミッションに関して、広く国民一般の理解を深めるとともに、利用拡大を図る。また、講演、討議内容等を取りまとめ、今後の計画に反映させる。

3.開催概要

(1)日程: 平成16年4月21日(水) 13:30-16:30
(2)場所: 一橋記念講堂(学術総合センター内)
(3)主催: 環境省、宇宙航空研究開発機構、国立環境研究所
(4)後援: 文部科学省
(5)参加者: 約350名(真鍋 賢二参議院議員、関係省庁24名、宇宙開発関連企業等114名、大学・研究機関等76名、環境関連団体・企業41名、大使館等5名、報道出版6名、その他約90名)の参加があった。
(6)プログラム: PDFファイル(8.2MB)

4.開催結果

(1)ベリアン・ムーア三世教授招待講演

 ニューハンプシャー大学のベリアン・ムーア三世教授(元地球圏-生物圏国際共同研究計画(IGBP)科学委員会委員長、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)3次報告書主執筆者)により「地球温暖化と炭素循環」というテーマで講演が行われた。衛星による観測データを用いると、現在の地上観測データのみを用いている場合に比較して、二酸化炭素吸収排出量の推定誤差が一桁以上改善されるとの説明があり、GOSATやJPLのOCO ( Orbital Carbon Observatory) は非常に注目すべきプロジェクトであると紹介がなされた。

(2)安岡教授招待講演

 GOSATのチーフサイエンティストである東京大学の安岡教授からGOSATの意義・目的、京都議定書との関係が紹介され、GOSATの観測方式、最終的なアウトプット(二酸化炭素の吸収排出量の全球分布)について説明がなされた。

(3)パネルディスカッション「宇宙からの二酸化炭素観測で何がわかるか」

東海大学の下田教授の司会により、招待講演者のムーア教授、安岡教授、JPL OCOの代表研究者であるクリスプ博士、日経サイエンス高木社長、日本気象協会 飯島氏、環境研 西岡理事、宇宙研究開発機構 片木執行役の7名のパネラーにより討議が行なわれた。主な討議内容は以下のとおり。

  • OCOは二酸化炭素観測を目的とし2007年に打上げ予定の研究目的の衛星であるが、GOSATと同時期に打上げ予定であり、性能的にも補完するものであることから、相互検証等、お互いに協力してプロジェクトを進めていくことが有効である。
  • 二酸化炭素濃度上昇と地球温暖化や異常気象の関係が定量的にわかるようになると国民により理解されやすい。
  • 将来的には、二酸化炭素の吸収排出量マップが月単位で得られる等一般国民にも理解しやすい形で結果を公表して欲しい。
  • 地球温暖化問題は、科学が政治を動かした画期的な出来事であると認識している。GOSATは、衛星からの温室効果ガス観測としては世界初を目指し、技術的にもチャレンジングであるが、その成果が国際的な地球温暖化対策の推進につながるプロジェクトであり重要である。
(4)アンケート結果

参加者の半数強の回答があり、約9割が興味を持ったという回答であった。会場、内容ともに満足したという回答が多数で、継続したシンポジウムの開催を望む声が多かった。今後のシンポジウムに対する要望としては、政策的な視点をより充実して欲しいとの意見があった。

5.まとめ

 本シンポジウムでは、目標を上回る多数の来場があり、招待講演およびパネルディスカッションを通じ、多くの人にGOSATの必要性及び有効性を伝えることができた。アンケート結果から、GOSATプロジェクトの全体ミッションに関して、参加者の理解を深めることができ、所期の目的を達成できたと考える。講演およびディスカッションで得られた貴重な意見を今後のGOSATの開発・利用に有効に反映していく。

(以上)



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