プレスリリース

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高品質タンパク質結晶生成実験プロジェクト
第4回宇宙実験の実施について

平成16年8月4日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。


高品質タンパク質結晶生成プロジェクト第4回宇宙実験の実施

●打上予定日:
平成16年8月11日14時02分(日本時間)
●打上時輸送手段:
プログレス補給船(15P)
●帰還予定日:
平成16年10月19日(予定)
●帰還時輸送手段:
ソユーズ宇宙船(8S)
●実験実施場所:
国際宇宙ステーション(ロシアサービスモジュール)
●実験実施期間:
約2ヶ月間
●実験装置:
タンパク質結晶生成装置 3式 (37個の結晶生成用セルを搭載*¹)、恒温槽(温度保持装置*²)
●利用機関等:
理化学研究所
農業生物資源研究所
タンパク3000プロジェクト 大学拠点(3拠点)
蛋白質構造解析コンソーシアムに参加する企業(3社)
その他(JAXA技術開発用タンパク質)
●搭載タンパク質:
38種類
*1:GT法28個、JCB(JaxaCrystallization Box) 9個を搭載。(別紙3参照)
*2:TBU(Thermo-electric Biological Universal)及びAquarius−01参考1参照

第4回宇宙実験の特徴と搭載タンパク質数

●高品質タンパク質結晶生成技術の確立のため、見直し・改善を施して実施(別紙1参照)

●JAXAが開発したタンパク質結晶生成装置及び結晶生成用セルを搭載(別紙2、3参照)

●新たな利用機関の参加;タンパク3000プロジェクト大学拠点(2拠点)

●ロシアサービスモジュール内の恒温槽の利用(参考1参照)

●搭載予定タンパク質数

    利用機関搭載タンパク質数
    理化学研究所
      横浜研究所ゲノム科学総合研究センター
      播磨研究所ハイスループットファクトリー
      播磨研究所ストラクチュローム研究グループ
    16種類
      4種類
      8種類
      4種類
    農業生物資源研究所 3種類
    タンパク3000プロジェクト大学拠点(3拠点) 9種類
    蛋白質構造解析コンソーシアム(3社) 4種類
    JAXA技術開発用タンパク質 6種類
    合計 38種類  順不同

第4回宇宙実験における見直し・改善点

(別紙1)
○タンパク質の純度評価
地上での条件検討の結果、結晶が生成しないタンパク質について、試料の純度を評価し、搭載可否を決定する。
○結晶取得後のハンドリング支援
結晶取得後のガラス細管からの結晶の取り出し、及び取り出した結晶の凍結作業について、利用者への支援を実施。
○結晶化溶液条件の改善
微小重力環境の特徴を活かす粘性の高い溶液条件の適用。また、結晶化溶液条件の検討は複数回実施。(第3回までは1回のみ実施。)
○帰還時の温度変動とキャピラリーのタンパク質溶液減少への対策
真空容器の開発、真空断熱材による被覆、温度緩衝剤の採用による温度対策の実施。また、溶液減少の少ない手法(ゲルチューブ法)の採用。(別紙2,3参照)


帰還時の温度対策の変遷

(別紙2)


結晶化手法の改良結晶化手法

(別紙3)


恒温槽(温度保持装置)

<参考1>
恒温槽(温度保持装置)

第2回及び第3回フライトでは、米国実験棟内の温度恒温槽をNASAより借用したが、第4回フライト以降の実験に対しては、スペースハブ社によるロシアの恒温槽を使った温度保持サービスを利用する。第4回フライトでは、ロシア・サービスモジュールに設置される2種類の恒温槽(TBU*及びAquarius-01)にタンパク質結晶生成装置を搭載予定である。

*TBU: Thermo-electric Biological Universal



JAXA JAXAが開発したタンパク質結晶生成装置

<参考2>
真空容器型結晶生成装置の主要諸元
材質 ステンレス(SUS304)
寸法・重量 165 x 90 x 90 mm, 約850±50 g(内容物含まず)
封入方法 蓋部分のボルト(M5)締め(8個)2重O-リング
結晶生成セル最大搭載数 12個
コンテナ内部 結晶生成用セル温度データロガークッション材(結晶生成用セル及び温度データロガー固定用)等を搭載


高品質タンパク質結晶生成プロジェクトの特徴と概要

<参考3>

■プロジェクトの特徴

  • ロシアとの商業利用契約とESAとの技術協力
  • 継続的、安定的な宇宙実験機会の確保
  • ポストゲノム時代への対応

■プロジェクトの概要

  • 実験実施場所: 国際宇宙ステーション ロシアサービスモジュール等
  • 打上げロケット: プログレス補給船
  • 回収宇宙船: ソユーズ宇宙船
  • 実験実施回数: 2003年2月以降、当面3年間、年2回(計6回)を予定
  • 実験実施期間: 2〜4ヶ月
  • 実験装置: ESAのタンパク質結晶生成装置及び結晶生成用セル、JAXA開発の結晶生成装置及び結晶生成用セル(第4回では技術検証として搭載)、恒温槽




  • 本プロジェクト実施の枠組み

    <参考4>



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