宇宙航空研究開発機構
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
「第26回宇宙ステーション利用計画ワークショップ 〜宇宙開発の新たな展望とISS計画への期待〜」の開催結果の概要について報告する。
国際宇宙ステーション(ISS: International Space Station)計画に関して、ISS利用者と国民一般の理解を深め、ISS及び日本実験モジュール(JEM: Japanese Experiment Module/愛称:きぼう)の利用拡大・多様化を図るとともに、提案された意見を今後のISS/「きぼう」利用計画等に反映する。
(1)日 程: | 平成16年9月7日(火)、8日(水) |
(2)場 所: | 砂防会館 シェーンバッハ・サボー |
(3)参加者: | 宇宙環境利用に関係又は関心のある研究者、企業、一般の方を中心に、2日間で延べ580名が参加(1日目348名、2日目232名)。 |
(4)主催: | 宇宙航空研究開発機構、 共催:文部科学省 |
(5)後援: | 総務省、国土交通省 |
(6)その他: | 講演資料と議事録は、整理した上で、国際宇宙環境利用研究データベース(http://idb.exst.jaxa.jp/)に掲載する予定。過去のワークショップ資料については、本データベースに掲載済み。 |
黒川国際宇宙ステーション・きぼう利用推進委員会委員長、及び木谷文部科学省大臣官房審議官より開会の挨拶が行われた。
JAXA山元理事から、総合科学技術会議等で議論されている我が国におけるISS計画推進の方向性、有人宇宙開発の展望を報告するとともに、我が国におけるISS計画の課題について報告した。
NASA ISSプログラムサイエンティスト ドナルド トーマス氏(宇宙飛行士)から、米国の新宇宙探査ビジョンの概要、スペースシャトル飛行再開への取り組み、新ビジョンによるISS計画への影響について報告があった。米国においては、新ビジョンにより探査につながる領域への重点化が行われているとの発言があった。
ISS計画に参加している各国際パートナーから、ISS利用の現状と展望等について紹介され、またISS利用に向けての準備は順調に進んでいる旨報告された。特に、国際パートナーの中でアクティブに活動している欧州宇宙機関(ESA)より以下の報告があった。
JAXAから、「きぼう」の開発、運用準備、セントリフュージやHTVプロジェクトの現状を報告するとともに、ISS利用の現状と宇宙開発委員会報告を受けた利用の重点化、多様化、利用制度の見直し等について報告した。
(e) プログラム1(5): 我が国の有人宇宙計画のあり方日本学術会議会長であり、国際宇宙ステーション・きぼう利用推進委員会の委員長でもある黒川清氏と、日本の宇宙開発に関する著作の多いノンフィクション作家の松浦晋也氏のご両名による、我が国の有人宇宙計画のあり方についての対談が行われた。以下の話題を中心として、大学生をはじめとしたワークショップ参加者とのやり取りを交えて、討論が行われた。
プログラム1(1)〜(5)の報告を受けて、各国際パートナーの代表者をパネリストに迎え、国際協力の意義と有効性が各種実例をあげて発表され、今後のISS利用における国際協力については、以下のような提案がなされた。
以下の利用分野ごとに、ISS初期利用の重点化方針の紹介とともに、ISSの中長期的利用の展望について期待が述べられた。
ISS第6次滞在クルーであるNASAドナルド ペティ宇宙飛行士から、ISSの教育プログラムとして実施された興味深い各種実験と、ISSから撮影された示唆に富む数多くの写真が紹介された。さらに、会場のワークショップ参加者との活発な質疑応答がなされた。
(c) プログラム2(3):ISS/「きぼう」をどのように利用するか 〜宇宙環境利用の将来展望〜(パネルディスカッション)国内外の情勢報告と分野ごとの将来展望の報告を踏まえ、各利用分野の有識者をパネリストに迎え、「日本の宇宙環境利用はどこに向かうのか。そのためにISS/「きぼう」をどのように利用するのか」などについて、分野横断的な視点から議論を行った。以下の話題を中心として、会場のワークショップ参加者とのやり取りも交えて討論が行われた。
本ワークショップでは、例年にない対談やISS宇宙飛行士の講演、米国の新宇宙探査ビジョンの報告により活発な議論が両日行われ、貴重なご意見を頂いた。
本ワークショップで得られた参加者(ISS利用コミュニティー)からの意見は、「ISS・きぼう利用推進委員会」の場等を通じて、十分検討した上で、今後のISS利用推進方策の検討に反映させていきたい。また、「きぼう」の打上げを3年後に控え、より一層の利用拡大・多様化が進み、一般の方のISS・きぼうに対する理解が増進するワークショップとなるよう改善していきたいと考えている。
会 場 | 所要時間 | 1 F 大 会 場 |
---|---|---|
10:00−10:10 | 10分 | 開会挨拶: 国際宇宙ステーション・きぼう利用推進委員会委員長 黒川 清 |
10:10−10:20 | 10分 | 挨拶 : 文部科学省 大臣官房審議官 木谷雅人 |
10:20−10:40 | 20分 | 【プログラム1:(1)我が国におけるISS計画をとりまく課題 】 山元孝二 理事(JAXA) |
10:40−11:20 | 40分 | 【プログラム1:(2)米国の宇宙開発計画の現状と今後の展望 】 新宇宙政策、スペースシャトルの飛行再開計画など Dr. Donald A. Thomas (NASA) |
11:20−12:10 | 各 25分 |
【プログラム1:(3)各極におけるISS利用計画の現状と今後の展望】 (1)NASA Dr. Donald A. Thomas(NASA) (2)ESA Dr. Martin U. Zell (ESA) |
昼 食(12:10−13:30) | ||
13:30−14:20 | 各 25分 |
(3)CSA Dr. Nicole Buckley (CSA) (4)FSA Ms. Tatiana V. Vasilieva (FSA) |
14:20−15:00 | 40分 | 【プログラム1:(4)我が国におけるISS計画と利用の現状 】 白木邦明 国際宇宙ステーションプログラムマネージャ(JAXA) 吉冨進 宇宙環境利用センター長(JAXA) |
休 憩・パネル展示解説 (15:00−15:20) | ||
15:20−16:20 | 60分 | 【プログラム1:(5)我が国の有人宇宙計画のあり方】 ・対談 黒川 清 (国際宇宙ステーション・きぼう利用推進委員会委員長)X 松浦晋也 (ノンフィクション作家) |
16:20−17:30 | 70分 | 【プログラム1:(6)今後のISS利用計画における国際協力について 】 ・パネルディスカッション 座長:吉冨 進 宇宙環境利用センター長(JAXA) パネリスト:各極代表 |
会 場 | 所要時間 | 1 F 大 会 場 |
---|---|---|
9:30−11:35 | 各 25分 |
【プログラム2:(1)各利用分野における展望と期待 】 (1)宇宙生命科学分野 発表:浅島 誠 教授 東京大学 (2)微小重力科学分野 発表: 竹内伸 教授 東京理科大学 伊藤献一 専務理事 北海道宇宙科学技術創成センター (3)基礎科学分野 発表:北原和夫 教授 国際基督教大学 (4)宇宙医学分野 発表:埜中征哉 国立精神・神経センター武蔵病院 名誉院長 (5)応用利用分野 発表:澤岡 昭 学長 大同工業大学 |
昼 食(11:35−13:00) | ||
13:30−14:15 | 各 25分 |
(6)技術開発分野 発表:狼 嘉彰 教授 慶應義塾大学 (7)科学観測分野 発表:海部宣男 国立天文台長 自然科学研究機構 (8)教育をはじめとする一般利用分野 発表:高柳雄一 電気通信大学 教授 |
14:15−15:30 | 75分 | 【プログラム2:(2)特別講演 おどろき空間・無重力 】 〜ISS滞在中に実践したたのしい理科実験〜 ISS第6次滞在クルー Dr. Donald Pettit (NASA) |
休 憩・パネル展示解説 (15:30−15:50) | ||
15:50−17:30 | 90分 10分 |
【プログラム2:(3)ISS/「きぼう」をどのように利用するか〜宇宙環境利用の将来展望〜 】 ・ パネルディスカッション 座長:清水順一郎 宇宙環境利用センター参事(JAXA) パネリスト:各分野代表 閉会挨拶: 国際宇宙ステーション・きぼう利用推進委員会副委員長 海部 宣男 |
宇宙航空研究開発機構 広報部
TEL:03-6266-6413〜6417
FAX:03-6266-6910