本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。 
 
1.報告事項
 「平成16年度 宇宙開発品質保証シンポジウム 宇宙への夢と品質 --- 信頼性向上への道 IN 東大阪 ---」の開催結果の概要について報告する。
2.開催目的
 本シンポジウムは、以下の趣旨で毎年1回開催している。平成11年11月に第1回目開催以来、今回で6回目となる。
	- 最新の設計/管理技術の紹介、共通課題の討議/情報交換を通じ、知見の共有と疑似体験による企業を含めた技術者、責任者の知識/技術の拡大発展を図る。
 
- プラス志向の企画により信頼性・品質管理活動への意識の高揚/活性化を図る。
 
 今年度も、上記目的に即して信頼性・品質管理に係わる新規手法の紹介、共通課題への取り組み、民間活動状況の紹介など行った。(5.講演概要参照)
 なお、今回は東大阪宇宙開発協同組合(SOHLA)への活動支援やJAXA関西サテライトオフィスの紹介・周知を図る意味合いも含めて、東大阪市にて開催した。 
3.開催概要
	
		
			| (1)日 程: | 平成16年(2004年)9月16日(木)10:30〜16:25 | 
		
			| (2)場 所: | クリエイターズ プラザ(クリエイション・コア東大阪):東大阪市 | 
		
			| (3)主 催: | 宇宙航空研究開発機構(安全・信頼性管理部/産学官連携部) | 
		
			| (4)後 援: | 大阪商工会議所、大阪科学技術センター | 
		
			| (5)内 容: | プログラム参照 | 
		
			| (6)参加者: | 目標150名のところ実績215名(宇宙関連主要企業 約80名、一般企業 約75名、教員/学生 約30名、その他 約30名) | 
	
4.開催結果概要)
 本年度は、最近の宇宙開発における様々なトラブルからJAXAが学んだこと、それらを糧として、これからの宇宙開発の目指す道を念頭にした「宇宙への夢と品質」をテーマとした。「品質」をキーワードにJAXA役職員からの報告を行い、また松下電器産業(株)とSOHLAの方々からご講演を頂いた。
 併せて、産・学・官とJAXAのコラボレーションによって新たな宇宙への展開を目指す「オープン・ラボ」について紹介した。昼食を兼ねた交流会も活発な情報交換がなされ、好評であった。
 今回は目標(150名)を大幅に上回る参加者(215名)があった。参加者にはアンケートに答えて頂いたが、約53%の回収率で、詳細は今後分析し、来年のシンポジウムへ反映させたい。
 またテレビ大阪と朝日放送による取材や、NHK(短波ラジオ)による電話インタビューなどがあった。
 以上、アンケートの詳細な分析結果を待つ必要があるが、会場での活発な質疑、交流会での情報交換、報道機関の取材等地域社会の関心などから、本シンポジウムの目的を十分に達成できたと考える。
5.講演概要
	- 環境観測技術衛星「みどり?」の開発に学ぶ
 2002年12月14日の打上げから約10ヶ月後に、突然の電力低下で観測運用を断念せざるを得なかった「みどり?」の故障解析から学んだ新しい知見を、人工衛星開発にいかに反映するかについて、衛星開発を実施したプロジェクトマネージャーの立場から報告した。
- 宇宙を産業に!"見上げる宇宙から使う宇宙へ" − オープンラボ制度 − 
 我が国の宇宙開発利用に係る産業競争力の強化、宇宙利用の拡大、及び研究開発成果の活用促進を柱に我が国の民間企業活動が宇宙開発利用を通じて新しい事業の展開を図ることを目的として新設した産学官連携部の活動状況を紹介した。また直面する課題を踏まえた、今後の取組みや展開について報告した。
- 外部講演:未来を開くQSD:品質安定化設計手法(Quality Stabilization Design)
 松下電器産業(株)が開発した、商品化QCD(Quality, Cost, Delivery)を同時解決する最適化実験技法としてのQSD(品質安定化設計手法)の紹介、及び「QSD実践スクール」を松下国内外で展開し多くの技術・経営成果を上げている例の紹介があった。 QSDは、直面する技術問題をスピード解決し、開発・モノづくりの最前線に立つ技術者に「武器と勇気」を与え続けているという事例で、今回紹介されたQSDが宇宙に夢みる技術者の方々に少しでも参考になれば幸いという趣旨であった。
- マイド!まいど1号(SOHLA-1)の近況です!!
 東大阪市に拠点を持つ職人集団・東大阪宇宙開発協同組合(Astro-Technology SOHLA)に関わる技術者、専門家、学生、みんなの力で開発する小型人工衛星「まいど1号」の開発状況について紹介があった。
 東大阪市は、中小企業が集まる"モノづくりのまち"として知られており、経済不況と後継者不足という厳しい環境の中にあって、SOHLAは中小企業には手が届かないと思われていた宇宙産業に乗り出そうとしているという主旨の発表がなされた。まいど1号は、JAXA(産学官連携部、総合技術研究本部)も積極的に支援を行っているプロジェクトであり、2005年度の打上げを目指して、夢に挑戦されている。
- 第6感を研ぎ澄まそう!-問題の予測と解決のために  本年7月1日付けでJAXA内に設置された信頼性推進評価室のメンバーにより、品質保証に長く関わった経験から、次のような報告がなされた。
 (ア) 共通的な失敗の要因からの反省点を明確にし仕事力の強化をはかるための方策
 (イ) 仕事力を7つに分析し、それぞれにつきどのように取り組むか
 (ウ) 仕事力を強化するベースとなる人間力として第6感(=勘)を取り上げ、これを養成するためには「観」「看」「関」「感」を順次強化し最終的に「勘」がつちかわれ人間力の基本である「眼力」が強化される
 
- これからの宇宙の信頼性
 日本の宇宙開発は「みどり?」の観測運用停止、H-?Aロケット6号機の打上げ失敗、「のぞみ」の火星周回軌道への投入失敗と、重大なトラブルが続いたことを受けて、今後JAXAが、この状況を打破するために、理事長を本部長とする信頼性改革本部を設置し、ロケット、衛星の信頼性向上に取り組み始めたことを紹介し、今後の展望について発表が行われた。
	
	
	
	
	
	プログラム
	
	
	
	平成16年度 宇宙開発品質保証シンポジウム
	宇宙への夢と品質
	--- 信頼性向上への道 IN 東大阪--- 
	 
	プログラム内容:
	
		
			
				| (午前の部 司会進行 産官学連携部 コーディネータ 内藤 勝美) | 
			
				| 10:30-10:40 | 1.開会挨拶安全・信頼性管理部 部長 長谷川 秀夫
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				| 10:40-11:10 | 2.環境観測技術衛星「みどりII」の開発に学ぶ ADEOS-IIプロジェクトマネージャ 黒崎 忠明
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				| 11:10-11:50 | 3.宇宙を産業に!"見上げる宇宙から使う宇宙へ" ---オープンラボ制度---
 産学官連携部 連携推進グループ長 小林 智之(会場にオープンラボ ブースを開設)
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				| 11:50-13:30 | 交流会(昼食)ビデオ上映 | 
			
				| (午後の部 司会進行 安全・信頼性管理部 開発部員 嶌田 久美) | 
			
				| 13:30-14:30 | 4.未来を拓くQSD:品質安定化設計手法 松下電器産業(株) 生産革新本部 生産プロセス革新センター
 主幹技師 甲斐野 真次
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				| 14:30-15:00 | 5.マイド! まいど1号(SOHLA-1)の近況です!! 東大阪宇宙開発協同組合(SOHLA)
 理事 今村 博昭
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				| 15:00-15:15 | (休憩) | 
			
				| 15:15-15:55 | 6.第6感を研ぎ澄まそう!−問題の予測と解決のために− 安全・信頼性管理部
 招聘・主任開発部員 福岡 勝
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				| 15:55-16:25 | 7.これからの宇宙の信頼性 執行役 佐木誠夫 (信頼性統括)
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