宇宙航空研究開発機構
本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
H−IIAロケット6号機打上げ失敗の原因と推定したSRB−Aノズル等の対策の妥当性評価を目的として、SRB−A改良型実機大モータ及びノズルを用いた地上燃焼試験を実施した。
(1) 実施日時:平成16年9月16日(木)11時00分点火
(2) 場所:種子島宇宙センター竹崎固体ロケット地上燃焼試験場
(3) 主要結果
モータの推進特性、推力方向制御系の動作は正常で、推力、燃焼圧力、ノズルの温度、歪等の計測データを良好に取得した。また、燃焼後のモータ、ノズル及び設備に異常はなかった。図1に試験状況を示す。主要推進特性は、予測と概ね一致しており良好であった。
項目 | 予測値 | 実測値 |
---|---|---|
最大燃焼圧力[MPa] | 10.3 | 10.1 |
最大推力[kN] | 1970 | 1950 |
全燃焼時間[秒] | 120 | 117 |
(注)予測値、実測値ともに推進薬温度は23℃の値試験時の天候は晴れ、南東の風3.1m/秒、気温30.7℃、湿度76%、気圧1014hPaであった。
燃焼試験後の外観目視による観察の結果では、ライナアフト部の表面後退の量・凹凸ともに、過去2回のベル型ノズルによる実機大モータ燃焼試験結果(平成15年4月と平成16年2月に実施)と比較して、同程度もしくはそれ以下と推定される。
また、ノズル前方(インレット部)の表面後退の状況も、外観上、特異な点は認められず、これまでと同様であった。
全燃焼時間が予測に比べて3秒短く、予測より燃え切りが早い。これは、推進薬の燃焼速度のバラツキ等の影響が考えられるが、今後詳細評価を行う。
モータ及びノズルを(株)アイ・エイチ・アイ・エアロスペース(群馬県富岡市)に返送し、表面後退量計測、ノズル分解・切断等による詳細調査及び各種データの分析を行い、10月中旬を目途に、設計変更の妥当性評価を取りまとめる予定である。
宇宙航空研究開発機構 広報部
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