プレスリリース

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ベル型ノズル実機大モータデータ取得試験結果および
認定型モータ地上燃焼試験(その1)の実施について

平成16年10月27日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。


1.はじめに

 H-IIAロケット6号機打上げ失敗の原因と推定した固体ロケットブースタ(SRB-A)への対策の妥当性評価を目的として実施したベル型ノズル実機大モータデータ取得試験結果およびそれを受けて実施する認定型モータ地上燃焼試験(その1)(以下、QM1)の計画概要について報告する。


2.ベル型ノズル実機大モータデータ取得試験結果

 燃焼試験は平成16年9月16日に実施され、予定していた計測データを良好に取得した。
 試験に供したモータを工場に返送し、詳細調査、各種データの分析および設計の妥当性評価を実施した。その結果の概要は以下に示すとおりである。

  • ライナアフトCFRP部の表面後退量は、最大値、平均値ともコニカル型ノズルのSRB-Aから大幅に低減しており、また顕著な局所エロージョンも発生しておらず、板厚に十分な余裕があることを確認した。さらに、ライナアフトCFRP部の層間剥離、スロートインサートの割れ・欠けの兆候も認められなかった。
  • その他、インレット部(前方)、スロートインサートの表面後退状況、ライナインサートのアブレーション量は、これまでと同等であり、特異な状況は観察されなかった。
  • 主要推進特性は予測とおおむね一致しており良好であった。全燃焼時間が予測値よりも3秒ほど短かかったが、これは予測に使用した燃焼速度と実際の推進薬の燃焼速度の差によるものであり、予測方法を見直したところ、過去の試験におけるばらつきの範囲内であり、燃焼は正常である事を確認した。

 ベル型ノズル実機大モータデータ取得試験結果の評価も含め、10月12日から15日にかけてSRB-A改良型の詳細設計審査(CDR)を実施し、設計変更が妥当であることを確認した。
 なお、試験結果の詳細評価については、H-IIAロケット再点検専門委員会に報告する予定である。


3.認定型モータ地上燃焼試験(その1)試験計画(QM1)

 設計変更が妥当であることが確認できたことを受け、今後、認定型燃焼試験を実施し、フライトモータの設計および製造・検査工程を確定する計画である。
 以下に1回目の認定型燃焼試験である認定型モータ地上燃焼試験(その1)の計画概要を示す。

(1)試験目的
 フライトモータと同一仕様の認定型モータにより、ベル型ノズル実機大モータデータ取得試験にて取得した性能、構造・熱設計、環境条件に関わる各種技術データの再現性を含めた妥当性を評価し、フライトモータの設計および製造・検査工程を確定することを目的とする。

(2)試験計画概要
 試験には、フライトモータと同一の設計、製造・検査工程によるモータを供する。9月16日に実施した燃焼試験のモータと比較し、今回は組立工程に気密試験を追加する等の変更が行われている。なお、これらの変更は当初よりQM1から適用を計画していたものである。モータおよびノズルの概要を図1に示す。
 試験時の計測項目は、燃焼圧力、推力、モータケースおよびノズルの温度・歪み、燃焼中の画像などで、総計約250点のデータを取得する。

(3)試験実施時期および場所
 試験は、11月9日(火)午前11時を点火予定として種子島宇宙センター固体ロケット燃焼試験場で実施する。







図1 供試体の概要


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