プレスリリース

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H-IIAロケット固体ロケットブースタ(SRB-A)改良型
認定型モータ地上燃焼試験(その2)について(速報)

平成17年1月19日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。


1.はじめに

 フライトモータと同一仕様の認定型モータにより、SRB-A改良型の設計及び製造・検査工程を最終的に確認することを目的として、地上燃焼試験を実施した。

2.結果概要

(1) 実施日時:平成17年1月12日(水)11時00分点火
(2) 場所:種子島宇宙センター竹崎固体ロケット地上燃焼試験場
(3) 主要結果
 モータの推進特性、推力方向制御系の動作は正常で、推力、燃焼圧力、ノズルの温度、歪等の計測データを良好に取得した。また、燃焼後のモータ、ノズル及び設備に異常はなかった。図1に試験状況を示す。主要推進特性は、予測と一致しており良好であった。


項目予測値/規格値*実測値
最大燃焼圧力[MPa] 10.5 10.5
最大推力[kN] 2020 2035
全燃焼時間[秒] 115 114
真空比推力[秒] 282.5±3 284.0
*: 規格値は、真空比推力に対するもの
(注) 予測値、実測値ともに推進薬温度は20℃の値
試験時の天候は曇り、南東の風11.5m/秒、気温9.9℃、
湿度63%、気圧1015.1hPaであった。

3.ノズル表面後退の状況

 燃焼試験後の外観目視による観察の結果では、ライナアフト部の表面後退の量・凹凸ともに、過去4回のベル型ノズルの燃焼試験結果(平成15年4月、平成16年2月、9月、11月)と比較して、同程度と推定される。
 また、スロートインサートの表面後退の状況に外観上、特異な点はなく、異常は認められない。

4.その他

 前回の認定型モータ地上燃焼試験(その1)と同様に、試験後、スロートインサートがラジエーションシールダとともに前方へ移動していることが確認された。計測データより燃焼終了後に移動したと特定できることから、モータやノズルの機能・性能に影響を及ぼすことはない。

5.今後の調査・評価予定

 現在、モータ及びノズルを(株)アイ・エイチ・アイ・エアロスペース(群馬県富岡市)に返送し、表面後退量計測、ノズル分解・切断等による詳細調査及び各種データの分析を行なっているところである。1月下旬を目途に、これまでの計5回のベル型ノズル燃焼試験結果を踏まえた、設計変更による対策の評価を取りまとめる予定であり、その結果が問題ないことの確認をもってSRB-A改良型の開発を完了できると考えている。
 なお、H-IIAロケット7号機の打上げ日時については、 SRB-A の設計変更による対策の評価を取りまとめた上で最終的な決定を行うこととしているが、 現時点での射場整備作業の進捗状況を踏まえ、 2月24日夕刻としている。




図1 認定型モータ地上燃焼試験(その2) 試験状況


(参考図)



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