本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。
大規模災害時に地球観測衛星データの無償提供を通じて災害の把握・復興等に貢献することを目的とした、各国の宇宙機関を中心とする国際協力枠組み「国際災害チャータ」について、第3回地球観測サミット(2月16日、ベルギー・ブリュッセル)の機会を捉え、署名し、加入を行う。
1.国際災害チャータの概要
(1)正式名称
自然または人為的災害時における宇宙設備の調和された利用を達成するための協力に関する憲章
(2)発効および参加宇宙機関及び利用衛星
発効日:2000年6月20日 仏国立宇宙センター総裁、欧州宇宙機関長官の署名をもって発効。
参加機関 | 加入時期 | 利用衛星 | センサ |
欧州宇宙機関(欧州) |
2000年6月 |
ERS
ENVISAT |
合成開口レーダ
光学,合成開口レーダ |
国立宇宙センター(仏国) |
2000年6月 |
SPOT |
光学 |
カナダ宇宙庁(加国) |
2000年10月 |
RADARSAT |
合成開口レーダ |
インド宇宙研究機関(印国) |
2001年9月 |
IRS |
光学 |
海洋大気庁(米国) |
2001年9月 |
POES
GOES |
光学
光学 |
国家宇宙活動委員会(アルゼンチン) |
2003年7月 |
SAC-C |
光学 |
JAXA(日本) |
2005年2月 |
ALOS |
光学,合成開口レーダ |
(3)目的
国際災害チャータは、宇宙機関を中心とする国際協力の枠組みであり、大規模災害発生時に、参加機関間における最善の努力ベースでの地球観測衛星データの無償提供を通じて、自然災害等の把握・復興等に対する貢献することを目的とする。
(4)国際災害チャータへの加入条件
提供可能な地球観測衛星データを有すること。
(5)協力体制
- 災害チャータ参加機関と、災害チャータに参加する宇宙機関が属する国の防災当局となる「指定ユーザ」から構成。指定ユーザの要求に基づき、地球観測衛星データが提供される(防災関係機関等は指定ユーザを通してチャータ支援を要請できる)。
- 我が国における指定ユーザは内閣府(防災担当)が担当。
- 参加機関間での資金の授受はなし。
- 参加機関間の調整は、各参加機関代表から構成される委員会及び事務局により行われる。
(6)発動実績
現在までの発動実績は約70件。うち、2004年の発動回数はスマトラ沖地震、津波被害を含む20件。うち10件が国連による発動。国連からは国連宇宙平和利用委員会(UN/OOSA)が、協力団体としてチャータとの協力を行い(2004年6月にチャータとの間で覚書を正式に締結)、国連加盟国の対応窓口となっている。
2.今後の作業予定
衛星データの提供に関して、JAXAは、ALOSの定常運用開始(打上げの9ヶ月後)まではJAXA衛星のアーカイブデータを、以降はALOSデータの提供をそれぞれ行う予定。