プレスリリース

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H-IIAロケット7号機打上げ整備作業状況について

平成17年2月16日

宇宙航空研究開発機構
株式会社ロケットシステム
三菱重工業株式会社

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。


  1. 打上げ整備作業状況
    1月7日より射場整備作業を開始し、機体の組立、点検を実施
    2月6日に極低温点検を実施
    2月13日に衛星とフェアリングを結合
    現在、2月24日の打上げに向けて作業は予定通り進行中

  2. 主要作業実績
    (1)極低温点検
      極低温点検を2月6日10時40分に実施。計画通り所定のシーケンスを確認。
    なお、準備作業において発生した推進薬の貯蔵設備データ取得装置の不適合(特記事項(1))により、打上げ(模擬)時刻を9時30分から10時40分に変更した。また、詳細データ評価の結果、詳細検討が必要な事項が2件確認された(特記事項(2)、(3))。
    これらについては、すべて処置は完了しており、打上げに向けて問題はない。
    (2)衛星/フェアリング結合
      2月8日に衛星(MTSAT-1R)を衛星分離部に結合した。
    衛星とフェアリングの結合時の不適合(特記事項(4))により作業が2日ほど遅延したが、処置は完了し、2月13日に衛星とフェアリングを結合した。

  3. 今後の主要作業予定
    2月16日にフェアリングと機体を結合
    2月24日夕刻に打上げ



打上げ整備作業全体スケジュール





打上げ整備作業状況

1月7日 島内機体移動 1月9日 1/2段結合 2月6日 極低温点検

 
2月8日 衛星/衛星分離部結合   2月13日 衛星/フェアリング結合



特記事項


(1)推進薬貯蔵設備データ表示異常
事象: 極低温点検中、 推進薬貯蔵設備のデータが正常値を示さなかった。
原因: 地上設備間の通信パラメータの設定ミス。
処置: 該当データは他の装置にて正常に取得・監視できていることから、極低温点検はそのまま実行した。
極低温点検後、正規の設定に戻し正常な値が表示されることを確認した。
また水平展開として他のデータについて、同様の設定ミスがないことを確認した。


(2)2段電動アクチュエータ動力電源電流の微小変動
事象: 極低温点検後の詳細データ評価にて、中立位置保持状態において2段電動アクチュエータ動力電源電流に微小な変動があることが確認された。
原因・処置: 再現試験等より、本事象は2段アクチュエータ系の特性として発生しうる微小な振動であり、故障及び誤動作ではないこと、7号機のフライトには問題がないことを確認した。
但し、過去号機においても同様の事象は発生しているが、今号機は過去号機と比較し変動幅が大きく、かつ継続時間が長いことから、万全を期して、機体搭載機器(アクチュエータ、コントローラ)を予備品と交換した。


 
(3)SHF技術テレメータビット反転
事象: 極低温点検後の詳細データ評価にて、技術テレメータのいくつかのデータでビット反転(※)が確認された。
  (※)2進数のデータが逆になっている状態。   (例)1011⇒0100
原因: 地上設備での信号処理において、ある特定の条件下において不適切な処理(反転処理)を行うようになっていた。
処置: 当該受信装置(ソフトウェア)の改修を行った。
    また、水平展開として他の設備について同様の事象が発生しないことを確認した。


(4)フェアリングプレートナット損傷
事象: フェアリング/曲分離機構の結合作業において、結合部のプレートナットを損傷。
原因: 結合穴位置の最終調整時にプレートナット部を傷つけた。
処置: プレートナットを良品に交換した。


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