宇宙航空研究開発機構
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、研究開発の結果生まれた特許等の知的財産の民間移転を促進すべく活動していますが、今般、松下電器産業株式会社がJAXAとの共同研究による成果に基づき事業化することになりました。
JAXAでは、高効率な宇宙用発電システムの実現を目指した「フリーピストンスターリングエンジンの研究」を長年にわたり継続してまいりました。
平成15年6月より、この研究成果を基に、松下電器産業株式会社及び独立行政法人 海上技術安全研究所との3者間で、スターリングエンジンの高効率化と実用化に向けての共同研究を実施してきたところです。
今般、その具体的成果として、スターリングエンジンの実用化をめざした技術開発会社である「株式会社 eスター(大阪市中央区城見、資本金:7千万円、代表者:赤澤輝行)」が、松下電器産業株式会社の社内ベンチャー支援制度により、本年4月25日に設立されることになりました。
同社では、昨今の地球環境問題に対する意識の高まりを踏まえて、工場廃熱や焼却炉廃熱等を有効利用した新しい発電システム(スターリングエンジン)を、早期に商品化することを目指しています。
JAXAでは、今後とも、更に研究成果を社会に還元するための活用促進を図り、我が国の産業競争力強化に貢献していきます。
《 参考:スターリングエンジンの説明 》
スターリングエンジは外燃機関の一種で、シリンダ内に密封された作動流体を外部から加熱・冷却することにより得られる圧力変動を利用して動力を取り出すことができます。
従来から同エンジンは理論的な熱効率が高いため、エネルギーの有効利用に有望だと評価されてきましたが、民生用としてはコストなどの面で問題があり実用化されていませんでした。
しかし、最近になって京都議定書の締結など地球環境問題に対する意識の高まりから、排熱もエネルギー源として利用できる同エンジンの低公害性・高効率性が注目され、民生用として実用化が検討されています。
JAXAでは、スターリングエンジンの中でも、信頼性が高く機械的損失も少ないフリーピストンスターリングエンジンの先端的な研究開発を実施しています。
宇宙航空研究開発機構 広報部
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