宇宙航空研究開発機構
宇宙航空研究開発機構が開発し、8月24日6:10(日本時間)に、カザフスタン共和国バイコヌール宇宙基地からドニエプルロケットにより光衛星間通信実験衛星「きらり」(OICETS)とともに打ち上げられた小型副衛星「れいめい」(INDEX)は、引き続き3軸姿勢運用や観測機器の立ち上げ等を含む初期運用を継続しています。
70kgの小型衛星ながら、「れいめい」が備えている3軸姿勢安定機能も順調に稼動しています。わが国初の薄膜反射板による太陽集光型太陽電池パドルも設計どおり約160Wの電力を発生し、高いエネルギー蓄積密度を持つマンガン系リチウムイオン2次電池も安定に軌道上で動作し、車載用GPS受信機をベースに宇宙用に開発した超小型GPS受信機も、軌道上で衛星位置を自動的に連続計測しています。
9月17日には、南極上空でのオーロラ初観測を行いました。そこで、サブストーム※ 開始直後の活発なオーロラの変動を捉えることに成功しました。添付写真は、このとき得られたオーロラの連続画像で、前半に酸素原子の輝線※ (557.7nm)、後半に窒素分子イオンの輝線(427.8nm)の発光分布を1秒ごとに表示しています。(JAXAホームページでは、連続動画も公開しています。)1画面の範囲は約130km四方で、空間分解能は約2kmです。このとき、「れいめい」衛星は南半球の低緯度側からオーロラの活発な領域である高緯度側に移動する間に、活発なオーロラの波状の構造の時間発展を捉えました。今回の結果から、オーロラカメラによりオーロラの微細構造を高時間分解で得ることができることが確認されました。
今後、9月下旬まで、「れいめい」衛星は南極上空でオーロラ撮影を行う予定であり、地上の昭和基地からのオーロラ観測結果と比較する共同研究が進んでいます。10月下旬から11月上旬においては、北欧に設置されている地上のレーダー観測・光学観測との共同研究が行われる計画で、オーロラ現象に関する総合的な知見を得ることが期待されます。
※ サブストーム:オーロラが急激に明るく光る現象
※ 輝線:原子・分子が出す特有の光
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