宇宙航空研究開発機構が平成17年7月10日に内之浦宇宙空間観測所から打上げた第23号科学衛星「すざく」は、衛星および観測機器の立ち上げ運用を終了し、現在、試験観測を行っています。今般、平成18年4月から国際公募観測を開始するために、国際公募のアナウンスを平成17年11月17日研究者向けWebページに行いました。提案の募集および審査は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、米国航空宇宙局(NASA)、欧州宇宙機構(ESA)が行い、米国およびESA加盟国の研究者はそれぞれNASAおよびESAに応募し、それ以外の全ての国の研究者はJAXAに応募します。第1回公募観測は、平成18年4月1日から1年間の観測に対するもので、平成18年1月7日(土)正午(日本時間)に応募を締め切り、3月末までに審査を終了する予定です。
「すざく」第1回公募観測の詳細は、研究者向けのWebページ、
http://www.astro.isas.jaxa.jp/suzaku/を参照して下さい。
宇宙航空研究開発機構では、これに伴い、観測提案を準備する研究者のための情報として、これまでの初期観測データの一部を12月2日(金)に公開しました。これまでに「すざく」は、近傍の恒星や超新星残骸から、巨大ブラックホールがあると考えられる活動銀河核、銀河団(数百の銀河の大集団)にいたる50を越える天体を観測しています。これらの中から「すざく」の観測能力を示す典型的な以下の7つの観測データを選びました。
- 超新星残骸 E0102.2-7219
- 電波銀河 ケンタウルス座A (Cen A)
- 銀河団 エイベル2052 (Abell 2052)
- パルサー PSR 1509-58
- 恒星 竜骨座イータ星 (Eta Carinae)
- 超新星残骸 カシオペア座A (Cas A)
- 黄道北極方向 (North Ecliptic Pole)
これらの公開データは上記の「すざく」衛星の研究者向けのWebページから、データ解析に必要なソフトウエアとともにダウンロードしていただくことができるようになっております。
また、以下の2天体の観測についての詳細を別紙資料に解説いたします。
なお、「すざく」の観測結果はすでにいくつかの国際研究会で発表されており、その一部の発表資料(英語)を以下のWebページより公開しております。そちらもあわせてご覧いただければ幸いです。
http://www.astro.isas.jaxa.jp/suzaku/research/presentation/index.html.en
以上
※第23号科学衛星「すざく」について
宇宙航空研究開発機構が平成年17年7月10日にM-Vロケット6号機で打ち上げた我が国5番目のX線天文衛星。観測装置は、JAXA、東京大学、埼玉大学、理化学研究所、立教大学 、東京都立大学(首都大)、青山学院大学、工学院大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、金沢大学、広島大学、愛媛大学、NASAゴダード研究所、ウイスコンシン大学、マサチューセッツ工科大学の研究者の協力により製作された。衛星の運用やデータ処理ソフトウエアの開発には、上記の大学・研究機関に加えて、岩手大学、ぐんま天文台、中央大学、東工大、日本福祉大学、神戸大学、宮崎大学の研究者が参加している。打ち上げ後、8月8日に観測装置の一つであるX線分光器(X線マイクロカロリメータ)の機能は不具合により停止してしまったが、X線望遠鏡・X線CCDカメラ・硬X線検出器は立ち上げ運用を8月中に終了し、広帯域X線分光に所定の高い性能を持つことが確認された。現在、試験観測を行っている。