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JAXA産学官連携シンポジウムの開催結果について

平成18年1月25日

宇宙航空研究開発機構

本日開催された宇宙開発委員会において、下記のとおり報告をいたしました。

1. 報告事項
 平成18年1月17日(火)に開催した「宇宙ビジネスの未来、新たな提言」〜JAXA産学官連携シンポジウム〜の結果について報告する。

2. 開催結果
若田宇宙飛行士もパネラーとして参加し、宇宙ビジネスへの期待を述べた
満員の会場で真剣に聞き入る聴衆
 3回目を迎えた今年は「地球のビジネスは小さすぎた」をキャッチフレーズに、「宇宙ビジネスの未来、新たな提言」と題して開催。(プログラムは別添1
 宇宙ビジネスへの一層の参加を呼びかけるため、宇宙オープンラボの共同研究者などによるパネルや講演による実例紹介を行った。
 また、新たに外部資金導入を目指して宇宙オープンラボに投資家紹介制度を導入したことをアピールするため、会場を六本木ヒルズとし、投資家や財界有識者をパネラーとして迎え、宇宙ビジネスに向けた期待やJAXAが果たすべき役割についてのパネルディスカッションを行った。
 さらに、開催日が阪神淡路大震災発生から11年目に当たり、かつ、地球観測衛星ALOS打上げ直前であることを捉え、近年期待が高まっている安心・安全分野や環境保全に対する宇宙インフラの貢献について、宇宙通信(株)、三菱電機(株)、広島工大により最新技術のデモンストレーションを実施した。
 特に最後の総合パネルディスカッションでは、各パネラーより今後の宇宙ビジネス及びJAXAの在り方に関し、以下のような有益な示唆があった。
  • JAXAは宇宙オープンラボ制度などを用いて産学官のしくみがうまく機能するために中心的な役割を担うべき。

  • 宇宙は閉鎖的な傾向が強かった産業であるが、インターネットによる地球画像利用など、新たなビジネスモデルを与えられると、新しい産業に結びつき、一気に花開く可能性がある。ただし、ビジネスがうまく回るまでに5年程度は考えておく必要が有り、時間の感覚をうまくコントロールすることが大切。

  • 日本の強み(ロボット、ナノテク、コンテンツなど)を活かし、日本独自のビジネスを追求すべき。技術・産業の広がりに欠ける要因として、参入企業にとって宇宙技術は(1)コストがいくらかかるのか分からない。(2)テクノロジーが特殊なのか否かがよく分からない。の2点を指摘。

  • 今後官・民・JAXAの新たな関係が必要となる。JAXAは(1)官民パートナーシップの架け橋(2)宇宙事業のインキュベータ(3)宇宙からのソリューションプロバイダーとなっていくべき。

3. まとめ
 今回は、初めてJAXAのイベントに参加した人や非宇宙分野の企業関係者を多く含む650名が参加、終了後の懇親会(会費制)にも220名が参加するなど、大変盛況であった。
 アンケート結果より、参加者の半数以上がJAXA主催のシンポジウムに初めて参加しており、シンポジウム開催のねらいである新規ユーザの開拓に十分効果を挙げたと考える。また、参加者の75%がシンポジウムに対して満足した(『ふつう』を含めると96%)と回答した。
 なお、シンポジウムには47媒体で合計56名の報道関係者も参加し、会場の様子が当日のテレビ東京のワールドビジネスサテライトで「宇宙ビジネス 官から民へ」と題して特集で取り上げられたことをはじめ、多数の紙面及びネット上の報道にて取り上げられ、大きな反響を呼んだ。
 このシンポジウムをきっかけに、宇宙ビジネス創出に向けた活動を、産業界との連携協力をもとに一層強化していきたい。

以上




JAXA産学官連携シンポジウム「宇宙ビジネスの未来、新たな提言」個別アンケート結果
有効回答数:330件

JAXAが主催するシンポジウムに参加するのは初めてですか?

※新規ユーザの開拓に効果を挙げた

「テーマパネル 宇宙オープンラボ」のセッションに興味を持った


「総合パネル 宇宙・人類・日本・産業・〜進化する産業のカタチ〜」のセッションに興味を持った
※「宇宙オープンラボ」アドバイザ委員によるパネルが非常に高い評価を得た。



別添1

「宇宙ビジネスの未来、新たな提言」 
JAXA産学官連携シンポジウム プログラム


13:00-13:05 開会挨拶
立川 敬二(JAXA理事長)
13:05-13:20 JAXAのビジネスインキュベートプログラムへのinvitation
石塚 淳(JAXA産学官連携部長)
13:20-14:40 テーマパネルディスカッション
「宇宙オープンラボ」〜バーチャルビジネス研究所〜
 進行役:三輪田 真(JAXA産学官連携部 連携推進グループ長)
 ゲストコメンテーター:若田 光一(JAXA 宇宙飛行士)
 パネラー:菅 雄三(広島工業大学 環境学部環境情報学科 教授)
  千代 和夫(松下電工? 照明事業本部 
  LED・特品・新市場開発センター 新市場開発部 部長)
  酒井 良次(サカセ・アドテック(株) ACM事業部長)
14:40-15:10 新たなビジネスの潮流(1)
ポータルサービスにおける衛星画像への期待:
小澤 英昭(NTTレゾナント(株)  ポータル事業本部 メディア事業部 担当部長)
15:10-15:20 新たなビジネスの潮流(2)
先端技術による最新防災ソリューション:
中島 務(三菱電機(株) IT宇宙システム推進本部 本部長)
コーヒーブレイク
※コーヒーブレイク会場にて、防災や環境保護に貢献できる宇宙インフラ利用のデモを実施
15:35-16:05 新たなビジネスの潮流(3)
宇宙と鉄道〜GPS Railway System〜:
敷村 朝生
 (北海道旅客鉄道? 鉄道事業本部技術開発部 次世代車両開発プロジェクト 主査)
16:05-16:35 新たなビジネスの潮流(4)
浜松市・地域産業からの期待:
秋山 雅弘((株)アルモニコス 代表取締役・宇宙航空技術利活用研究会 代表幹事)
16:35-17:55 総合パネルディスカッション
宇宙・人類・日本・産業〜進化する産業のカタチ〜
 進行役:樋口 清司(JAXA 理事)
 ゲストコメンテーター:若田 光一(JAXA 宇宙飛行士)
 パネラー:村山 裕三(同志社大学 大学院ビジネス研究科 教授)
  水野 誠一((株)インスティテュート・オブ・マーケティング・アーキテクチュア代表取締役)
  成毛 眞((株)インスパイア 代表取締役社長)
  北野 宏明((株)ソニーコンピューターサイエンス研究所 取締役副所長)
18:15-20:00 懇親会


宇宙航空研究開発機構 広報部
TEL:03-6266-6413〜6417
FAX:03-6266-6910