プレスリリース

プリント

陸域観測技術衛星「だいち」搭載
フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)の
取得画像について

平成18年2月17日

経済産業省
宇宙航空研究開発機構

 経済産業省と宇宙航空研究開発機構は、平成18年1月24日に打ち上げた陸域観測技術衛星「だいち」搭載のフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)について、初期機能確認試験の一環として画像を取得しましたのでお知らせします。

 別紙の写真は、地球観測センター(埼玉県比企郡鳩山町)において、2月15日22時16分(日本時間)頃の富士山・伊豆半島・静岡市をPALSARで観測したものを受信した画像です。

 なお、PALSARは地表の状態に左右され難い周波数(Lバンド)を用いた地球観測衛星搭載のフェーズドアレイ方式合成開口レーダとしては世界唯一のものであり、同一地域を2回観測する(干渉処理)ことにより数cmの精度で地表の隆起・陥没を観測することが可能となります。

(注)PALSARは、経済産業省(METI)と宇宙航空研究開発機構が共同開発した機器です。経済産業省においては、PALSARの電子機器の開発を(財)資源探査用観測システム研究開発機構(JAROS)が、PALSARのデータ処理・データ利用研究を(財)資源・環境観測解析センター(ERSDAC)が、それぞれ担当しています。



別紙1

図1:PALSARが観測した富士山・伊豆半島

※各画像をクリックすると、高解像度画像が表示されます。


 図1は、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)に搭載されたフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)によって、衛星が豊後水道上空を南から北に抜ける平成18年2月15日の夜間(22時16分頃)に、PALSARから右下41.5度方向を約1000kmの距離で観測した夜間画像です。
 左図は、富士山から伊豆半島にかけての全体図(右上図:幅70km×長さ140km)を、国土地理院の国土数値情報を用いて鳥瞰図表示したものです。右下の富士山山頂の拡大画像では、山頂付近から西側に見られる大沢崩やその他の地形構造が細かく捕らえられています。
 PALSARはマイクロ波を用いた合成開口レーダーで、天候、昼夜の別なく観測できます。本画像も夜間観測で得られたもので、当地は小雨ぱらつく気象条件でしたが、PALSARでは良好な画像を得ることができました。


別紙2

図2 : PALSARで見た夜間の静岡市周辺

※画像をクリックすると、高解像度画像が表示されます。


 図2は、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)によって、平成18年2月15日の夜間(22時16分頃)に観測された静岡市の画像です。画像域の東(右)寄りに清水港と羽衣伝説で有名な三保半島が見え、中央には日本平と呼ばれる丘陵が広がり、その西(左)側の平野部に静岡市の中心が位置しています。画像域の西端近くに縦に黒々と続く川は安倍川で、その東側に並行して北(上)から南(下)に張り出す丘陵に沿ってフォッサマグナの西端を区切る断層、糸魚川-静岡線が走っています。
 合成開口レーダ画像では、山地等の起伏の変化が激しいところは明暗のコントラストが明瞭な縞として表現され、市街地は人工的な垂直/水平面が生じる強く変化の激しい後方散乱により細かなモザイク状の部分として表現されます。
 このように天候や昼夜に影響されず大地を観測できることが合成開口レーダの特長です。


別紙3

フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)


PALSARは、地球資源衛星1(ふよう1号)に搭載された合成開口レーダ(SAR)の機能・性能を更に向上させたもので、天候、昼夜に影響されない能動型のマイクロ波センサです。PALSARは観測方向を可変する機能や広い観測幅を有する観測モード(ScanSAR)を持っています。なお、PALSARの開発は宇宙航空研究開発機構と経済産業省(METI)/(財)資源探査用観測システム研究開発機構(JAROS)の共同で行いました。

PALSAR 主要諸元】


宇宙航空研究開発機構 
地球観測利用推進センター 広報係
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