プレスリリース

プリント

M-Vロケット8号機搭載サブペイロードの実験結果について

平成18年3月3日

宇宙航空研究開発機構

 宇宙航空研究開発機構が平成18年2月22日6時28分(日本標準時)に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げたM-Vロケット8号機に搭載された以下のサブペイロードの実験状況をお知らせします。

(1)ソーラーセイル膜面展開実験(ソーラーセイルサブペイロード(SSP))
(2)東京工業大学の超小型衛星Cute-1.7 + APD (補足資料参照)

【膜面展開実験 SSPの状況】

 セイル膜の展開が、海外局にて受信・復元した画像によって確認されました。取得した画像の1例を添付図に示します。受信状態は芳しくなく、復元できる画像はごく限られる見込みです。今回のサブペイロードでの実験では、実際の探査機での使用を想定して、数分間をかけて徐々に展開する特殊な機構を製作して行われ、膜の形状は扇子型となっています。実験では、展開機構の動作は最終状態までは完結できず、およそ3分の1くらいまでで途中停止したもようです。現在、さらなる画像の復元と、実際に展開された膜面の大きさ、展開機構の動作状態の確認を行っています。
 このセイル膜の展開実験は、一昨年のS-310-34号機ロケット実験によるクローバ型展開実験に続くものです。同実験では膜面を一挙に展開する方法がとられていました。網や鎖形態と違って、宇宙空間にて膜面を展開することは難しく、今回の実験はその一環で実施されたものです。さらに大気球などを用いた展開・展張実験も含めて継続して進める計画となっています。

【超小型衛星Cute-1.7 + APDの状況】

 主衛星「あかり」の分離後に分離されたCute-1.7 + APDの信号は、その後まもなく米国におけるアマチュア無線局にて受信され、衛星としての機能を開始したことが確認されました。現在、東京工業大学にて運用をはじめているところです。


 今回の実験により、M-Vロケットを用いた多様な相乗り実験が可能であることが確認され、大学共同利用システムとして、衛星軌道上における理工学実験機会を提供することが可能であることを実証することができました。関係各方面の御協力に感謝するとともに、今後ともサブペイロード実験の確保にとり組んで参ります。




補足資料

超小型衛星 Cute-1.7 + APD


■ 東工大サブペイロードは東工大松永研究室によって開発された超小型衛星Cute-1.7 + APD と超小型衛星用分離機構システムから構成

■ 目的:分離機構システムの動作実証およびCute-1.7 + APDのミッション遂行

■ Cute-1.7 + APDの主なミッション


 1) 東工大河合研究室の開発したAPDセンサーによる低エネルギー(10-30keV)荷電粒子の計測
 2) アマチュア無線サービス(デジタルリピータなど)
 3) CMOSカメラによる画像撮影
 4) 3軸姿勢決定と磁気トルカを用いた姿勢制御実験
 5) 超小型機構を用いたテザー伸展実験(運用後期)


詳細:http://lss.mes.titech.ac.jp/ssp/cute1.7/


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