宇宙航空研究開発機構
東日コンピュータアプリケーションズ株式会社
粒度分布測定装置の製造販売を行っている東日コンピュータアプリケーションズ株式会社(本社:東京都渋谷区)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が実施している「成果活用促進制度」を通じ、世界で初めて、レーザ回折法による噴霧の構造解析装置(商品名「レーザ回折噴霧構造解析装置」)の製品化を実現しましたのでお知らせします。
成果活用促進制度は、JAXAが保有する知的財産を用いて製品化を図ろうとする企業を支援する制度で、製品開発に伴う技術的課題解決のために、JAXAと企業が共同で研究開発を行うものです。今回、製品化が実現した「レーザ回折噴霧構造解析装置」は、JAXAが実施してきた航空機のジェットエンジンの低NOx燃焼器の研究において、ジェットエンジンの噴霧をレーザを用いて断層撮影(CT)する技術を発展させたものです。平成15年度と16年度の2年間にわたって、JAXAが同社による製品開発を支援してきたもので、平成17年夏にJAXAと同社との間で実施許諾契約を締結し、今般、同社が製品化を実現いたしました。
レーザ回折法では、噴霧にレーザビームを照射し、噴霧粒子による散乱の特徴から照射された噴霧粒子群の粒径分布が求められます。そのため、従来のレーザ回折法による粒子計測装置では、レーザビーム内の粒子群の全体としての粒径分布は測定されますが、局所的な情報は得られませんでした。開発された「レーザ回折噴霧構造解析装置」では、脳の断層撮影で知られているコンピュータトモグラフィーと同じような、しかしもう少し複雑な手法を用いて噴霧内の燃料濃度の分布や局所の粒径の情報を導きだしています。噴霧のパターンはもちろん、燃料ノズルの欠陥による噴霧の偏りや粗大粒子による“筋”などが明確に捉えられます。また、ディーゼルエンジンや筒内噴射ガソリンエンジンの燃料噴霧のように噴射量が時間的に変化する間欠噴霧にも適用でき、噴霧構造の時間的な変化が捉えられます。さらに、噴射開始時や終了時の微粒化特性の劣化も捉えられます。
「レーザ回折噴霧構造解析装置」は、既に、自動車メーカ、ガスタービン燃料ノズルメーカに納入され、エンジンの性能や耐久性の向上、エミッション低減を目指した技術開発に活用されています。この装置は、噴霧やスプレーが関係する様々な産業、医療、学術分野の発展に貢献できると考えられております。
JAXAでは今後ともよりいっそうの研究開発成果の民間移転を促進し、我が国の産業競争力強化に貢献していきます。
≪ 参考:技術的説明 ≫
この装置にはレーザ光により照射された粒子群の散乱特性の計測とコンピュータトモグラフィー(断層撮影、CT)の技術とが組み合わされていて、噴霧内の局所における粒子の量と粒子径の大きさの分布を決定することができる。
このような装置の製品化は世界初で、「非接触で自動計測可能」「結果を画像として保存可能」「噴霧相互の比較が容易」「熟練なしで再現性の高い測定が可能」「時間的に変化する噴霧にも適用可能」などの特徴がある。
これまで目視で行なっていた検査の自動化が可能になり、噴霧のパターンを画像として見ることができるので噴霧の欠陥等の判断が客観的に行え、またその結果が保存できるのでいつでも参照できるという利点がある。
![]() |
本製品は、噴霧をレーザを用いて断層撮影(CT)する技術を発展させたものである。燃料ノズルから噴出する噴霧(ブルーの円錐で表示)に、レーザ光源(左側)からレーザを照射し、散乱光検出器(右側)で、散乱したレーザ光を検出する。 |
本社所在地 | :東京都渋谷区渋谷3-5-1-302 |
資本金 | :2000万円 |
代表取締役 | :高橋 位 |
会社設立 | :昭和54年5月 |
業務内容 | :粒度分布測定装置の開発、製造、販売。 レーザ回析による噴霧の粒度分布測定装置は、国内では同社のみが製造販売。 |
問合わせ先 | :03-3498-1651 |
URL | :http://www.tohnichi-cmp.co.jp/main.html |
<成果活用促進制度に関する問合せ>
宇宙航空研究開発機構 産学官連携部知的財産グループ
Tel. 03-6266-6484
<技術に関する問合せ>
宇宙航空研究開発機構 航空プログラムグループ
環境適応エンジンチーム
Tel. 0422-40-3411
<レーザ回折噴霧構造解析装置に関する問合せ>
東日コンピュータアプリケーションズ株式会社
Tel. 03-3498-1651