プレスリリース

プリント

陸域観測技術衛星「だいち」による
メラピ山(インドネシア・ジャワ島)の観測について

平成18年4月29日

宇宙航空研究開発機構

 国際災害チャータ(※)からの情報により、噴火の兆候があると伝えられているインドネシア共和国ジャワ島のメラピ山(標高2968m)について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、平成18年4月29日に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)及びフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)を用いて観測を行い、観測画像を国際災害チャータに提供致しましたのでお知らせします。

 なお、衛星による同一地域の光学センサと合成開口レーダによる同時観測は世界で初めてであり、対象の特性をより高い精度で識別することが可能となります。

 提供した観測画像は別紙のとおりです。

※ 国際災害チャータ:(参考)を参照下さい。



別紙


図 平成18年4月29日11時40分頃のメラピ山の様子

 図は、高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)とフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)が4月29日11時40分(日本時間)頃に観測したメラピ火山の画像です。

 インドネシア火山災害軽減局の情報によると、4月11日時点の観測では、火山の火口が割れて、噴煙が火口から約100mまで上がっているということでしたが、AVNIR-2による観測(右図)でも、噴煙が明瞭に見え、火口から山体に火山灰が広がる様子が見えます。

 PALSARによる観測(左図)でも、火口付近と火口からふもとに放射状に広がる起伏のある地形が、レーダの反射波として明瞭に捉えられています。火口の西側(画像の左側)には、反射の弱い(暗い)地域が広がっており、地表面特性が異なっていることを示していると考えられます。

 「赤い」merah、「火」apiと呼ばれるこの山は、インドネシアでも最も活動の激しい火山の一つで、近年では、1969年の大噴火のほか、1992年以降も2〜3年に1回の割合で噴火を繰り返し、山頂火口から溶岩を噴出、溶岩ドームの崩落や火砕流の被害、土砂災害が頻繁に起きています。


参考

国際災害チャータの概要

(1)正式名称
 自然または人為的災害時における宇宙設備の調和された利用を達成するための協力に関する憲章

(2)参加機関・利用衛星
参加機関利用衛星
欧州宇宙機関(ESA) ERS, ENVISAT
仏国立宇宙センター(CNES) SPOT
カナダ宇宙庁(CSA) RADARSAT
インド宇宙研究機関(ISRO) IRS
海洋大気庁(NOAA)、米国地質調査所(USGS) POES, GOES, LANDSAT
アルゼンチン国家宇宙活動委員会(CONAE) SAC-C
英国立宇宙センター(BNSC) DMC(Disaster Monitoring Constellation)
宇宙航空研究開発機構(JAXA) ALOS(定常運用開始後)
*JAXA は平成17年2月に加入

(3)目的
 2000年に発足した国際災害チャータは、災害発生時に参加機関間で最善の努力ベースでの地球観測衛星データの無償提供を行うことにより、自然災害等に対する各宇宙機関の貢献を推進する枠組み。

(4)協力体制
 ・災害チャータ参加機関と防災関係機関で構成。
 ・参加機関間での資金の授受はなし。
 ・参加機関間の調整は、各参加機関代表から構成される委員会及び事務局により行われる。

 なお、「だいち」の観測画像提供は定常運用開始後となっているため、今回はチャータ事務局からは正式な観測依頼は受けていないが、JAXAとして初期機能確認の一環で取得した画像を提供したもの。

同事務局のURL: http://www.disasterscharter.org/main_e.html


宇宙航空研究開発機構 
地球観測利用推進センター 広報係
TEL: 03-6221-9085、9136
FAX: 03-6221-9180